

建設業許可は、資格を「取ったとき」に与えられるものではありません。資格を持ち続けている限りにおいて、続いているだけです。
営業所技術者が退職した日、経営業務の管理責任者が他社の常勤役員になった日、監理技術者講習の受講から5年が過ぎた日。そのどれもが、書類の上では何も起きていないのに、法律の上では許可の土台が崩れた日になり得ます。
このページでは、「資格を取る話」ではなく「資格を切らさない仕組みをどう社内に置くか」を扱います。条文・政省令・東京都の手引という一次資料にそって、資格管理を属人的な記憶から、台帳とカレンダーで回る業務へ移すための設計図を示します。
建設業許可の要件は、申請時にだけ問われるものではありません。建設業法第7条は「許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない」と定めていますが、この基準は許可の存続要件でもあります。
そのことは、第29条第1項第1号がはっきり示しています。
国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。
一 一般建設業の許可を受けた建設業者にあつては第七条第一号又は第二号、特定建設業者にあつては同条第一号又は第十五条第二号に掲げる基準を満たさなくなつた場合
(建設業法第29条第1項第1号)
条文は「取り消すことができる」ではなく「取り消さなければならない」です。行政庁に裁量の余地はありません。経管が不在になった、営業所技術者が不在になった——その状態が続けば、許可は制度上、残れないのです。
要件が欠けたとき、事業者側には届出義務が課されます。ここは2つの条文を区別して理解する必要があります。
| 状況 | 根拠条文 | 期限 | 提出するもの |
|---|---|---|---|
| 営業所技術者が営業所に置かれなくなった/要件に該当しなくなった場合で、代わるべき者がいるとき | 建設業法第11条第4項 | 2週間以内 | 後任者に関する第6条第1項第5号の書面 |
| 第7条第1号(経管)・第2号(営業所技術者)の基準を満たさなくなったとき(=後任がいないとき等) | 建設業法第11条第5項 | 2週間以内 | その旨の届出書 |
東京都の手引(令和7年8月発行)でも、常勤役員等(経管)の変更、営業所技術者等(専技)の変更、健康保険等の加入状況の変更は「変更後2週間以内」、その他の変更事項および一部廃業は「変更後30日以内」、決算報告は「事業年度終了後4か月以内」と整理されています。
なお、営業所技術者等の変更を伴う営業所の新設・廃止・業種追加・業種廃止・一部廃業についても、東京都は「変更後2週間以内に届出が必要」としています。「営業所の話だから30日」と考えると期限を落とします。
「後任が決まってから出せばいい」という運用は危険です。建設業法第50条第1項は次のように定めています。
これらに該当した場合、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(情状により併科)です。届出を遅らせることは、単なる手続の遅れではなく、罰則の対象になり得る行為だという前提で設計してください。
あわせて押さえておきたいのが、工事現場側の罰則です。主任技術者・監理技術者を置かなかったときは100万円以下の罰金(法第52条第1号)、標識(許可票)を掲げないときは10万円以下の過料(法第55条第3号)です。資格管理の失敗は、許可・現場・掲示の三方向で顕在化します。
もうひとつ、実務でよく見る詰み方があります。決算変更届の未提出です。
東京都の手引は、決算報告について「期日の到来している決算報告の届出がされていない場合は、般・特新規申請、業種追加申請、更新申請はできません」と明記しています。加えて「提出を怠ると、過去の決算期の納税証明書が取得できない場合があり、許可の継続が困難となる恐れがあります」とも述べています。
資格の管理と届出の管理は、切り離せません。だから本記事では、資格台帳と年間カレンダーをセットで設計します。
資格管理が続かない会社には、共通点があります。すべての資格を1つのリストで管理しようとしていることです。失うものが違う資格を同じ表に並べると、優先順位がつきません。次の3層に分けてください。
| 対象 | 根拠条文 | 欠けたときに失うもの | 届出期限 |
|---|---|---|---|
| 常勤役員等(経管) | 法第7条第1号、規則第7条第1号 | 許可そのもの(必要的取消し) | 2週間以内 |
| 営業所技術者(一般建設業) | 法第7条第2号 | 当該業種の許可 | 2週間以内 |
| 特定営業所技術者(特定建設業) | 法第15条第2号 | 当該業種の特定許可 | 2週間以内 |
| 令第3条の使用人 | 法第6条、令第3条 | 従たる営業所の営業 | 2週間以内 |
第1層は人数で守れません。東京都の手引は「同一営業所内で、同一業種について複数の営業所技術者等(専技)を置くことはできません」としています。届出上の予備は置けないのです。
一方で、次の兼務は認められています。
ここに落とし穴があります。兼務が認められるということは、その1人が抜けたときに複数の要件が同時に崩れるということです。効率の良い体制は、そのまま単一障害点(SPOF)になります。
| 対象 | 根拠条文 | 配置が必要になる場面 |
|---|---|---|
| 主任技術者 | 法第26条第1項 | 請け負ったすべての建設工事 |
| 監理技術者 | 法第26条第2項、令第2条 | 元請で下請代金の総額が5,000万円(建築一式8,000万円)以上 |
| 専任配置 | 法第26条第3項、令第27条 | 請負代金4,500万円(建築一式9,000万円)以上の政令で定める重要な工事 |
| 監理技術者補佐(監理技術者を補佐する者) | 法第26条第3項第2号、令第29条 | 専任特例2号を使う場合 |
第2層は、資格者証と講習という「期限のある資格」が絡む唯一の層です。詳細は第3章で扱います。
経営事項審査(経審)を受け、公共工事の入札に参加する会社では、資格は「要件」であると同時に「点数」です。
| 対象 | 経審での位置づけ |
|---|---|
| 法第7条第2号・第15条第2号に該当する技術職員 | Z(技術力)の技術職員数 |
| 登録基幹技能者講習の修了者 | Z(技術力)の評価対象 |
| 建設業経理士等(登録経理試験合格者) | W5(建設業の経理の状況) |
| CPD単位取得・技能者の資格取得 | W1「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」 |
| CCUS(就業履歴の蓄積) | W1「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」 |
第3層は、欠けても許可は消えません。しかし静かに点数が下がり、翌年の受注機会が減ります。気づきにくいぶん、カレンダー管理の価値が最も高い層です。
資格管理でいちばん多い事故は、資格そのものを失うことではありません。資格は持っているのに、期限管理を落として使えなくなることです。
建設業法第27条の18第4項は「資格者証の有効期間は、五年とする」と定め、第5項で「資格者証の有効期間は、申請により更新する」としています。そして建設業法施行規則第17条の40は、更新申請の期限をこう定めています。
法第二十七条の十八第五項の規定による資格者証の有効期間の更新の申請は、当該資格者証の有効期間の満了の日の三十日前までに新たな資格者証の交付を申請することにより行うものとする。
「満了日までに出せばよい」ではありません。30日前が締切です。
ここは多くの解説記事が雑に書いている箇所です。正確な条文は次のとおりです。
法第二十六条第五項の規定により選任されている監理技術者は、当該選任の期間中のいずれの日においても同項の登録を受けた講習を受講した日の属する年の翌年から起算して五年を経過しない者でなければならない。
(建設業法施行規則第17条の21)
資格管理カレンダーには「講習の期限日」ではなく「工事期間中に期限が到来する技術者」を載せてください。着工前チェックで拾えるのは前者、事故を防げるのは後者です。
なお、法第26条第5項は、専任の者でなければならない監理技術者(同項各号に規定する監理技術者を含む)は、資格者証の交付を受け、かつ講習を受講した者から選任しなければならないと定めています。専任特例1号・2号を使って兼任している監理技術者も、資格者証と講習の要件からは免れません。法第26条の5第3項も、営業所技術者等が監理技術者の職務を兼務する場合について同じ要件を課しています。
建設業法施行規則第17条の38は、次のように定めています。
資格者証の交付を受けている者は、次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、三十日以内に、国土交通大臣に届け出て資格者証に変更に係る事項の記載を受け、又は新たな資格者証の交付を申請しなければならない。
一 氏名又は住所を変更したとき。
二 資格者証に記載されている監理技術者資格を有しなくなつたとき。
三 資格者証の交付を受けている者が建設業者の業務に従事している場合にあつては、第十七条の三十六第一項第三号に掲げる事項について変更があつたとき。
第3号が実務上の急所です。転職・出向・社名変更などで所属建設業者に関する記載が変われば、30日以内の届出が必要になります。中途採用で監理技術者を迎えた会社は、入社日から30日以内という時計が動いていることに気づいていないことが少なくありません。
また、資格者証の記載事項には「交付を受ける者が法第26条第5項の講習を修了した場合にあつては、修了した旨」が含まれます(規則第17条の37第1項第9号)。資格者証と講習修了は1枚のカードで確認できますが、有効期間の起算はそれぞれ別だという点は押さえてください。
建設業法施行規則第18条の3第3項第2号ロは、経審で評価される「建設業の経理に関する業務の責任者」について、登録経理試験に合格した者であって「合格した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して五年を経過しないもの」と定めています。合格から一定期間が過ぎた後も加点を維持するには、登録経理講習の受講が必要です。ここも「合格=永久」ではありません。
常勤性には期限がありません。だからこそ管理が難しい要件です。東京都の手引は、営業所技術者等の常勤性・専任性について、実務上きわめて具体的な注意事項を挙げています。
役員報酬の減額、扶養への切り替え、家族の事情による転居、グループ会社の代表就任。いずれも総務の判断で起きうる出来事が、そのまま許可要件を壊すという構造になっています。資格管理を技術部門だけの仕事にしてはいけない理由がここにあります。
| 項目 | 期間・期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 建設業許可の有効期間 | 5年(満了の30日前までに更新申請) | 法第3条第3項、規則第5条 |
| 監理技術者資格者証 | 5年(更新申請は満了の30日前まで) | 法第27条の18第4項、規則第17条の40 |
| 監理技術者講習 | 受講日の属する年の翌年から起算して5年 | 規則第17条の21 |
| 資格者証の記載事項変更 | 変更から30日以内 | 規則第17条の38 |
| 経管・営業所技術者等の変更 | 変更後2週間以内 | 法第11条第4項・第5項 |
| その他の変更事項 | 変更後30日以内 | 法第11条第1項 |
| 決算変更届 | 事業年度終了後4か月以内 | 法第11条第2項 |
| 登録経理試験合格者の評価 | 合格年度の翌年度開始日から5年 | 規則第18条の3第3項第2号ロ |
資格管理の設計は、制度の現在地を前提にしなければ意味がありません。ここ数年で、技術者配置のルールは大きく動きました。
| 基準 | 改正前 | 改正後(現行) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 特定建設業許可・監理技術者の配置が必要となる下請代金の総額 | 4,500万円(建築一式7,000万円) | 5,000万円(建築一式8,000万円) | 令第2条 |
| 主任技術者・監理技術者の現場専任が必要となる請負代金 | 4,000万円(建築一式8,000万円) | 4,500万円(建築一式9,000万円) | 令第27条 |
「毎年ぎりぎり特定建設業の水準だった」会社は、この改正で必要な体制が変わっている可能性があります。自社の許可区分と技術者要件を、改正後の金額で棚卸しし直すことをおすすめします。
次の要件をすべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 請負金額 | 1億円未満(建築一式工事は2億円未満) | 令第28条 |
| 兼任現場数 | 2工事現場以下 | 令第30条 |
| 工事現場間の距離 | 1日の勤務時間内に巡回可能で、移動時間がおおむね2時間以内 | 規則第17条の2第1号 |
| 下請次数 | 3次まで | 規則第17条の2第2号 |
| 連絡員の配置 | 各工事に配置(土木一式・建築一式の場合は当該工事の実務経験1年以上の者) | 規則第17条の2第3号 |
| 施工体制を確認する情報通信技術 | 遠隔から現場作業員の入退場を確認できる措置 | 規則第17条の2第4号 |
| 人員配置計画書 | 作成し、現場に備え置き、帳簿と同じ期間営業所で保存 | 規則第17条の2第5号 |
| 現場確認用の情報通信機器 | 映像・音声の送受信が可能な機器と通信環境 | 規則第17条の3 |
工事現場に「監理技術者の職務を補佐する者」(1級技士補等)を専任で置く場合、同一の監理技術者が2現場まで兼任できます。主任技術者には適用できません。
営業所に専任で置かれている営業所技術者・特定営業所技術者が、専任を要する工事現場の主任技術者・監理技術者を兼務できる制度です。基本的な要件は専任特例1号と同じですが、次の点が異なります。
併用はできません。国土交通省は、①専任特例1号を活用した現場と専任特例2号を活用した現場を同一の技術者が兼務することはできないこと、②営業所技術者等が現場を兼務する場合に法第26条第3項ただし書を併用できないことを明示しています。「合わせ技で3現場」は成立しません。
兼任制度を使った場合、標識(建設業の許可票)の「専任の有無」欄の記載が変わります。国土交通省の記載要領は次のとおりです。
標識の不掲示は過料の対象です(法第55条第3号)。制度を使うなら、掲示の更新までが一連の手続だと考えてください。
制度が新しくなっても、古い通達が消えたわけではありません。自社の工事の並びによっては、新制度より従来の運用のほうが要件が軽いこともあります。
営業所技術者等・常勤役員等の要件充足状況、資格の期限、届出の履行状況を一覧に整理する「資格棚卸し」からご相談を承っています。まだ何も起きていない段階でのご相談が、もっとも効果的です。
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Excelで十分です。重要なのは項目の定義です。
| 列 | 内容 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 氏名/生年月日 | 本人特定 | 同姓同名・改姓の追跡 |
| 所属営業所 | 主たる/従たる | 営業所ごとの専任判定に必須 |
| 建設業許可上の役割 | 経管/営業所技術者/特定営業所技術者/令3条使用人/なし | 第1層の充足状況が一目でわかる |
| 担当業種 | 業種コード(29業種) | 業種ごとの穴を検出する |
| 資格の種類・番号・取得年月日 | 1級・2級、技術士、建築士等 | 証明書類との突合 |
| 実務経験による証明の有無 | 有/無・証明済期間 | 「資格者ではなく経験者」の再証明リスクを可視化 |
| 監理技術者資格者証 交付日/有効期限 | 5年 | 更新は満了の30日前まで |
| 監理技術者講習 受講日/有効期限 | 受講年の翌年から5年 | 起算方法を列の名称に書いておく |
| 資格者証 記載事項の最終確認日 | 氏名・住所・所属 | 30日以内届出の起点 |
| 常勤性の確認書類・最終確認日 | 健保証・標準報酬決定通知書等 | 更新申請・変更届で必ず問われる |
| 社会保険の加入状況 | 健保・厚年・雇用 | 許可要件かつ経審項目 |
| 現在の現場配置 | 現場名・専任/非専任・兼任区分 | 二重配置の事故を防ぐ |
| CCUS技能者ID/レベル | 該当者のみ | 経審・現場入場管理 |
| 退職・定年予定年月 | 判明分 | SPOFマップの入力 |
台帳は「人事の名簿」ではなく「許可の設計図」です。営業所と業種と役割の3つを必ず持たせてください。この3つがそろって初めて「この業種はこの営業所で1人しかいない」という危険が見えます。
資格管理は、思い出したときにやる仕事にすると必ず途切れます。決算期を起点に固定してください。
| 時期 | やること | 根拠・目的 |
|---|---|---|
| 事業年度終了後すぐ | 決算変更届の資料準備(工事経歴書・財務諸表の組替え) | 法第11条第2項(4か月以内) |
| 事業年度終了後4か月以内 | 決算変更届の提出 | 未提出だと更新・業種追加ができない |
| 毎年同月(年1回) | 資格台帳の全件棚卸し(常勤性・社会保険・資格期限) | 要件は「状態」だから |
| 毎年同月(年1回) | 資格者証・講習の期限が翌18か月以内に到来する人の抽出 | 更新申請は満了30日前まで |
| 経審を受ける年 | 審査基準日前にCPD・CCUS・経理士の状況を確認 | W1・W5の加点確保 |
| 許可満了の6か月前 | 更新申請の要件確認(経管・営業所技術者の在籍と常勤性) | 満了30日前が申請期限 |
| 許可満了の3か月前 | 更新申請の提出 | 東京都では満了30日前を過ぎるとJCIP(電子申請)で受け付けられない |
| 入社・退職・異動の都度 | 第1層に影響するかを判定 → 影響あれば2週間以内に届出 | 法第11条第4項・第5項 |
| 着工の都度 | 配置予定技術者の資格・講習が工期末まで有効かを確認 | 規則第17条の21 |
台帳ができたら、業種×営業所のマトリクスを作り、各セルに「その要件を満たせる社内の人数」を書きます。
| 業種 | 本店(営業所技術者になれる人数) | 〇〇営業所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 管工事 | 3 | 1 | 営業所は要注意 |
| 電気工事 | 1 | 0 | 危険(SPOF) |
| 内装仕上工事 | 2 | 2 | 安定 |
セルが「1」または「0」の業種が、その会社の急所です。ここに該当する業種については、次の3択をあらかじめ決めておきます。
3の選択肢を意識的に持つことは重要です。要件を満たせないまま許可を持ち続けることが、いちばんリスクの高い状態です。一部廃業も届出(変更後30日以内、営業所技術者等の変更を伴う場合は2週間以内)で対応できます。
「2人目を育てる」は、以前より現実的になりました。令和6年度から施工管理技術検定の受検資格が見直されています。
1級の第二次検定については、1級第一次検定合格後に「実務経験5年以上」「特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上」「監理技術者補佐としての実務経験1年以上」のいずれか、または2級第二次検定合格後に「実務経験5年以上」「特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上」(いずれも1級第一次検定合格者に限る)といったルートが用意されています。なお、令和6年度から令和10年度までは経過措置期間とされ、第二次検定は旧受検資格と新受検資格の選択が可能です。
ここで効いてくるのが1級技士補です。1級第一次検定に合格した段階で、令第29条の「監理技術者を補佐する者」になり得ます。つまり若手が、
という階段を上れます。会社の現在の配置効率と、将来の資格者確保が、同じ制度の上でつながっているわけです。持続可能な資格管理とは、この階段を意図して設計することにほかなりません。
仕組みを作っても、事故は起きます。起きた後の手順を先に決めておくことも、資格管理の一部です。
| 判定 | 届出 | 期限 |
|---|---|---|
| 後任がいる | 法第11条第4項の書面(後任の営業所技術者等) | 2週間以内 |
| 後任がいない | 法第11条第5項の届出(要件を満たさなくなった旨) | 2週間以内 |
| 当該業種を維持しない | 一部廃業届(営業所技術者等の変更を伴う場合) | 変更後2週間以内 |
「後任が決まるまで届出を止める」という判断は、法第50条第1項第3号の罰則リスクを負う選択です。判断に迷う場合は、届出期限を延ばす方向ではなく、後任の確定を早める方向で動いてください。
東京都では、常勤役員等(経管)に関する申請・届出は原則として窓口受付とされており、電子申請(JCIP)では受け付けられません。また、5年を超える経営経験・実務経験を請求書等で証明する場合も窓口です。有事の際は「電子で出せる前提」で段取りを組まないことをおすすめします。
経営事項審査を受ける会社にとって、資格管理は守りだけの仕事ではありません。令和8年2月6日に公布され、令和8年7月1日以降の申請から適用されている改正は、「担い手の育成・確保」を正面から評価する内容です。
| 審査項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(民間工事を含む全ての建設工事) | 15点 | 10点 |
| 同(全ての公共工事) | 10点 | 5点 |
| 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無 | — | 5点(新設) |
| 知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況 | 10点 | 10点 |
| 雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況(W1-1〜W1-3) | 各▲40点 | 審査項目から削除 |
| 建設機械の保有状況 | 既存9機種 | 不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャを追加 |
社会保険の減点項目が削除された理由は、資格管理の観点から示唆的です。国土交通省は、令和2年10月1日以降の建設業許可要件に社会保険加入が追加され、許可の更新期間が5年であることから、令和7年10月1日以降に許可を保有する建設業者は社会保険加入を満たしていることとなるため、経審で改めて確認する必要性が乏しいと説明しています。
つまり、許可要件を満たしていることが前提化されたということです。減点で守られていた時代は終わり、これからは「知識及び技術又は技能の向上に関する取組」「就業履歴の蓄積」「自主宣言」といった、能動的な取組でしか差がつかない構造になります。資格管理を人事総務のルーティンから、経営指標に接続する時期に来ています。
制度は、担い手不足を前提に組み替えられつつあります。金額基準の引上げ、兼務・兼任制度の新設、経審での育成評価の強化。いずれも「資格を持つ人を、どう配置し、どう増やすか」を問う方向に向かっています。資格管理は、守りのコストではなく、受注体制そのものです。
「誰が抜けたら、どの業種の許可が止まるのか」を可視化するところから始められます。要件を満たしているか自信がない、という段階でのご相談で構いません。
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