東京の建設業許可|要件・費用・期間・必要書類と東京都独自ルールを特定行政書士が解説

東京の建設業許可|要件・費用・期間・必要書類と東京都独自ルールを特定行政書士が解説

東京都で建設業許可を取るときに、最初につまずくのは要件そのものではありません。東京都だけが決めている運用の細部——受付時間、標準処理期間、更新の受付開始日、常勤性の確認資料、営業所写真の撮り方——を知らないまま準備を始めてしまうことです。

このページは、東京都都市整備局市街地建築部建設業課が出している「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」と、建設業法・同施行令・同施行規則を突き合わせて、東京都知事許可を取るために必要なことだけを順番に並べたものです。数字はすべて出典を示しています。

この記事の結論(先に3行)

  • 必要かどうかの線引きは1件500万円(建築一式は1,500万円)。税込で判定し、分割発注しても合算されます(法第3条第1項ただし書、令第1条の2)。
  • 東京都の標準処理期間は「受付後25日(土日祝日等の閉庁日を除く)」。暦日では約5週間、書類準備を含めると相談から許可まで2〜3か月が現実的な見立てです。
  • 手数料は新規9万円・更新5万円。そして令和8年7月1日から、常勤性の確認資料は「①所属を証明する資料+②生年月日を確認できる資料」の2段構えに変わりました(健康保険証もマイナンバーカードも使えません)。ここを知らずに窓口へ行くと出直しになります。

まず判定:あなたに建設業許可は必要か

建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業の許可を受けなければなりません(建設業法第3条第1項)。逆に言えば、軽微な建設工事に収まっている限り許可は不要です。

軽微な建設工事の定義

工事の区分 許可がなくても請け負える範囲
建築一式工事以外の建設工事 1件の請負代金が500万円未満(消費税込)
建築一式工事 次のいずれかに該当するもの
(1) 1件の請負代金が1,500万円未満(消費税込)
(2) 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積150平方メートル未満の工事
ここでいう木造住宅とは、主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものを指します。事務所併用住宅で居住部分が半分未満なら、この例外は使えません。

金額の数え方で間違えやすい3点

  • 消費税込みで判定します。本体490万円でも、税込で539万円になれば軽微な建設工事ではありません。
  • 分割しても合算されます。一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の合計額で判定します。ただし、工事現場や工期が明らかに別であるなど正当な理由に基づく場合を除きます。
  • 注文者が材料を提供する場合は、その材料費を足します。市場価格(および運送費)を請負代金に加えた額で判定します。

無許可で軽微な建設工事を超える工事を請け負うと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(建設業法第47条第1項第1号)。法人には1億円以下の罰金が科される両罰規定もあります(同法第53条第1項第1号)。「知らなかった」は通りません。

より詳しくは 建設業許可の500万円に抜け道はある?分割発注の危険と正しい対応建設業許可がないとどうなる?無許可営業の罰則と取得判断 をご覧ください。

東京都知事許可か、国土交通大臣許可か

この区分は営業所がいくつの都道府県にあるかだけで決まります。工事をする場所は関係ありません。

区分 要件 申請先
東京都知事許可 営業所が東京都内のみにある 東京都都市整備局市街地建築部建設業課
国土交通大臣許可 営業所が2つ以上の都道府県にある 国土交通省 関東地方整備局(主たる営業所が東京都内の場合)

ここでいう「営業所」とは

建設業法上の営業所は、請負契約の締結に係る実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所を指します。東京都の手引は、次のものは営業所に該当しないと明記しています。

  • 単なる登記上の本店にすぎないもの
  • 請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所
  • 工事現場事務所や作業所

東京都知事許可で気をつけたい落とし穴。東京都知事から許可を受けた建設業者は、東京都内の本支店でのみ営業活動(契約締結)を行えます。その契約に基づく工事は、営業所のない他の道府県でも施工できます。しかし、ある業種の許可を持っている業者が、他の道府県の本支店で契約をする場合は、たとえ軽微な建設工事であっても国土交通大臣許可が必要になります。支店を県外に出す計画があるなら、許可区分から設計し直してください。

詳しくは 建設業許可の種類と区分|大臣・知事許可と一般・特定の違い をご覧ください。

一般建設業許可か、特定建設業許可か(令和7年2月1日から金額が変わりました)

この区分は発注者から直接請け負った工事(元請工事)で、下請にいくら出すかで決まります。下請として工事を受ける場合や、自社施工のみの場合は、金額にかかわらず一般建設業許可で足ります。

下請契約の総額(元請の場合) 必要な許可
建築一式工事以外:5,000万円未満
建築一式工事:8,000万円未満
一般建設業許可
建築一式工事以外:5,000万円以上
建築一式工事:8,000万円以上
特定建設業許可
令和7年(2025年)2月1日施行の建設業法施行令改正で、この金額が引き上げられました。改正前は4,500万円(建築一式7,000万円)です。改正前の数字を載せたままの解説記事がまだ多く残っています。複数の下請に出す場合はその合計額で判定し、当初は5,000万円未満だった下請契約の合計が契約変更後に5,000万円(建築一式8,000万円)を超えてしまう場合も特定建設業許可が必要です。
同じ令和7年2月1日の改正で、次の点も変わっています。あわせて押さえてください。
  • 「専任技術者」が「営業所技術者等」に、「特定建設業の専任技術者」が「特定営業所技術者」に名称変更されました。東京都の令和7年度手引も、全編にわたってこの新名称で記載されています。
  • 工事現場に主任技術者・監理技術者を専任で置かなければならない請負代金額が、4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)に引き上げられました。
  • 営業所技術者等が工事現場を兼務できる制度(建設業法第26条の5)が新設されました。

詳しくは 特定建設業の「特定営業所技術者」になるための要件現場専任とは|主任技術者・監理技術者の専任義務と令和7年改正 をご覧ください。


東京都で許可を取るための6つの要件

許可の要件は、建設業法第7条(一般建設業)および第15条(特定建設業)に定められています。東京都の手引もこの順で整理しています。

要件1:常勤役員等(経営業務の管理責任者)を置くこと

建設業法第7条第1号・同法施行規則第7条第1号。常勤役員等(経管)を置く方法(規則イ)と、常勤役員等と直接補佐者による経営体制を備える方法(規則ロ)の2つがあります。

根拠 必要な経験 直接補佐者
イ(1) 建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する 不要
イ(2) 建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位(取締役会の決議を経て権限委譲を受けた執行役員等)として経営業務を管理した経験を有する 不要
イ(3) 建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位として経営業務を補佐した経験を有する 不要
ロ(1) 建設業に関し2年以上役員等の経験を有し、かつこれを含めて5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位(財務管理・労務管理・業務運営のいずれか)にあった経験を有する 必要(3名分)
ロ(2) 5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する 必要(3名分)
ロを使う場合、財務管理・労務管理・業務運営のそれぞれについて、申請者(自社)における業務経験を5年以上有する者を直属で置く必要があります。他社での業務経験は認められません。業務経験を証明できれば同一人が複数を兼ねることは可能ですが、補佐される常勤役員等本人が兼ねることはできません。

詳しくは 経営業務の管理責任者の要件|常勤役員等の経験年数と常勤性の証明 をご覧ください。

要件2:営業所技術者等(旧・専任技術者)を営業所ごとに置くこと

建設業法第7条第2号(一般)・同法第15条第2号(特定)。営業所ごと・業種ごとに、次のいずれかに該当する専任の者が必要です。

一般建設業の場合

  • 指定学科を卒業し、高卒5年以上・大学(短大・高専を含む)卒3年以上の実務経験を有する者
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上の実務経験を有する者
  • 国土交通大臣が定める国家資格等(施工管理技士、技術士、技能検定など、業種ごとに定められた資格)を有する者
  • 令和5年7月1日以降:技術検定の第一次検定合格者(技士補)も、1級1次合格者は大学指定学科卒業者と、2級1次合格者は高校指定学科卒業者と同等とみなされ、合格後に指定学科卒業者と同等の実務経験を積めば営業所技術者等になれます

特定建設業の場合(特定営業所技術者)

  • 国土交通大臣が定める1級の国家資格等を有する者、または
  • 一般建設業の要件を満たす者のうち、元請として請け負った1件4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験を有する者

指定建設業7業種(土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)は例外です。施工技術の総合性等が考慮されるため、指導監督的な実務経験のみで技術者要件を証明した技術者では特定建設業の許可を受けられません。1級の国家資格・技術士資格・国土交通大臣認定のいずれかが必須です。

兼務の可否(東京都の手引の記載)

  • できる:同一営業所内で、1人が複数業種の営業所技術者等を兼ねる(複数業種の技術資格要件を1人で満たしている場合)
  • できる:同一営業所内で、営業所技術者等と常勤役員等(経管)・直接補佐者・令3条の使用人を1人が兼ねる(双方の基準を満たす場合)
  • できない:同一営業所内で、同一業種について複数の営業所技術者等を置く(届出上の「予備の専技」は作れません)

詳しくは 建設業許可の資格者とは|営業所技術者になれる国家資格一般建設業の営業所技術者|10年実務経験の証明方法 をご覧ください。

要件3:誠実性があること

建設業法第7条第3号。法人・その役員等・個人事業主・令3条の使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。建築士法・宅地建物取引業法等で不正行為による免許等の取消処分を受け、5年を経過していない者などが該当します。

要件4:財産的基礎等を有すること

区分 基準
一般建設業
(次のいずれか)
① 自己資本の額が500万円以上あること
500万円以上の資金調達能力があること(申請者名義の口座について、取引金融機関発行の預金残高証明書または融資証明書で判断)
③ 直前5年間、東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があること
特定建設業
(次のすべて
① 欠損の額が資本金の額の20パーセントを超えていないこと
② 流動比率が75パーセント以上であること
③ 資本金の額が2,000万円以上であること
④ 自己資本の額が4,000万円以上であること
自己資本とは、法人では申請時直前の確定した貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額をいいます。特定建設業では、申請時直前の確定した貸借対照表(定時株主総会の承認を得たもの)で4項目すべてに該当していることが必要で、決算期未到来の新設会社でも貸借対照表の作成が求められます。

要件5:欠格要件に該当しないこと

建設業法第8条・第17条。許可申請書やその添付書類に虚偽の記載があるとき、または重要な事実の記載が欠けているときも欠格事由です。東京都は「許可申請者の住所、生年月日等に関する調書」を、法人の場合役員等(5パーセント以上の個人株主、顧問、相談役等を含む)について作成させます。役員の範囲を狭く見積もると、提出漏れが虚偽記載の指摘につながります。
詳しくは 建設業許可の欠格要件とは|前科・執行猶予・罰金と役員の範囲 をご覧ください。

要件6:適切な社会保険に加入していること

建設業法第7条第1号・同法施行規則第7条第2号。令和2年10月1日から許可の要件になりました。健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、適用事業所に該当するすべての営業所で所定の届書を提出していることが必要です。「加入義務があるのに未加入」の状態では許可されません。


【本記事の核】東京都だけのルール9つ

ここからが、全国共通の解説記事には載っていない部分です。東京都の令和7年度手引に明記されている運用のうち、実務で差が出るものを9つ挙げます。

① 標準処理期間は「受付後25日(閉庁日を除く)」

東京都の手引は「許可申請書の受付後25日(土日祝日等の閉庁日を除く。)」と定めています(窓口事務に係る標準処理期間に関する要綱)。閉庁日を除いた25日ですから、暦日では概ね5週間前後です。「25日=約3週間半」と読むと計画がずれます。

② 受付時間が「申請」と「届出」で違う

種別 受付時間
申請(新規・許可換え新規・般特新規・業種追加・更新) 午前9時00分〜午後4時00分
届出(変更届・決算変更届・廃業届など) 午前9時00分〜午後5時00分
相談コーナー 午前9時30分〜11時30分/午後1時00分〜4時30分
発券機は午後4時が締切です。手数料の納入が必要な申請(新規・業種追加・般特新規・更新等)は、午後4時までに発券機で番号札を発券する必要があります。午後4時以降に発券した場合は入金を行うことができず、受け付けられません(申請の再来を含む)。また正午から午後1時までは人員を減らしての対応になります。

③ 更新の受付は「満了の2か月前から30日前まで」

ここは最も間違いが多い箇所です。東京都の手引は次のとおり定めています。

更新申請の受付期間 5年間の有効期間が満了する日の2か月前から30日前まで

「3か月前から受け付けてもらえる」と書いてある解説を見かけますが、それは国土交通大臣許可などの取扱いです。東京都知事許可は2か月前からで、それより早くても受け付けられません。そして30日前を過ぎると受け付けてもらえません
許可の有効期間は、許可のあった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了します(建設業法第3条第3項)。5年後の同じ日ではありません。
詳しくは 建設業許可の更新申請|いつから・必要書類・費用と一本化更新の30日前を過ぎたら?東京都で失効を防ぐ緊急対応 をご覧ください。

④ 常勤性の確認資料が令和8年7月1日から「2段構え」になりました

東京都都市整備局市街地建築部建設業課「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日)により、常勤役員等(経管)・営業所技術者等(専技)・直接補佐者・令3条の使用人の常勤性は、次の2つを組み合わせて確認する扱いになりました。

  • ① 申請者への所属を証明する資料(個人事業主は「他の事業者の社会保険へ加入していないことを証明する資料」)
  • ② 本人の生年月日を確認できる資料(法人は①に生年月日の記載がない場合に追加。個人事業主は必ず必要

健康保険証の写しも、マイナンバーカード(マイナ保険証)も使えません。健康保険証は令和7年12月2日以降の提出時は不可とされ、マイナンバーカードは令和8年7月1日の変更で確認資料の列挙から外れました。

区分 ① 所属を証明する資料 ② 生年月日を確認できる資料
法人 a〜lの12種類のいずれか1つ(健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書、資格取得確認及び標準報酬決定通知書、厚生年金保険の被保険者記録照会回答票、事業所名の記載がある資格確認書、住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)、直近決算の法人用確定申告書(表紙(別表一)・役員報酬明細・受信通知(メール詳細))ほか)
※法人用確定申告書を紙で提出した場合(令和7年1月以降)は、都税事務所発行の法人事業税の納税証明書(原本)を併せて提出
①に生年月日の記載がない場合に併せて提出。次のいずれか1つ
・健康保険の資格確認書の写し(有効期限以内のもの)
運転免許証の写し(有効期限以内のもの・両面
・発行後3か月以内の住民票(個人番号および住民票コードを省略したもの・原本提出
個人事業主 直近決算の個人所得税確定申告書の写し(第一表・第二表・受信通知(メール詳細)
※令和7年1月以降に紙で提出した場合は、都税事務所発行の個人事業税の納税証明書(原本)、または税務署発行の納税証明書(その2。事業所得金額の証明があるもの)(原本)を併せて提出
必ず必要。法人の②と同じ3択
法人と個人事業主で①の意味が逆である点に注意してください。法人の①は「この会社に所属していること」を示す資料、個人事業主の①は「よその会社の社会保険に入っていないこと」を示す資料です。
また、法人の①で住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)法人用確定申告書の役員報酬明細を選んだ場合は、様式に生年月日欄がないため②が必ず必要になります。迷ったら②を付けてください。

令和7年度の手引P57・P64は、変更前の内容のままです。手引には「マイナンバーカード(マイナ保険証)の表面」と書かれていますが、東京都はお知らせで、変更内容が手引P57及びP64に係るものであることを示しています。手引よりお知らせが優先します。手引だけを見て準備すると、そろえた書類が窓口で通りません。東京都の建設業許可は、手引と「お知らせ」の両方を見て初めて全体が分かる構造になっています。

この確認資料は新規申請だけの話ではありません。般・特新規、業種追加、更新、経管・営業所技術者等・直接補佐者・令3条の使用人の変更届でも、そのつど必要です。「更新だから前回の控えのコピーでよい」は通用しません。
書類の選び方、マスキング・原本提出・有効期限の注意点、補正になりやすいパターンは 常勤性の確認書類の取り扱い変更|東京都・令和8年7月1日以降の必要書類 で詳しく整理しています。

⑤ 書類がそろっても常勤性が否定される5つの事情

東京都の手引が明示的に排除している類型です。手引P7は「常勤」を「原則として主たる営業所において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していること」と定義しており、営業所技術者等(専技)の「専任」は手引P8で「その営業所に常勤して、専らその職務に従事する者」と定義されています。常勤性は専任性の前提です。

  • 申請事業者以外からの報酬がある場合は、原則として常勤とみなしません。
  • 被扶養者となっている者は、常勤性が推定できないため常勤役員等(経管)にも営業所技術者等(専技)にもなれません。
  • 通勤時間がおおむね片道2時間以上の遠距離にあり常識上通勤不可能な場合は、通勤定期券やETC記録等の通勤確認資料を求められることがあります。
  • 出向者は、①の資料に加えて、出向契約書・発令通知書等(該当者、出向元・出向先・出向期間が確認できるもの)、または該当者の氏名が記載された申請時点における3か月分の出向負担料に関する出向元・出向先間の請求書・入金資料が必要です。
  • 他社を代表する代表取締役等を兼ねている者は、経管にも専技にもなれないのが原則です。例外の条件は経管と専技で異なり、経管は「他社が休眠している旨の証明書」または「その会社に事務一般を掌理する常勤の取締役がいる旨の証明書」+登記事項証明書、専技は「他社が休眠している旨の証明書」または「複数代表取締役であり、他社では非常勤の代表取締役である旨の証明書」+登記事項証明書の提出がある場合です。

経管・専技のいずれについても、他に個人営業を行っている者、建設業の他社の技術者・経管・直接補佐者、他社の常勤役員・代表取締役・清算人等は認められません。管理建築士や宅地建物取引士のように他の法令で専任性が求められる資格との兼務も、同一法人の同一営業所である場合を除いてできません。

⑥ 営業所写真の撮影要領が細かく決まっている

東京都は営業所写真を必須の確認資料としています。A4用紙1枚あたり4枚を目安に、撮影年月を記載して提出します(カラー印刷可)。撮影要領は次のとおりです。

区分 撮るもの
① 建物の全景等 営業所の入る建物の全景/建物入口付近/建物入口を正面から写したもの/テナント表示(テナント表示がない場合は、商号が判読できるポストや集合郵便受け)
② 事務所の入口 商号等を掲示した事務所の入口部分(従たる営業所は営業所名等も掲示。商号等が判読できること)
③ 事務所の内部 内部の概要が確認できるよう複数方向から執務スペースが確認できるもの/応接スペースが確認できるもの
ブラインド・カーテン等は開けた状態で撮影すること
さらに、営業所が他の法人や個人事業主と同一階にある場合、または住居と同一建物内にある場合は、次の3点を追加で添付します。
  • 間取り図(手書き可)
  • 入口から事務所までの動線部分の写真
  • 営業所スペースが住居スペースや他法人等と明確に区分されていることが分かる写真

東京都内の主たる営業所・従たる営業所のそれぞれについて用意が必要です。自宅兼事務所での申請を考えている方は、この3点で判断されると考えてください。詳しくは 建設業許可の営業所要件とは?自宅・賃貸・バーチャルオフィスの注意点 をご覧ください。

⑦ 賃貸借契約書は「使用目的」を見られる

登記上(屋号を登記していない個人事業主については住民票上)以外の場所に事実上の営業所がある場合、次の資料が必要です。

  • 自社(自己)所有:当該建物の登記事項証明書、または固定資産物件証明書・固定資産評価証明書
  • 賃貸借:当該建物(物件)の賃貸借契約書の写し。使用目的が事業所用または店舗用であること。住居用の場合は、事業所使用に関する特約があるか、賃貸人からの承諾書が必要

加えて次の運用があります。

  • 公的賃貸住宅等、使用目的が住居専用契約と思われるものは、使用目的の確認のため賃貸借契約書の写し等を求められることがあります
  • 官公庁で取得する各種証明書は発行後3か月以内のもの
  • 賃貸借契約書は有効な契約期間内のもの。ただし自動更新の条項がある場合は契約期間を過ぎていても可(定期建物賃貸借を除く)
  • 名刺・封筒等の写し(営業所の郵便番号・電話番号が確認できるもの)は提示のみ。変更届の場合は、従前の届出内容と変更がなくても提示が必要
  • 資料に記載の地番と実際の住居表示が異なる場合は、当該所在地の確認ができる名刺・封筒等の写しを併せて提示

⑧ 看板・標識で外部から営業所と分かる表示が要る

東京都の手引は営業所の要件として「看板、標識等で、外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること」を挙げています。個人の住宅にある場合は、居住部分と適切に区別されているなど独立性が保たれていることも必要です。なお固定電話については、名刺や封筒等で確認できる業務用の携帯電話も可とされています。

⑨ 申請代理は行政書士または弁護士に限られる

東京都の手引は「申請手続の代理については、法律で行政書士又は弁護士に限られています。これら以外の方が、業としてこれを行うことはできません。書類提出の際、身分証明書の提示を求める場合があります」と明記しています。コンサルタントを名乗る無資格者への依頼は、行政書士法第19条違反(同法第21条第2号:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)に当たります。


費用の全体像

東京都に納める手数料

申請区分 手数料
新規、許可換え新規、般・特新規 9万円
業種追加、更新 5万円
一般建設業・特定建設業の別ごとに、それぞれ上記の額を納めます。東京都の手引が挙げている例は次のとおりです。
  • 業種追加と更新を同時に申請 → 5万円+5万円=10万円
  • 一般建設業と特定建設業を同時に新規申請 → 9万円+9万円=18万円
  • 一般建設業と特定建設業を同時に更新申請 → 5万円+5万円=10万円

納付された手数料は還付されません。受け付けられた後に重要な誤りが判明して申請を取り下げる場合も、返金されません。1回で通すことに実利があります。

納付の方法

  • 窓口審査:窓口で入金
  • 郵送審査:審査後、手数料の納入をもって申請受付
  • 電子申請(JCIP)Pay-easy(ペイジー)決済。金融機関・郵便局のペイジー対応インターネットバンキングでの納付

その他の実費(目安)

書類 取得先 費用の目安
登記事項証明書(履歴事項全部証明書) 法務局 1通600円(窓口交付)
登記されていないことの証明書 法務局(東京法務局後見登録課等) 1通300円
身分証明書 本籍地の市区町村 1通200〜400円程度
納税証明書 都税事務所/税務署 1通400円程度
住民票 市区町村 1通200〜400円程度
建設業許可証明書(許可後に必要な場合) 東京都建設業課証明窓口 1通400円
役員が多い法人ほど、身分証明書・登記されていないことの証明書の通数が増えます。役員5名の法人なら実費だけで1万円前後を見ておくと安全です。

行政書士報酬の相場

東京都内の相場は、知事許可・新規(法人)でおおむね12万〜20万円台、更新で5万〜10万円前後、業種追加で5万〜12万円前後です。実務経験10年の証明が必要な案件、決算変更届の未提出が複数年ある案件、事業承継を伴う案件は加算されるのが通常です。当事務所の料金は 料金案内 に掲載しています。


期間の実際:相談から許可通知書まで

段階 期間の目安 内容
① 要件の確認 1〜2週間 経管・営業所技術者等の候補者を決め、証明できるかを判定する
② 証明資料の収集 2週間〜2か月 ここが最大の変動要因。実務経験10年を証明する場合、過去の注文書・請書・契約書を集める作業が期間を決める
③ 申請書類の作成 1〜2週間 本冊・別とじ・確認資料を整える
④ 申請・受付 1日 窓口審査/郵送審査/JCIP
⑤ 審査 受付後25日(閉庁日を除く) 標準処理期間。暦日では約5週間
⑥ 許可通知書の到達 数日 郵送で届く
結論として、相談から許可まで2〜3か月。証明資料がそろっている会社なら1か月半、実務経験の証明から始める会社なら4か月以上かかることもあります。「来月の工事に間に合わせたい」という相談は、残念ながら成立しません。

審査中に営業所調査があることもあります。東京都の手引は「受付後、内部の本審査で内容に疑義が生じた場合は、別途確認書類や補正資料等を求め、又は営業所調査をすることがあります。その結果、許可の基準に適合しない場合は、拒否処分をすることもあります」としています。写真だけでなく、実際の営業所が要件を満たしていることが前提です。


必要書類の全体像

東京都の申請書類は「本冊」「別とじ」「確認資料・提示資料」の3つに分かれています。この構成を知らずに準備すると、綴じ方の段階でやり直しになります。

本冊(正本・副本)に綴じるもの(主なもの)

  • 建設業許可申請書(様式第一号)と別紙一〜四
  • 工事経歴書(様式第二号)
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)
  • 使用人数(様式第四号)/誓約書(様式第六号)
  • 常勤役員等証明書(様式第七号)/常勤役員等及び直接補佐者を置く場合の証明書(様式第七号の二)
  • 健康保険等の加入状況(様式第七号の三)
  • 営業所技術者等証明書(様式第八号)
  • 実務経験証明書(様式第九号)/指導監督的実務経験証明書(様式第十号。特定建設業のみ。監理技術者資格者証で証明する場合は不要)
  • 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第十二号)
    ※法人は役員等(5パーセント以上の個人株主、顧問、相談役等を含む)について作成
  • 定款/財務諸表(建設業法の様式に組み替えたもの)/営業の沿革/所属建設業者団体/主要取引金融機関名

別とじに綴じるもの

  • 登記事項証明書
  • 納税証明書
  • 登記されていないことの証明書/身分証明書
  • 株主(出資者)調書 ほか

確認資料・提示資料

  • 常勤役員等(経管)・直接補佐者の確認資料(常勤性、地位、経営等の経験)
  • 営業所技術者等(専技)の確認資料(常勤性・専任性、資格、実務経験、指導監督的実務経験)
  • 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明資料
  • 営業所の確認資料(登記事項証明書・営業所写真・名刺・封筒等の写し・賃貸借契約書等)
  • 預金残高証明書または融資証明書(財産的基礎を資金調達能力で満たす場合)

建設業の財務諸表は、税務署に出したものをそのまま使えません。完成工事高・完成工事原価・未成工事支出金・完成工事未収入金といった建設業特有の勘定科目へ組み替える必要があります。詳しくは 建設業財務諸表と一般の財務諸表の違い をご覧ください。

また、東京都は更新申請の場合は実務経験を証明する資料は不要としています。既許可業種の実務経験証明書・指導監督的実務経験証明書は、前回の提出時と完全に同一の内容で作成します(コピー可)。

申請方法は3つ(窓口・郵送・電子申請)

方法 特徴 手数料の納付
窓口
都庁第二本庁舎3階南側
その場で形式審査。不備をその場で指摘してもらえる。午後4時までに発券が必須 窓口で入金
郵送 審査後に入金指示。手数料の納入をもって受付。往復の日数がかかる 入金指示に従って納付
電子申請(JCIP) 新規・許可換え新規・般特新規・業種追加・更新、各種変更届(決算変更届を含む)・廃業届に対応。事業承継等の認可申請には非対応 Pay-easy(ペイジー)
JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)の利用には、事前にGビズID(デジタル庁所管)の取得が必要です。GビズIDプライムの取得自体に日数がかかるため、電子申請を選ぶなら逆算して準備してください。東京都は「上記手続に該当する場合であっても、受付できない場合があります」として、都市整備局ホームページの併読を求めています。

詳しくは 建設業許可の電子申請(JCIP)|GビズIDの取得から申請までの手順と東京都の落とし穴 をご覧ください。


許可を取った直後から始まる義務

許可は「取ったら終わり」ではありません。取得した瞬間から、期限のある義務が動き出します。

いつまで 何を 根拠
2週間以内 常勤役員等(経管)・営業所技術者等(専技)・令3条の使用人に関する変更、これらの要件を欠いた旨の届出 建設業法第11条第4項・第5項
30日以内 商号、営業所の名称・所在地、資本金額、役員等、支配人の変更 建設業法第11条第1項
4か月以内 事業年度終了後の決算変更届(事業年度終了の変更届出書) 建設業法第11条第2項
直ちに 店舗および工事現場ごとに標識(建設業の許可票)を掲示 建設業法第40条
常時 帳簿の備付け・保存(5年間、新築住宅の建設工事は10年間) 建設業法第40条の3
決算変更届を出していないと、更新申請が受け付けられません。5年分たまっていれば5年分をまとめて提出することになります。更新の受付期限(満了の30日前)まで残り2週間、という段階で気づくと間に合いません。決算変更届の期限・必要書類・未提出の対応 をご覧ください。
変更届の期限は 建設業許可の変更届出書|2週間・30日・4か月の期限と必要書類、標識は 建設業許可の看板(標識)|サイズ・記載事項・掲示義務と罰則 に詳しく書いています。

令和7年12月12日に全面施行された改正建設業法

いわゆる第三次・担い手3法(令和6年法律第49号)が、令和7年12月12日に全面施行されました。許可の要件そのものは変わりませんが、許可業者としての契約実務が変わりました。東京都も令和8年7月6日付で「建設工事の請負契約に関する法令遵守の徹底について」を周知しています。

押さえるべき3点

  • 労務費に関する基準(標準労務費):中央建設業審議会が令和7年12月2日に作成・勧告しました。職種別・地域別に、建設工事を施工するために通常必要と認められる労務費の目安が示されています。
  • 著しく低い労務費等による見積りの禁止:注文者は、著しく低い労務費等による見積りの提出や変更依頼をしてはならないこととされ、違反した発注者は勧告・公表の対象になります。
  • 原価割れ契約の禁止の拡大:従来は注文者側の規制でしたが、改正後は受注者も総価での原価割れ契約を締結してはならないこととされました。「安く受けて数をこなす」という戦い方が、法律上できなくなっています。

新規に許可を取る事業者にとっては、見積書の様式と根拠資料の作り方を最初から改正後の形にしておくことが実務上の要点です。工事費内訳書に法定福利費・安全衛生経費を明示する運用は、ここに接続します。


東京都で実際に多い不受理・補正の理由8選

  1. 手引を見てマイナンバーカード(マイナ保険証)の写しを用意した。令和8年7月1日以降、所属証明にはならない。①所属を証明する資料+②生年月日を確認できる資料に組み替える。
  2. 経管候補者が他社の代表取締役を兼ねていた。休眠証明等がなければ常勤とみなされない。
  3. 経管・専技候補者が配偶者の被扶養者になっていた。常勤性が推定できず、そのままでは就任できない。
  4. 営業所写真でブラインドが閉まっていた、応接スペースが写っていない。撮り直しになる。
  5. 賃貸借契約書の使用目的が「住居」だった。特約または賃貸人の承諾書が必要。
  6. 証明書の発行から3か月を過ぎていた。準備に時間がかかった案件で頻発する。
  7. 実務経験10年の証明で、期間の重複や空白があった。同一期間を複数業種で二重にカウントすることはできない。
  8. 午後4時を過ぎて発券機に並んだ。手数料の納入を伴う申請は入金できず、その日は受け付けられない。

いずれも要件そのものではなく、証明の方法でつまずいています。要件を満たしていることと、東京都が求める形で証明できることは別の問題です。


自分で申請するか、行政書士に依頼するか

自分で申請しても現実的なケース

  • 経管も営業所技術者等も、国家資格と現職の登記で完結する(実務経験の証明が不要)
  • 自社所有または事業用契約の事務所があり、営業所要件で迷う点がない
  • 決算書がすでに建設業の様式で作られている
  • 平日日中に都庁へ複数回行ける

依頼したほうが早いケース

  • 実務経験10年で証明する(過去の契約書・注文書の収集と整理が主戦場になる)
  • 常勤役員等をロ(直接補佐者3名)で組む
  • 個人事業から法人成りした直後、または事業承継・合併を控えている
  • 決算変更届が未提出のまま更新期限が近い
  • 特定建設業許可を取りたいが、財務諸表が4要件を満たすか判断できない

判断の目安。「要件を満たしているか自分で言い切れない」段階なら、書類を作り始める前に一度相談したほうが、結果として早く安く終わります。作り始めてからの方針変更が、いちばん時間を失います。


よくある質問

東京都の建設業許可は、申請してからどのくらいで下りますか。
東京都の標準処理期間は、許可申請書の受付後25日(土日祝日等の閉庁日を除く)です。暦日では約5週間になります。書類の準備期間を含めると、相談から許可まで2〜3か月をみておくのが現実的です。
東京都の建設業許可の費用はいくらですか。
東京都に納める手数料は、新規・許可換え新規・般特新規が9万円、業種追加・更新が5万円です。一般建設業と特定建設業を同時に新規申請する場合は9万円と9万円で18万円になります。これに登記事項証明書などの実費(役員数によりますが5,000円から1万円程度)と、行政書士に依頼する場合の報酬が加わります。納付された手数料は還付されません。
500万円未満の工事しかしていませんが、許可は必要ですか。
建築一式工事以外で1件の請負代金が税込500万円未満であれば、軽微な建設工事として許可は不要です。ただし消費税込みで判定すること、一つの工事を分割した場合は合計額で判定すること、注文者が材料を提供する場合はその市場価格を加えることに注意してください。なお、元請から許可の取得を求められて取得する事業者も増えています。
東京都知事許可と国土交通大臣許可は、どちらを取ればよいですか。
営業所が東京都内のみにあるなら東京都知事許可、2つ以上の都道府県にあるなら国土交通大臣許可です。工事をする場所は関係ありません。東京都知事許可でも、都内の営業所で締結した契約に基づく工事であれば他県で施工できます。ただし、許可を持っている業種について他の道府県の本支店で契約する場合は、軽微な建設工事であっても大臣許可が必要になります。
東京都の建設業許可の更新申請は、いつから受け付けてもらえますか。
東京都知事許可の更新申請の受付期間は、5年間の有効期間が満了する日の2か月前から30日前までです。「3か月前から」という説明を見かけますが、東京都は2か月前からです。30日前を過ぎると受け付けてもらえません。
常勤性の確認資料は、令和8年7月1日から何が変わりましたか。
東京都都市整備局市街地建築部建設業課「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日)により、①申請者への所属を証明する資料と、②本人の生年月日を確認できる資料の2段構えになりました。法人は①が原則で、①に生年月日の記載がない場合に②を追加します。個人事業主は①(直近決算の個人所得税確定申告書の写し。他の事業者の社会保険へ加入していないことの証明)と②の両方が必要です。健康保険証の写しは令和7年12月2日以降の提出時は不可、マイナンバーカード(マイナ保険証)も令和8年7月1日の変更で確認資料の列挙から外れました。対象は常勤役員等(経管)、営業所技術者等(専技)、直接補佐者、令3条の使用人の4者で、更新申請でも必要です。
東京都の手引にはマイナンバーカードと書いてあります。どちらが正しいのですか。
令和8年7月1日のお知らせが優先します。令和7年度の手引P57・P64には令和6年12月20日時点の内容が残っており、マイナンバーカード(マイナ保険証)の表面が列挙されたままです。東京都はお知らせで、変更内容が手引P57及びP64に係るものであることを示しています。手引だけを見て準備すると、窓口で通りません。
自宅を営業所にして東京都の建設業許可を取れますか。
取れる場合があります。居住部分と適切に区別され独立性が保たれていること、看板・標識等で外部から建設業の営業所と分かる表示があること、執務スペースと応接スペースがあることが必要です。住居と同一建物内にある場合は、営業所写真に加えて間取り図(手書き可)、入口から事務所までの動線部分の写真、営業所スペースが住居スペースと明確に区分されていることが分かる写真の提出を求められます。賃貸の場合は、賃貸借契約書の使用目的が事業所用・店舗用であること(住居用なら特約または賃貸人の承諾書)が必要です。
経営業務の管理責任者になれる人が社内にいません。どうすればよいですか。
選択肢は3つです。①要件を満たす人を役員として招く、②規則ロの経営体制(建設業に関し2年以上の役員等経験に加え、財務管理・労務管理・業務運営それぞれについて自社で5年以上の業務経験がある直接補佐者3名分)を組む、③要件を満たすまで待つ。②の直接補佐者は他社での業務経験が認められない点に注意してください。
特定建設業許可はどんなときに必要ですか。
発注者から直接請け負った工事について、下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合です。令和7年2月1日の施行令改正で、従来の4,500万円(建築一式7,000万円)から引き上げられました。下請として受注する場合や自社施工のみの場合は、金額にかかわらず一般建設業許可で足ります。
建設業許可の申請を、行政書士以外に頼んでもよいですか。
いけません。東京都の手引は「申請手続の代理については、法律で行政書士又は弁護士に限られています」と明記しており、書類提出の際に身分証明書の提示を求める場合があるとしています。無資格者が業として代理や書類作成を行うことは行政書士法第19条違反です。
電子申請(JCIP)で申請すれば早くなりますか。
標準処理期間は同じ25日です。窓口へ行く必要がなくなる点と、手数料をペイジーで納付できる点が利点です。ただし事前にGビズIDの取得が必要で、その取得に日数がかかります。また事業承継等の認可申請には対応していません。
許可を取った後、最初にやることは何ですか。
店舗と工事現場ごとに標識(建設業の許可票)を掲示することと、事業年度終了後4か月以内に決算変更届を出す体制をつくることです。決算変更届の未提出は更新申請ができなくなる直接の原因になります。あわせて、経管・営業所技術者等に変更があったときの2週間以内の届出義務について、社内で誰が担当するかを決めておいてください。

まとめ

東京都で建設業許可を取る作業は、要件を満たすことよりも東京都が求める形で証明することに時間がかかります。この記事で挙げた数字と運用を、もう一度まとめます。

  • 許可が必要になる線引きは税込500万円(建築一式1,500万円/木造住宅150平方メートル)
  • 特定建設業が必要になるのは下請総額5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)(令和7年2月1日〜)
  • 手数料は新規9万円・更新5万円、還付なし
  • 標準処理期間は受付後25日(閉庁日を除く)
  • 更新の受付は満了の2か月前から30日前まで
  • 手数料を伴う申請は午後4時までに発券
  • 常勤性の確認資料は①所属を証明する資料+②生年月日を確認できる資料(令和8年7月1日〜。健康保険証もマイナンバーカードも不可)
  • 営業所写真はブラインドを開けて、執務・応接スペースが分かるように

これらはほとんどが東京都の令和7年度手引に書かれています。ただし手引は270ページを超えて必要な記載が分散しているうえ、常勤性の確認資料だけは手引P57・P64が変更前のままで、令和8年7月1日のお知らせが最新です。自社にどれが当てはまるかを最初に切り分けておくと、その後の作業量が変わります。

情報源

  • 建設業法(昭和24年法律第100号)、建設業法施行令、建設業法施行規則(e-Gov法令検索)
  • 東京都都市整備局市街地建築部建設業課「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」P7、P57、P64、P74、P108
  • 東京都都市整備局市街地建築部建設業課「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日)
    常勤性確認書類の取り扱い変更について(東京都都市整備局)
  • 東京都都市整備局市街地建築部建設業課「健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類について」(令和6年12月20日)
  • 東京都都市整備局「建設業許可|建設業者の指導等」(申請窓口・受付時間・お知らせ)
  • 東京都都市整備局「東京都知事許可の電子申請について」
  • 国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」
  • 国土交通省「国土交通大臣に係る建設業許可及び建設業者としての地位の承継の認可の基準及び標準処理期間について」
  • 建設業法施行令の一部を改正する政令(令和7年2月1日施行/金額要件の見直し)
  • 中央建設業審議会「労務費に関する基準」(令和7年12月2日勧告)、改正建設業法・入契法(令和6年法律第49号/令和7年12月12日全面施行)
  • 東京都都市整備局「建設工事の請負契約に関する法令遵守の徹底について」(令和8年7月6日)

更新履歴

  • 2026年9月7日:常勤性の確認資料の記述を全面改訂。東京都都市整備局市街地建築部建設業課「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日)に照らし、「健康保険証は不可・マイナ保険証か資格確認書」という旧取扱い(令和6年12月20日通知)の記述を、①所属を証明する資料+②生年月日を確認できる資料の2段構えに差し替え。マイナンバーカードが確認資料の列挙から外れたこと、令和7年度手引P57・P64が変更前のままであること、対象が経管・専技・直接補佐者・令3条の使用人の4者で更新申請でも必要であることを明記。法人用確定申告書の「別紙一」を「別表一」に修正。常勤性が否定される事情を4類型から5類型に整理し、他社の代表取締役を兼ねる場合の例外条件が経管と専技で異なることを追記。
  • 2026年8月26日:全面改稿。東京都「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」の記載(標準処理期間25日、更新受付2か月前〜30日前、手数料9万円・5万円、常勤性確認資料における健康保険証の取扱い、営業所写真の撮影要領)に照らして数値と運用を更新。令和7年2月1日施行の施行令改正(5,000万円/8,000万円)および令和7年12月12日全面施行の改正建設業法を反映。
  • 2026年8月2日:初版公開。

特定行政書士 萩本 昌史(はぎもと まさし)
行政書士萩本昌史事務所(東京都世田谷区)/日本行政書士会連合会 登録番号 24080582
東京都の建設業許可について、新規申請・業種追加・更新・各種変更届・決算変更届・経営事項審査・入札参加資格申請を支援しています。実務経験10年の証明、経管候補者が見つからない場合の経営体制の設計、技術者の退職に伴う緊急対応もご相談いただけます。

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