決算変更届(事業年度終了届)|東京都の別紙8・正副2部・2番窓口と4か月の期限

決算変更届(事業年度終了届)|東京都の別紙8・正副2部・2番窓口と4か月の期限

東京都知事許可の決算変更届(決算報告)を、令和7年度の東京都の手引と最新の運用にもとづいて整理しました。期限は事業年度終了後4か月以内、提出は建設業課 審査担当2番窓口へ正本・副本の2部、法定手数料はなし。別紙8の書き方、工事経歴書が経審の有無で変わること、未提出分は1期につき1冊で出すことまで。

最終更新:2026年9月8日/東京都都市整備局市街地建築部建設業課「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」P11・P19・P30〜P32・P34〜P38・P85〜P86・P94〜P95・P114、同局「建設業許可申請書類の郵送対応について」(2026年7月1日更新)、同課リーフレット「東京都知事許可建設業者のみなさまへ」、および建設業法・同施行規則の条文と突合済み。執筆:特定行政書士 萩本昌史(日本行政書士会連合会 登録番号 24080582)

決算変更届は、建設業許可を受けている会社と個人事業主が、毎事業年度が終わるたびに、その年度の工事実績と決算内容を許可行政庁へ報告する届出です。建設業法第11条第2項に定められた義務で、期限は事業年度終了後4か月以内。東京都ではこの届出を「決算報告」と呼び、表紙には東京都独自の別紙8「変更届出書」を使います。このページでは、令和7年度の東京都の手引に書かれている提出部数・窓口番号・様式番号・納税証明書の年度表記まで、実際に都庁で受理されるための条件をそのまま並べました。

先に結論(8行)

  • 期限は事業年度終了後4か月以内。税務申告のような延長制度はありません(建設業法第11条第2項)。3月決算なら7月31日、12月決算と個人事業主なら4月30日です。
  • 東京都の提出先は「審査担当2番窓口」です。都庁第二本庁舎3階南側。新規・業種追加を出す1番窓口とは別です(手引P11)。受付は午前9時〜午後5時。手数料が不要な届出なので、申請の「午後4時までに番号札」という締切は決算報告には関係ありません。
  • 提出部数は正本・副本の2部です。申請書と違い、決算報告には電算入力用紙が要りません(手引P86の入力用紙欄はすべて「―」)。
  • 表紙は東京都独自の別紙8「変更届出書」。(1)から(11)の番号を○で囲みます。(1)〜(4)は必ず、(5)〜(8)は該当するものだけ、(9)(10)は事業年度内に変更があった場合だけ、(11)は事業年度内に従業員数の変更があった場合だけです(手引P94)。
  • 健康保険等の加入状況は「様式第7号の3」です。「様式第20号の3」は主要取引金融機関名という全く別の書類です。この取り違えは多くの解説記事に残っています。
  • 工事経歴書の「完成工事高の7割まで」というルールは、経営事項審査を受ける会社の話です。経審を受けないなら、東京都の手引は「主な完成工事(10件程度)について、請負代金の額の大きい順に記入」としています(手引P30)。「10件までは必ず記載」という決まりはありません。
  • 出し忘れの罰則は「6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」です。令和7年6月1日施行の刑法改正で懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。法人にも同額の罰金が科されます(建設業法第50条第1項第2号・第53条第2号)。更新・業種追加・般特新規・事前認可の各申請も受け付けてもらえません。
  • 遅れた分を複数年度まとめて1冊にとじて出すことはできません。東京都の手引P94が明記しています。1期につき1冊を作り、古い期から順に提出します。

この記事の早見表(東京都知事許可・決算変更届)

出典:東京都都市整備局「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」P11・P19・P85〜P86・P94、同局「建設業許可申請書類の郵送対応について」
東京都での呼び方 決算報告(届出書そのものの名称は「変更届出書」=別紙8)。全国的には決算変更届・事業年度終了届・決算報告書とも呼ばれます
根拠条文 建設業法第11条第2項、建設業法施行規則第10条
期限 毎事業年度終了後4か月以内。延長制度はありません
提出先 東京都都市整備局 市街地建築部 建設業課 審査担当2番窓口(〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1 都庁第二本庁舎3階南側)
受付時間 午前9時〜午後5時(申請は午前9時〜午後4時)。決算報告は手数料が不要な届出のため、番号札の午後4時締切の対象外です
提出部数 正本・副本 各1部(計2部)。電算入力用紙は不要
手数料 なし(法定手数料・収入印紙とも不要)
郵送 。宛先は審査担当2番窓口。封筒表面に【許可番号】【決算報告書○期分在中】を朱書きし、返信先を記入したレターパックを同封します
電子申請 JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)で可能。事前にGビズIDの取得が必要です
証明書の有効期限 発行日のある添付書類は発行日から3か月以内。ただし納税証明書と閉鎖事項証明書は3か月ルールの対象外です(手引P86)
未提出だとできないこと 更新申請・業種追加申請・般特新規申請・事前認可申請の受付(手引P85)、経営事項審査の受審、公共工事の入札参加
罰則 6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(建設業法第50条第1項第2号)。情状により併科(同条第2項)。法人にも100万円以下の罰金(同法第53条第2号)
遡及提出のしかた 1期につき1冊。複数年度分を1冊にとじ込むことはできません(手引P94)
提出後に間違いが見つかったら 提出済みの届出は書き換えられません。決算訂正の変更届を1期ごとに別途提出します(手引P95)
当事務所の報酬 50,000円(税別)から。未提出年度の遡及提出は1期50,000円から、経審対応版(財務諸表の経審様式変換込み)は70,000円から、決算変更届と経審のセットは160,000円から
依頼から提出までの目安 標準的な案件で2〜3週間。工事件数が多い場合や数期分の遡及がある場合は別途お見積り

1. 決算変更届とは何か(名前が3つある理由)

決算変更届とは、建設業許可を受けている者が、毎事業年度が終了した後に、その事業年度の工事経歴・工事施工金額・財務諸表などを許可行政庁に提出する届出をいいます。根拠は建設業法第11条第2項で、提出すべき書類の中身は建設業法施行規則第10条が定めています。

この届出には呼び名が複数あります。同じものを指しているので、どれで検索しても中身は変わりません。
同じ届出を指す3つの呼び名
呼び名 どこで使われるか
決算報告 東京都の公式表記。手引の目次・窓口案内・チェックリストはすべてこの語です
決算変更届 東京都の手引P86の見出しにも併記されています。行政書士・建設業者の間で最も通用する呼び方
事業年度終了届 他の道府県で多い表記。国土交通省の資料でも使われます
「変更届」という名前が最大の誤解のもとです。東京都に出す届出書の様式名は「変更届出書」(別紙8)ですが、これは会社に変更があったときだけ出す書類ではありません。変更が何もなくても、工事の実績が1件もなくても、許可を持っている限り毎年必ず提出します。

許可通知書(「建設業の許可について(通知)」)の表面下部には書類提出期限が記載されています。更新期限のお知らせは東京都から送られてこないため、この通知書がご自身の管理の起点になります。

個人事業主も対象です

建設業許可は法人だけのものではありません。個人事業主で許可を受けている方も、まったく同じ義務を負います。個人の事業年度は1月1日から12月31日ですので、期限は毎年4月30日です。財務諸表は法人用ではなく様式第18号・第19号(個人用)を使います。

2. 提出期限は「事業年度終了後4か月以内」(決算月別カレンダー)

建設業法第11条第2項は「毎事業年度経過後四月以内に」と定めています。法人税の申告期限のような延長制度はありません。法人税は定款の定め等により1か月延長できますが、決算変更届にその仕組みはありません。

決算月別の提出期限(4か月以内。民法第143条により、起算日の応当日の前日が満了日)
決算月(事業年度終了月) 提出期限 決算月 提出期限
1月決算 5月31日 7月決算 11月30日
2月決算 6月30日 8月決算 12月31日
3月決算(最も多い) 7月31日 9月決算 1月31日
4月決算 8月31日 10月決算 2月28日(うるう年は2月29日)
5月決算 9月30日 11月決算 3月31日
6月決算 10月31日 12月決算(個人事業主を含む) 4月30日
8月決算と12月決算は注意が必要です。形式上の満了日はそれぞれ12月31日・4月30日ですが、12月31日は都庁の閉庁日です。期間の末日が行政庁の閉庁日にあたる場合、実務上は翌開庁日に受け付けられる扱いですが、期限当日に窓口が開いていることを前提にした計画は立てないでください。郵送であれば消印ではなく到達で判断されるため、なおさら余裕が必要です。
「4か月もある」は錯覚です。法人の税務申告に通常2か月を使うため、決算が確定してから決算変更届の準備に使える実質的な期間は2か月ほどしかありません。そこから、税理士の決算書を建設業法の様式に組み替え、工事経歴書を作り、都税事務所で納税証明書を取る作業が始まります。納税証明書は法人事業税の申告・納付が済んでいないと取得できません。ここが遅れると、期限直前に手が止まります。

期限を過ぎてしまった場合

期限を過ぎても、受け付けてもらえないわけではありません。気づいた時点でできるだけ早く提出します。ただし、遅れの理由を尋ねられること、遅延理由書の提出を求められることがあります。何より、未提出の状態が続くと、次のセクション以降で説明する「更新申請ができない」という実害が確定します。

3. 東京都に出す書類の全リスト(本冊と別とじ)

東京都の手引P86は、決算報告の提出書類を「本冊にとじるもの」と「別とじにするもの」に分けて示しています。◎は必ず提出、△は必要に応じて提出という意味です。

本冊にとじる書類

決算報告の本冊(東京都の手引P86のとじ順)
とじ順 様式番号 書類名 法人 個人
1 別紙8 変更届出書(決算報告用)=表紙
2 様式第2号 工事経歴書
3 様式第3号 直前3年の各事業年度における工事施工金額
4 様式第15号〜第17号の3 財務諸表(法人用)
5 様式第18号〜第19号 財務諸表(個人用)
6 任意様式 事業報告書 ※特例有限会社を除く株式会社のみ
7 様式第4号 使用人数 ※既に提出の内容から変更がある場合のみ
8 定款(又は変更の議事録)※既に提出の内容から変更がある場合のみ
9 様式第7号の3 健康保険等の加入状況 ※既に提出の内容から人数に変更がある場合のみ

別とじにする書類

決算報告の別とじ(東京都の手引P86・P41)
とじ順 書類名 法人 個人
1 別とじ表紙(手引P41の様式)
2 事業税の納税証明書(次章で詳述)
「健康保険等の加入状況は様式第20号の3」と書いてある解説は間違いです。正しくは様式第7号の3です。様式第20号の3は「主要取引金融機関名」という別の書類で、決算報告には出しません。当事務所がこのページを点検したところ、旧版の記述に同じ誤りがあったため訂正しました。同様の誤りは他社の解説記事にも広く残っています。

あわせて、様式第7号の3の添付が必要なのは「加入人数に変更があった場合」だけです。加入状況そのもの(適用の有無)に変更があった場合は、決算報告ではなく変更後2週間以内の変更届として別に提出します(手引P86注19、P91)。

変更事項が決算報告だけの場合、法人番号の提示資料は不要です。直近の申請・届出で法人番号が未確認のときは通常、法人番号指定通知書の写しか国税庁法人番号公表サイトの検索画面コピーの提示を求められますが、手引P86は「変更事項が『No.1 決算報告』のみの場合は不要」としています。

4. 表紙になる別紙8「変更届出書」の書き方

東京都の決算報告は、別紙8という都独自の表紙から始まります。ここでつまずく方が多いので、手引P94の記入例をもとに要点を整理します。

(1)から(11)のうち、どれを○で囲むか

別紙8の本文には、次の11項目が並んでいます。該当するものの番号を○で囲むのが記載要領です。

別紙8の(1)〜(11)と、○を付ける条件(手引P94)
番号 項目 ○を付ける条件
(1) 工事経歴書 必ず提出(実績ゼロでも「実績なし」と書いて提出)
(2) 工事施工金額
(3) 貸借対照表及び損益計算書
(4) 株主資本等変動計算書及び注記表
(5) 事業報告書 特例有限会社を除く株式会社の場合のみ
(6) 附属明細表(様式第17号の3) 資本金が1億円を超える、又は貸借対照表の負債合計が200億円以上の株式会社のみ
(7) 所得税納付済額証明書 該当するものを提出(法人は事業税、個人は事業税または所得税)
(8) 事業税納付済額証明書
(9) 使用人数 事業年度内に変更があった場合のみ、期末の状況を提出
(10) 定款
(11) 健康保険等の加入状況 事業年度内に従業員数の変更があった場合のみ、期末の状況を提出

許可年月日の欄は「最も古い許可日」

複数の許可を受けている場合、別紙8の許可年月日には「現在有効な許可日のうち、最も古い許可日」を記入します(手引P94)。業種追加を重ねてきた会社は許可日が業種ごとに分かれていることがあり、ここを最新の許可日で書いてしまう誤記が起きやすい箇所です。

行政書士に依頼する場合の代理人欄

別紙8には代理人欄があります。行政書士等の代理人が提出する場合はここに記入し、委任状を2枚目に添付します。代理人が行政書士であるときは行政書士職印を押印します(手引P94)。申請者本人(申請法人の役員・従業員、個人事業主の事業専従者)が出す場合は記入不要です。

建設業許可の申請・届出を業として代理できるのは、行政書士または弁護士に限られます。行政書士でない者が報酬を得て書類を作成すると行政書士法違反になります。税理士事務所や経営コンサルタントに「ついでに」頼めるものではありません。

5. 工事経歴書(様式第2号)── 経審を受けるかどうかで書き方が変わる

決算変更届でいちばん手間がかかり、いちばん誤りが多いのが工事経歴書です。東京都の手引P30は、経営事項審査を申請する場合と申請しない場合で記入方法を明確に分けています。ここを取り違えている解説が非常に多いので、原文どおりに整理します。

経営事項審査を申請しない場合

手引P30の記載は次のとおりです。① 主な完成工事(10件程度)について、請負代金の額の大きい順に記入。② ①に続けて、主な未成工事について、請負代金の額の大きい順に記入。

つまり、経審を受けない会社に「完成工事高の7割まで」というルールは適用されません。目安は「主な完成工事10件程度」です。「10件までは必ず記載しなければならない」という決まりもありません。

経営事項審査を申請する場合

経審を受ける会社は、建設業法施行規則の記載要領(様式第2号)に従って、次の順に書きます。金額は消費税抜きで作成します(免税事業者は財務諸表に合わせて税込)。

  1. 元請工事を、元請だけの完成工事高の合計の7割を超えるところまで、請負代金の額の大きい順に記入します。
  2. 続けて、①で書かなかった元請工事または下請工事を、完成工事高の総計の7割を超えるところまで、請負代金の額の大きい順に記入します。元請工事を全部書く必要はありません。
  3. さらに続けて、主な未成工事を請負代金の額の大きい順に記入します。

軽微な建設工事(税込500万円未満、建築一式工事は税込1,500万円未満)は、①を含めて10件を超えて記入する必要はありません(建設業法施行令第1条の2第1項に規定する建設工事)。これが「10件」という数字の正体です。「10件まで必ず書く」ではなく「小さい工事は10件を超えて書かなくてよい」という上限側のルールです。
また、完成工事に係る請負代金の額の合計が1,000億円を超える場合、その超える部分は記載不要です。

大きい金額の下請工事があっても、必ず元請工事の下に記入してください(手引P30 ※1)。金額順に元請と下請を混ぜて並べるのは誤りです。

工事経歴書を作るときの実務ルール

  • 建設工事の種類ごとに用紙を分けて作成します。許可を受けているすべての業種について作成が必要です。
  • 実績がない業種も「実績なし」と記入して添付します。ただし実績のない業種が複数あるときは、工事経歴書を1枚にまとめて構いません。
  • 1件の請負契約を分割して、複数の工事経歴にしてはいけません。
  • 工事名は場所・内容が分かるように具体的に書きます。ただし個人の氏名が特定されないよう注意します(注文者「A」、工事名「A邸新築工事」等)。法人名・店舗名・ビル名は個人名ではないのでそのまま記入します。
  • 共同企業体として行った工事は「JV」と記入し、請負代金の額は共同企業体全体の額に出資割合を乗じた額または分担した工事額を記載します。
  • 配置技術者の欄には、その工事現場に置かれた技術者の氏名と、主任技術者・監理技術者の別を記載します。施工中に配置技術者が変わった場合は、変更前の者も含めて全員を記載します。監理技術者補佐を置いた場合、特定専門工事に該当して主任技術者を配置しなかった場合は、その旨を記載します。
  • 「小計」はページごとの合計「合計」は最終ページのみに記入します。合計欄は「この工事経歴書に書いた工事の合計」ではなく、直前決算期におけるその業種の全工事の件数と金額です。したがって様式第3号(直前3年の工事施工金額)の各業種の合計金額と一致します。

決算期の途中で業種追加をした会社は要注意です。手引P94の注1は「決算期内に業種追加等の申請を行った場合は、追加した業種についての工事経歴書の作成と直前3年の工事施工金額の記入も失念のないように」と明記しています。追加した業種の分を落として提出し、後から訂正届を出すことになるケースがよくあります。

6. 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)

様式第3号は、直近3事業年度の工事施工金額を業種別・元請下請別に整理する書類です。決算報告に添付する場合は、届出の対象となる事業年度を含めた3年間を決算期別に記入します(手引P32)。

  • 財務諸表の完成工事高と一致させます。
  • 各業種の工事経歴書の合計金額と一致させます。
  • 実績のない業種についても必ず記入します(まとめての記入は不可)。
  • 建設業以外の売上(兼業事業売上高)は記入しません。許可を受けていない建設工事の施工金額は「その他の建設工事の施工金額」欄に記入します。
  • 1枚につき4業種まで記入し、5業種目以降は2枚目を作成します。2枚以上になる場合、「その他の建設工事の施工金額」欄と「合計」欄は最終ページのみに記入します。
  • 業種の並び順は建設業許可申請書(様式第1号)の順番に合わせます。業種追加をした場合は、追加業種を加えて並べ替えます。
  • 金額の端数処理は切り捨て・四捨五入・切り上げのいずれでも可です(単位:千円)。
  • 決算期の変更があった場合は、直前「3年」分をカバーするために4期分以上の記入が必要になることがあります。

7. 税理士の決算書をそのまま出せない理由(財務諸表の組替え)

決算変更届の準備で最も戸惑うのがここです。東京都の手引P36は「必ず、建設業法で定める様式で作成すること(株主総会、税務申告等に提出した決算報告書は不可)」と明記しています。税理士が作成した決算書をそのまま持参しても受理されません。

使う様式

建設業法用の財務諸表(建設業法施行規則別記様式)
様式番号 書類名 対象
様式第15号 貸借対照表 法人
様式第16号 損益計算書・完成工事原価報告書 法人
様式第17号 株主資本等変動計算書 法人
様式第17号の2 注記表 法人
様式第17号の3 附属明細表 資本金1億円超、又は負債合計200億円以上の株式会社のみ
様式第18号 貸借対照表 個人
様式第19号 損益計算書 個人

勘定科目の組替え

税務会計から建設業法用への主な読み替え(勘定科目の分類は昭和57年建設省告示第1660号による)
税務会計の科目 建設業法用の科目
売上高 完成工事高(建設業以外は兼業事業売上高に分ける)
売上原価 完成工事原価(建設業以外は兼業事業売上原価に分ける)
売掛金 完成工事未収入金
買掛金 工事未払金
前受金 未成工事受入金
仕掛品 未成工事支出金
(内訳が必要) 完成工事原価報告書(材料費・労務費・外注費・経費の4区分)
注記表(様式第17号の2)は、該当しない項目であっても削除できません(手引P86)。株式譲渡制限会社で、記入が必要な項目に該当がない場合は「該当なし」と記入します。空欄にしたり行ごと削除したりすると補正になります。
税込・税抜は、工事経歴書・直前3年の工事施工金額・財務諸表の3つで一致させます(手引P36)。経営事項審査を申請する場合は「消費税抜」に統一します。免税事業者は財務諸表に合わせて税込で作成します。ここが揃っていないと、経審の段階でまとめてやり直しになります。
組替えは単なる名称の置き換えではありません。完成工事原価報告書の4区分(材料費・労務費・外注費・経費)に振り分けるには、実際の工事内容と支払の性質を見る必要があります。税理士の先生は税務会計の専門家であり、建設業法独自の様式は業務範囲の外です。建設業法用の財務諸表の作成は、行政書士の業務領域になります。

8. 納税証明書 ── 年度表記のズレでつまずかないために

決算報告の別とじに入れる納税証明書は、法人と個人でまったく別の書類です。しかも個人の場合、都税事務所と税務署で「年度」の呼び方が違うため、窓口で違うものを取ってしまう事故が起きます。手引P86の記載をそのまま整理します。

決算報告に添付する納税証明書(東京都の手引P86)
届出者 証明書の種類 発行機関 備考
法人 法人事業税 納税(課税)証明書 都税事務所 届け出る事業年度分について必要
個人(事業税の課税あり) 個人事業税 納税(課税)証明書 都税事務所 納税証明書の発行後に変更届出をしてください。更新申請等のため8月半ばまでに提出する場合は、申告所得税の「納税証明書(その2)」(摘要欄に「事業所得金額」の記載があるもの)を添付
個人(事業税が非課税) 申告所得税の納税証明書(その2) 税務署 摘要欄に「事業所得金額」の記載があるもの
都税事務所と税務署では、年度の表記が異なります(手引P86)。

たとえば令和6年度の決算変更届を提出する場合、必要なのは──都税事務所では「令和7年度」のもの、税務署では「令和6年分」のものです。窓口で「令和6年度のものをください」と伝えると、都税事務所では1年前の証明書が出てきます。行った日を無駄にしないために、どちらの機関で何と言えばよいかを確認してから取りに行ってください。

納税証明書は「発行から3か月以内」ルールの対象外です。東京都の手引P86は、発行日のある添付書類は発行日から3か月以内としつつ、納税証明書と閉鎖事項証明書を明示的に除外しています。ただし「届け出る事業年度分」であることは必要なので、古いものが使えるという意味ではありません。

また、納税証明書の取得は委任状による代行取得ができます。当事務所にご依頼いただいた場合、都税事務所での取得もこちらで行います。

9. 提出の実務 ── 窓口・郵送・JCIP

窓口で出す場合

東京都都市整備局 市街地建築部 建設業課 審査担当2番窓口
〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1 都庁第二本庁舎3階南側
受付時間:午前9時〜午後5時(申請は午前9時〜午後4時)
代表 03-5321-1111(2番窓口内線 30-690、30-692〜695)/直通 03-5388-3352

東京都建設業課の窓口の分かれ方(手引P11)
窓口 扱う手続
1番窓口 新規申請、許可換え新規、般・特新規、業種追加、一部廃業届、承継等の認可申請、許可要件にかかわる変更届(常勤役員等(経管)・営業所技術者等(専技)・令3条の使用人等)、解体工事業者の登録
2番窓口 更新申請、決算報告、許可要件に係らない変更届、全部廃業届
3番窓口 経営事項審査、住宅瑕疵担保
相談コーナー 建設業許可・経営事項審査・解体工事業者登録・住宅瑕疵担保履行法に基づく届出に係る相談や予備調査
同じ日に1番窓口で審査する届出もある場合は、まとめて1番窓口で出せます。手引P93は「同一申請者で、1番窓口で審査する届出事項がある場合は、2番窓口で審査する届出事項を含んでいても、全て1番窓口でまとめて届出可能」としています。たとえば決算報告と代表者の変更に加えて常勤役員等(経管)の変更を同時に出すなら、全部を1番窓口で審査します。2つの列に並び直す必要はありません。
決算報告は手数料が不要なので、「午後4時までに発券機で番号札」という締切の対象外です。この締切は新規・業種追加・般特新規・更新など、手数料の納入が必要な申請にかかるものです(手引P11)。決算報告だけを出しに行くなら、午後5時まで受け付けてもらえます。

郵送で出す場合

決算報告は、東京都が郵送受付を認めている手続の一つです。東京都都市整備局「建設業許可申請書類の郵送対応について」(2026年7月1日更新)の内容は次のとおりです。

  • 宛先:〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1 東京都都市整備局 市街地建築部 建設業課 審査担当2番窓口
  • 封筒の朱書き【許可番号】【決算報告書○期分在中】
  • 同封するもの:届出書類のほか、返信先を記入したレターパック(副本の返送用)。令和6年10月1日以降は新料金対応のレターパックが必要です
  • 更新申請に決算報告を含める場合:許可有効期限までおおむね10日以内であれば、窓口での入金が必須になります

郵送は「消印有効」ではありません。期限内に東京都に到達している必要があります。期限日が近い場合は、郵送ではなく窓口へ持参してください。郵送の取扱いは変更されることがありますので、発送前に東京都のページで最新の条件をご確認ください。

JCIP(電子申請)で出す場合

決算報告は、国土交通省の建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)でも提出できます。利用にはデジタル庁所管のGビズIDを事前に取得する必要があります(手引P18)。GビズIDプライムの取得には印鑑証明書の郵送などが必要で、発行までに時間がかかります。期限直前に「電子でやろう」と思い立っても間に合いません。

提出部数

決算報告の提出部数は、正本・副本の各1部(計2部)です。変更届・廃業届は「正本・副本・電算入力用紙 各1部」ですが、手引P86の決算報告のチェックリストでは入力用紙の欄がすべて「―」になっています。決算報告には電算入力用紙が要りません。副本には受付印が押され、手元に戻ってきます。この副本が、次年度以降の作成と、更新申請のときの証拠になります。必ず保管してください。

10. 出さないとどうなるか(罰則・監督処分・実務上の不利益)

罰則は「拘禁刑」です

決算変更届を提出しないと、建設業法第50条第1項第2号により6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。情状により両方を科すこともできます(同条第2項)。さらに同法第53条第2号により、法人に対しても100万円以下の罰金が科されます(両罰規定)。
「6か月以下の懲役」と書いてある記事は、令和7年6月1日より前の条文のままです。令和4年の刑法改正(令和4年法律第67号)により懲役と禁錮は「拘禁刑」に一本化され、令和7年6月1日に施行されました。建設業法の罰則もすべて拘禁刑に置き換わっています。

監督処分と経営事項審査への影響

未提出が続けば、建設業法第28条に基づく指示処分の対象になり得ます。悪質と判断されれば営業停止、さらに同法第29条に基づく許可の取消しもあり得ます。実務上、決算報告の未提出だけで直ちに取消しに至るケースは多くありませんが、処分を受けた場合の影響は長く残ります。

監督処分が経営事項審査のW評点に与える影響(法令遵守の状況・W4)
状況 評点
処分を受けていない 0点
指示処分を受けた −15点
営業停止処分を受けた −30点
加えて、指示処分を受けると、以後の許可申請書の「営業の沿革」(様式第20号)の賞罰欄に処分歴を記載することになります。元請の審査や入札参加資格の審査で見られる箇所です。

実務上、すぐに効いてくる3つの不利益

① 更新申請・業種追加申請・般特新規申請・事前認可申請が受け付けられない

東京都の手引P85は「必要な届出のない状態では、般・特新規申請、業種追加申請、更新申請又は事前認可申請は受付できません」と明記しています。許可の有効期間5年分の決算報告がすべて揃っていなければ、更新申請そのものが窓口で止まります。更新の期限(満了日の30日前まで)が迫ってから数期分をまとめて作るのは、資料の収集を考えると現実的ではありません。

② 経営事項審査が受けられない

経営事項審査は、決算報告が提出済みであることを前提に、その財務諸表をもとに審査されます。決算報告が出ていなければ経審の申請ができず、経審の結果通知がなければ入札参加資格が失効します。公共工事の受注が完全に止まります。

③ 会社の状態が公開情報から見えなくなる

建設業法第13条により、許可行政庁は許可申請書と添付書類を一般の閲覧に供しています。取引先や元請が御社の許可状況を確認したとき、決算報告が何年も出ていない状態は、そのまま見えます。

「出していなくても何も言われていないから大丈夫」は、いちばん危険な判断です。東京都は決算報告の未提出について個別の督促を行っていません。問題が表面化するのは、更新期限が迫ったとき、業種追加を急に求められたとき、経審を受けようとしたときです。いずれも「今すぐ必要」なタイミングで発覚します。

11. 未提出分の遡及対応 ── 1期につき1冊

「数年分出していない」というご相談は、実務で最も多いご相談の一つです。遡及対応は可能ですが、進め方に決まりがあります。

提出が遅れた決算変更届を、複数年度分まとめて1冊にとじ込んで提出することはできません(東京都の手引P94)。「5年分まとめて1冊」は受理されません。1期につき1冊を作り、それぞれに別紙8の表紙と納税証明書を付けます。5期分の遡及なら、5冊の正本と5冊の副本、合計10冊を作ることになります。

遡及対応で実際に難しいところ

  • 過去年度の納税証明書が取れるか。都税事務所の保存期間の範囲内である必要があります。取得できない年度がある場合の扱いは、事前に建設業課へ確認します。
  • 工事実績の記録が残っているか。請求書・契約書・注文書・注文請書がどこまで揃うかで、作業量が変わります。
  • 税務申告書との整合。各期の完成工事高が申告内容と食い違うと、後で説明を求められます。
  • 顧問税理士の協力。過年度の決算書と勘定科目内訳書の提供が必要です。
  • 遅延理由書。提出を求められることがあります。

遡及対応の進め方

  1. 未提出年度を特定する。許可取得後の全事業年度のうち、どの期が出ていないかを確定します。手元の副本で確認できないときは、東京都の閲覧により提出状況を確認できます。
  2. 各期の決算書・工事資料を集める。税務申告書、決算書、勘定科目内訳書、工事の請求書・契約書を年度別に整理します。
  3. 古い期から順に1期ずつ作る。直前3年の工事施工金額は各期で範囲が変わるため、古い順に作るほうが整合を取りやすくなります。
  4. 納税証明書を年度分だけ取得する。法人事業税は都税事務所で年度ごとに取ります。
  5. 1期1冊で、まとめて窓口へ持参する。とじ込みは分けたまま、複数冊を同時に提出します。必要に応じて遅延理由書を添えます。
  6. 受理後、更新・業種追加・経審へ進む。ここまで終わって、はじめて次の手続が動きます。

所要期間の目安。3〜5期分で2か月〜4か月程度を見込んでください。更新期限が迫っている場合は、まず何期分が未提出かを確定させることが最優先です。当事務所では最大5年分の遡及対応の実績があります。

12. 提出した後で間違いに気づいたら(決算訂正の変更届)

すでに提出した変更届を書き換えることはできません(手引P95)。訂正が必要になった場合は、決算訂正の変更届を別に提出します。A4用紙にコピーし、1期ごとに訂正の届出を作成します。

訂正の方法(東京都の手引P95)
訂正するもの やり方
工事経歴書 様式第2号を使って新たに作成して添付します(訂正する業種分のみ)
直前3年の各事業年度における工事施工金額 様式第3号を使って新たに作成して添付します
財務諸表 すでに提出した財務諸表の訂正しようとするページをコピーし、訂正する数値を見え消しで記入します
新規申請・許可換え新規・般特新規・業種追加申請で提出した「工事経歴書」「直前3年の各事業年度における工事施工金額」「財務諸表」の訂正はできません(手引P95)。訂正の対象になるのは、決算報告として提出したものだけです。

13. 事業承継したときの決算報告は「承継者」が出す

建設業法第17条の2・第17条の3による事業承継・相続の認可を受けた場合、承継者は被承継者の建設業許可業者としての地位を承継します。これには決算報告の義務も含まれます。

手引P114より──承継日の時点で被承継者の未提出の決算報告がある場合、承継者がこれを作成して提出します。
例:被承継者A社(3月決算)、承継者B社(6月決算)で、5月1日に承継した場合。承継直近のA社の決算報告は承継日時点では未提出です。この場合、B社は7月末までにA社の決算報告を提出し、10月末までにB社自身の決算報告を提出することになります。

承継では、被承継者が受けた監督処分や経営事項審査の結果も当然に承継されます(手引P113)。一方で、建設業法第45条から第55条までの罰則については、違反行為を行った被承継人自身が対象です。M&Aや法人成りを検討している会社は、相手方の決算報告が揃っているかを必ず事前に確認してください。未提出のまま承継すると、承継直後に他社の数期分を作る作業が発生します。

14. 決算変更届と同じ時期に確認したい他の届出

東京都の届出には、期限が3種類あります。決算報告の準備をするタイミングは、1年分の変更を棚卸しする良い機会です。

東京都知事許可の届出期限の一覧(手引P85)
期限 届出事項 窓口
事業年度終了後4か月以内 決算報告 2番窓口
変更後2週間以内 常勤役員等(経管)の変更、営業所技術者等(専技)の変更、健康保険等の加入状況の変更、建設業法施行令第3条に規定する使用人の変更(支配人を除く) 1番窓口
変更後30日以内 商号の変更、営業所の名称・所在地・電話番号・郵便番号の変更、営業所の新設・廃止、営業所の業種追加・業種廃止、資本金額の変更、役員等・代表者の変更、支配人の変更 内容により1番/2番
廃業後30日以内 全部廃業(2番窓口)、一部廃業(1番窓口)
営業所の新設・廃止、業種追加・業種廃止、一部廃業にともなって営業所技術者等(専技)の変更届を出す場合は、変更後2週間以内になります(手引P85)。30日ではありません。
役員が交代しているのに変更届を出していない会社は、決算報告の準備の段階で必ず洗い出してください。更新申請は「許可有効期間内における届出事項のすべての届出書が提出されている」ことが前提です。決算報告だけ揃えても、役員変更届が抜けていれば更新は受け付けられません。

決算変更届の作成・提出でお困りの方へ

毎年の1期分から、数年分の遡及対応まで承ります。「何期分出していないのか分からない」という段階のご相談も歓迎です。
☎ 03-6783-6727(平日 9:00〜18:00/初回相談無料)
お問い合わせフォームはこちら

15. 当事務所のサポート内容と費用

費用(すべて税別)

決算変更届に関する当事務所の報酬(法定手数料は不要です)
内容 報酬
決算変更届(基本料金) 50,000円から
工事経歴書の件数が多い場合(20件超) 10,000円からを加算
未提出年度の遡及提出(1期あたり) 50,000円から
経審対応用の決算変更届(財務諸表の経審様式変換を含む) 70,000円から
決算変更届と経営事項審査のセット 160,000円から
更新申請とあわせてご依頼の場合の遡及対応 1期につき30,000円からを加算
法定手数料 なし
初回相談・未提出年度の確認 無料

ご依頼いただいた場合の流れ

  1. STEP 1決算書類のご提供。税務申告で使用した決算書(貸借対照表・損益計算書・勘定科目内訳書等)と、前期の決算報告の副本をお預かりします。
  2. STEP 2工事実績のヒアリング。事業年度内の建設工事を業種別に確認します。請求書・契約書・注文請書をご用意いただきます。経審の受審予定の有無をここで確認します(工事経歴書の書き方が変わるためです)。
  3. STEP 3建設業法用への組替えと書類作成。財務諸表を様式第15号〜第17号の2(個人は第18号・第19号)に組み替え、工事経歴書・直前3年の工事施工金額・事業報告書を作成します。税込・税抜の統一もここで確定させます。
  4. STEP 4納税証明書の取得。都税事務所で法人事業税(個人は個人事業税)の納税証明書を委任状により代行取得します。
  5. STEP 5内容確認。正本・副本の2部を組み上げ、お客様にご確認いただきます。
  6. STEP 6東京都へ提出。審査担当2番窓口へ持参、または郵送・JCIPで提出します。受付印の押された副本をお渡しします。

あわせて承っていること

  • 未提出年度の特定と、更新期限に間に合うかの判定(無料)
  • 決算報告と同時に必要になる変更届(役員・商号・所在地・経管・営業所技術者等)の洗い出しと作成
  • 決算訂正の変更届の作成
  • 遅延理由書の作成
  • 事業承継・相続にともなう被承継者分の決算報告の作成
  • 経営事項審査を見据えた財務諸表の作り込み
  • 顧問契約による毎年の継続サポート。決算月に合わせて事前にご案内し、更新期限・各種変更届の期限も一括で管理します。「うっかり忘れ」を仕組みで防ぎます

よくある質問(15問)

決算変更届の提出期限はいつですか

A建設業法第11条第2項により、毎事業年度終了後4か月以内です。3月決算の法人なら7月31日、9月決算なら1月31日、12月決算の法人と個人事業主なら4月30日です。法人税の申告期限のような延長制度はありません。

東京都のどの窓口に出すのですか

A東京都都市整備局市街地建築部建設業課の審査担当2番窓口です(都庁第二本庁舎3階南側)。新規申請や業種追加を扱う1番窓口とは別です。ただし同じ日に1番窓口で審査する届出事項もある場合は、まとめて1番窓口で出せます。受付時間は午前9時から午後5時までです。

何部提出するのですか

A正本・副本の各1部、合計2部です。変更届や申請書と違い、決算報告には電算入力用紙が要りません。副本には受付印が押されて返却されますので、必ず保管してください。

手数料はかかりますか

Aかかりません。決算報告に法定手数料はなく、収入印紙も不要です。かかるのは納税証明書の取得実費と、行政書士に依頼した場合の報酬だけです。

税理士が作った決算書をそのまま提出できますか

Aできません。東京都の手引は「必ず、建設業法で定める様式で作成すること(株主総会、税務申告等に提出した決算報告書は不可)」と明記しています。売上高を完成工事高に、売掛金を完成工事未収入金に、前受金を未成工事受入金にといった勘定科目の組替えに加え、完成工事原価報告書を材料費・労務費・外注費・経費の4区分で作り直す必要があります。

健康保険等の加入状況の様式番号は何番ですか

A様式第7号の3です。様式第20号の3は「主要取引金融機関名」という別の書類で、決算報告には提出しません。なお様式第7号の3を決算報告に添付するのは、加入人数に変更があった場合だけです。加入状況そのものが変わった場合は、決算報告ではなく変更後2週間以内の変更届として提出します。

工事経歴書は完成工事高の7割まで書けばよいのですか

Aそれは経営事項審査を受ける会社のルールです。東京都の手引は、経審を申請しない場合について「主な完成工事(10件程度)について、請負代金の額の大きい順に記入し、続けて主な未成工事を請負代金の額の大きい順に記入する」としています。経審を受ける場合は、まず元請工事だけで元請完成工事高の7割を超えるまで、続けて残りの元請工事と下請工事で完成工事高の総計の7割を超えるまで記入します。なお、軽微な建設工事(税込500万円未満、建築一式工事は税込1500万円未満)は10件を超えて記入する必要がありません。

工事実績がゼロの年も提出が必要ですか

A必要です。許可を受けている限り、工事の実績がなくても毎事業年度の決算報告の義務があります。工事経歴書には建設工事の種類ごとに「実績なし」と記入して添付します。実績のない業種が複数ある場合は、工事経歴書を1枚にまとめて構いません。

事業報告書は誰が出すのですか

A特例有限会社を除く株式会社だけです。合同会社・合名会社・合資会社・特例有限会社・個人事業主は提出しません。様式は任意様式で、会社法に基づいて作成したものを添付します。

個人事業主の納税証明書は何を取ればよいですか

A個人事業税が課税されている方は、都税事務所で個人事業税の納税(課税)証明書を取ります。事業税が非課税の方は、税務署で申告所得税の納税証明書(その2)を取り、摘要欄に「事業所得金額」の記載があることを確認します。注意点として、都税事務所と税務署では年度の表記が異なります。令和6年度の決算変更届を出す場合、都税事務所では「令和7年度」、税務署では「令和6年分」のものが必要です。

決算変更届を出さないとどうなりますか

A建設業法第50条第1項第2号により、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。情状により併科されることもあり、法人にも同法第53条第2号により100万円以下の罰金が科されます。実務上はそれ以前に、更新申請・業種追加申請・般特新規申請・事前認可申請が受け付けられなくなり、経営事項審査も受けられなくなります。なお、令和7年6月1日施行の刑法改正により、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されています。

数年分をまとめて1冊にとじて出せますか

Aできません。東京都の手引は「提出が遅れた決算変更届を複数年度分をまとめて、1冊にとじ込んで提出することはできません」と明記しています。1期につき1冊を作り、それぞれに別紙8の表紙と納税証明書を付けて、古い期から順に提出します。

提出した後で数字の間違いに気づきました

Aすでに提出した届出を書き換えることはできません。決算訂正の変更届を1期ごとに作成して提出します。工事経歴書と直前3年の工事施工金額は新たに作成して添付し、財務諸表は訂正するページをコピーして数値を見え消しで記入します。なお、新規申請や業種追加申請で提出した工事経歴書等の訂正はできません。

郵送や電子申請で出せますか

Aどちらもできます。郵送の宛先は審査担当2番窓口で、封筒表面に許可番号と「決算報告書○期分在中」を朱書きし、返信先を記入したレターパックを同封します。電子申請はJCIPを使い、事前にGビズIDの取得が必要です。ただし郵送は消印ではなく到達で判断されるため、期限が近い場合は窓口に持参してください。

会社を承継しました。前の会社の決算報告はどうなりますか

A承継者が提出します。承継者は被承継者の建設業許可業者としての地位を承継するため、承継日の時点で被承継者に未提出の決算報告があれば、承継者がこれを作成して提出する義務を負います。たとえば3月決算のA社を6月決算のB社が5月1日に承継した場合、B社は7月末までにA社の決算報告を、10月末までにB社自身の決算報告を提出することになります。

「何期分たまっているか分からない」段階からご相談ください

未提出年度の特定と、更新期限に間に合うかどうかの判定は無料です。決算変更届は毎年の継続業務ですので、顧問契約による年間管理もご提案しています。
☎ 03-6783-6727(平日 9:00〜18:00)
お問い合わせフォームはこちら

このページの出典

  • 東京都都市整備局市街地建築部建設業課「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」P11(提出場所・提出窓口・受付時間)、P18〜P19(電子申請・郵送受付)、P30〜P32(工事経歴書・直前3年の工事施工金額)、P34〜P38(財務諸表)、P41(別とじ表紙)、P85〜P86(届出期限・決算報告書の提出書類一覧・納税証明書)、P94〜P95(別紙8の記入例・決算訂正の変更届)、P113〜P114(事業承継と決算報告):建設業許可 手引、申請書類等
  • 東京都都市整備局「建設業許可申請書類の郵送対応について」(2026年7月1日更新):郵送対応について
  • 東京都都市整備局市街地建築部建設業課事務係「東京都知事許可建設業者のみなさまへ」(決算報告の届出書類・お問い合わせ先)
  • 東京都都市整備局「建設業許可」(窓口案内・お知らせ):建設業許可|建設業者の指導等
  • 建設業法(昭和24年法律第100号)第11条第2項、第13条、第28条、第29条、第50条第1項第2号・第2項、第53条第2号:e-Gov 法令検索
  • 建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第10条、別記様式第2号・第3号・第7号の3・第15号〜第19号:e-Gov 法令検索
  • 建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第1条の2第1項(軽微な建設工事):e-Gov 法令検索
  • 刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)による拘禁刑への一本化(令和7年6月1日施行)
  • 「建設業法施行規則別記第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件」(昭和57年建設省告示第1660号)
  • 民法(明治29年法律第89号)第142条・第143条(期間の計算):e-Gov 法令検索
  • 建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP):国土交通省/GビズID:デジタル庁

更新履歴

  • 2026年9月21日:構造化データ(JSON-LD)を全面的に作り直しました。公開中のページでは、本文末尾に置いていた4ブロックのうち最後の1ブロックが途中で切れており、構造化データが読み取れないうえ、閉じられなかったscriptタグがフッターを飲み込んでいました。9つのノードを相互参照でつないだ1つの@graphにまとめ直し、本文の先頭に移しています。あわせて、すべての見出しにidを付けて手順とよくある質問から章単位で参照できるようにしました。記事の本文・法令の記述・金額は変更していません。
  • 2026年9月8日:令和7年度の東京都の手引および郵送対応ページと全面的に突合し、記事を作り直しました。主な訂正は、(1)罰則を「懲役」から拘禁刑へ(令和7年6月1日施行の刑法改正)と法人の両罰規定の追記、(2)健康保険等の加入状況の様式番号を様式第20号の3から様式第7号の3へ、(3)工事経歴書の記載範囲について7割ルールは経審申請者のものであることの明示と「10件までは必ず記載」という誤りの削除、(4)提出窓口が2番窓口であることの追記、(5)提出部数が正本・副本の2部であることの追記、(6)遡及提出は1期1冊で、まとめてとじられないことの追記、(7)決算月別の提出期限カレンダーを全12か月の正しい内容に作り直し(旧版は9月決算の期限が誤っていました)、(8)納税証明書の都税事務所と税務署の年度表記の違いの追記、(9)事業報告書の対象を「特例有限会社を除く株式会社」に限定、(10)決算訂正の変更届と事業承継時の決算報告の章を新設。あわせてリンク切れ17本と、h1の重複・未閉鎖のsection・目次のリンク切れといった構造上の不具合を解消しました。
  • 2026年5月7日:旧版を公開。

執筆者

萩本 昌史(はぎもと まさし)/特定行政書士/行政書士萩本昌史事務所 代表/日本行政書士会連合会 登録番号 24080582/東京都行政書士会所属
建設業許可・経営事項審査を中心に、消防法・防火管理、外国人の在留資格申請まで対応しています。東京都の決算変更届については、毎年の継続案件から数期分の遡及対応まで扱ってきました。このページの記述は、令和7年度の東京都の手引の該当ページと条文に当たって確認したものだけを書いています。執筆者プロフィール編集方針一次資料の取扱いと訂正方針
※このページは一般的な情報提供を目的としたものです。個別の事案については、東京都都市整備局建設業課または当事務所にご確認ください。制度・運用は変更されることがあります。