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建設業許可の種類と区分|大臣・知事許可と一般・特定の違いを行政書士が解説

建設業許可の種類と区分|大臣・知事許可と一般・特定の違いを行政書士が解説

建設業許可の種類と区分|大臣・知事許可と一般・特定の違いを行政書士が解説|行政書士萩本昌史事務所






建設業許可の種類と区分|大臣・知事許可と一般・特定の違いを行政書士が解説




/ 著者: 萩本 昌史(特定行政書士)

「建設業許可って何種類あるの?」「うちは知事許可と大臣許可、どっちを取ればいいの?」「一般と特定の違いがいまいちわからない」——建設業の許可取得を検討する方からよくいただくご質問です。建設業許可は、営業所の所在地による「大臣許可・知事許可」、下請発注額による「一般・特定」、工事の種類による「29業種」という3つの軸で区分されており、自社の事業内容に応じて適切に組み合わせて取得する必要があります。

この記事では、建設業許可の種類と区分の全体像を整理し、令和7年2月1日施行の金額要件引上げを含む最新の建設業法に基づき、東京の行政書士がわかりやすく解説します。読み終えれば、自社が取るべき許可区分と業種の組み合わせが明確になります。

建設業許可の3つの区分軸を理解する


建設業許可は、建設業法第3条に基づき国土交通大臣または都道府県知事から付与される許可制度です。許可を受けるにあたっては、次の3つの軸で区分が決まります。


建設業許可を構成する3つの区分軸① 営業所の所在地による区分:大臣許可/知事許可② 下請発注額による区分:一般建設業/特定建設業③ 工事の種類による区分:29業種(2つの一式工事+27の専門工事)


3つの軸はそれぞれ独立して判定する


これら3つの軸は、それぞれ別個の基準で判定されます。たとえば「東京都知事の特定建設業許可(建築工事業)」のように、3つの軸の組み合わせで自社の許可が決まるイメージです。同じ事業者が業種ごとに一般と特定を使い分けることも可能ですが、後述のとおり一定の制約があります。


そもそも建設業許可が不要な「軽微な建設工事」


区分の話に入る前に、そもそも建設業許可が必要となる工事の範囲を確認しておきます。建設業法では、以下のいずれかに該当する「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は許可が不要とされています。


  • 建築一式工事:1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
  • 建築一式工事以外:1件の請負代金が500万円未満の工事


これらの金額を超える工事を請け負う場合は、必ず建設業許可が必要となります。500万円ラインの「抜け道」については関連記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


大臣許可と知事許可の違い


1つ目の区分軸である「大臣許可」と「知事許可」は、営業所をどの都道府県に設置するかによって決まります。


区分の判定基準


許可の種類 営業所の所在地 許可権者
国土交通大臣許可 2以上の都道府県にまたがって営業所を設置 国土交通大臣(本店所在地を所管する地方整備局長等)
都道府県知事許可 1つの都道府県内にのみ営業所を設置 営業所所在地の都道府県知事


営業し得る区域に制限はない


誤解されがちですが、大臣許可と知事許可の違いは「営業所がどこにあるか」だけであり、施工できる地域には制限がありません。たとえば東京都知事の許可業者が、北海道で工事を施工することは何ら問題ありません。同じく大阪府知事許可の業者が、東京都内の現場で工事を行うことも可能です。


重要なのは「営業所の所在地」であって「工事現場の所在地」ではありません。資材置き場・作業所・工事現場事務所は営業所には該当しませんので、これらが他県にあっても知事許可のままで問題ありません。


建設業法上の「営業所」とは


営業所の定義は、本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。具体的には、契約書の作成・見積・入札・工事の実体的な指導監督などを行う事務所が営業所に該当します。次のような場所は営業所には含まれません。


  • 単なる連絡事務所、登記上の本店
  • 建設工事の契約に関与しない支店
  • 資材置き場、作業所、工事現場事務所
  • 建設業以外の事業のみを行う支店


大臣許可と知事許可、どちらが「格上」ということはない


「大臣許可のほうが格上で、知事許可は地方限定」という誤解が見られますが、これは正しくありません。両者は単に営業所の地理的範囲を区別する制度であり、許可の効力や信頼性に優劣はありません。元請として大規模工事を受注したい場合は次の「特定建設業」の議論が重要であり、大臣許可・知事許可の選択ではない点にご注意ください。



一般建設業と特定建設業の違い【令和7年2月改正】


2つ目の区分軸である「一般建設業」と「特定建設業」は、元請として受注した工事を下請に発注する金額によって決まります。下請保護の観点から、特定建設業には一般建設業より厳しい要件が課されています。


区分の判定基準【令和7年2月1日改正】


令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正により、特定建設業が必要となる下請発注金額の基準が引き上げられました。


区分 改正前(令和7年1月31日まで) 改正後(令和7年2月1日以降)
建築一式工事 7,000万円以上 8,000万円以上
建築一式工事以外 4,500万円以上 5,000万円以上


元請として受注した1件の工事について、下請に出す金額の合計が上記の基準以上となる場合は、特定建設業の許可が必要です。これ未満であれば一般建設業の許可で対応できます。基準となるのは「契約締結日」であり、令和7年2月1日以降に締結した契約から新しい金額が適用されます。


特定建設業が必要となるのは「元請業者」のみです。下請として工事を受注する場合は、孫請に発注する金額がいくらであっても特定建設業許可は不要です。また、自社の請負金額(受注金額)には上限がありませんので、たとえば10億円の工事を元請として受注しても、ほぼ自社施工で下請発注額が基準未満であれば、一般建設業許可で対応できます。


特定建設業許可業者に課される追加義務


特定建設業許可は、下請業者の保護と建設工事の適正施工を目的としているため、一般建設業より厳しい要件と義務が課されます。


  • 特定営業所技術者の配置(1級国家資格者または指導監督的実務経験2年以上)
  • 財産的基礎要件の強化(資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上等)
  • 施工体制台帳・施工体系図の作成義務
  • 下請代金の支払期日制限(請負代金受領後1か月以内、引渡し申出後50日以内)
  • 下請業者への指導義務
  • 下請業者の労賃不払いに対する立替払い義務


特に立替払い義務は、下請業者の経営状況により多額の負担が発生し得るため、特定建設業許可を取得する際には自社の財務基盤や下請管理体制を慎重に評価する必要があります。


同一業種で一般と特定の両方は持てない


1つの業種について、一般建設業と特定建設業の両方の許可を同時に保有することはできません。ただし業種ごとに区分は選択できますので、たとえば「建築工事業は特定、内装仕上工事業は一般」というように使い分けることは可能です。


建設業の29業種の区分


3つ目の区分軸が、工事の種類による「29業種」の区分です。建設業許可は業種ごとに取得する必要があり、許可を受けていない業種の工事は500万円以上の規模で請け負うことができません。


2つの一式工事と27の専門工事


29業種は、「一式工事」2業種と「専門工事」27業種に分類されます。


分類 業種
一式工事(2業種) 土木一式工事業/建築一式工事業
専門工事(27業種) 大工工事業/左官工事業/とび・土工工事業/石工事業/屋根工事業/電気工事業/管工事業/タイル・れんが・ブロック工事業/鋼構造物工事業/鉄筋工事業/舗装工事業/しゅんせつ工事業/板金工事業/ガラス工事業/塗装工事業/防水工事業/内装仕上工事業/機械器具設置工事業/熱絶縁工事業/電気通信工事業/造園工事業/さく井工事業/建具工事業/水道施設工事業/消防施設工事業/清掃施設工事業/解体工事業


解体工事業は平成28年6月1日に新設された業種で、それまでの28業種に1業種追加されて現在の29業種となりました。


一式工事は「総合的な企画・指導・調整」を行う元請業種


一式工事は、原則として元請業者が総合的な企画・指導・調整のもとに、複数の専門工事を組み合わせて施工する大規模・複雑な工事を指します。「土木一式工事業」を持っているからといって、すべての土木関連工事を500万円以上で請け負えるわけではありません。たとえば、舗装工事だけを単独で500万円以上請け負う場合は、別途「舗装工事業」の許可が必要です。


一式工事の許可を持っているだけでは、その内訳となる専門工事を単独で施工することはできません。実態として複数の専門工事を組み合わせた工事のみが一式工事と認められます。「土木一式があるから舗装工事も大丈夫」という運用は許可違反となる可能性が高いのでご注意ください。


業種は同時複数取得・追加取得が可能


許可業種は同時に複数取得することができますし、すでに許可を持っている業種に別の業種を追加することもできます。たとえば建築一式工事業の許可業者が、内装仕上工事業や塗装工事業を追加するケースは多く見られます。業種追加の場合、経営業務管理責任者の要件はそのまま使えますが、追加する業種ごとに営業所技術者の配置と財産的基礎の要件は別途満たす必要があります。


指定建設業7業種とは


29業種のうち、特に施工の技術的難易度が高く、社会的影響の大きい7業種は「指定建設業」として位置づけられ、特定建設業許可を取得する際に通常より厳しい技術者要件が課されます。


指定建設業7業種の一覧


建設業法施行令第5条の2に列挙された次の7業種が指定建設業に該当します。


  • 土木工事業
  • 建築工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 造園工事業


特定建設業の特定営業所技術者要件が厳格化される


指定建設業7業種で特定建設業許可を取得する場合、特定営業所技術者は次のいずれかに限定されます。


  • 1級の国家資格者(1級土木施工管理技士、1級建築士、1級建築施工管理技士など)
  • 国土交通大臣が認定した者(大臣特別認定者)


指定建設業以外の業種では、一般建設業の営業所技術者要件を満たした上で「指導監督的実務経験2年以上」でも特定営業所技術者になれますが、指定建設業ではこのルートが使えません。1級国家資格者または大臣認定者でなければ、特定建設業の許可は取得できないという厳しい運用となっています。


指定建設業の特定営業所技術者要件については関連記事「特定建設業の『特定営業所技術者』になるための要件|令和6年法改正対応」でも詳しく解説しています。技術者の確保が許可取得の最大のハードルとなりますので、計画的な人材育成・採用が必要です。


許可区分の組み合わせと選び方


3つの区分軸の組み合わせで、自社が取得すべき許可が決まります。代表的なパターンを整理します。


典型的な許可区分の組み合わせ例


事業形態 典型的な許可区分
東京都内のみで内装工事の元請(自社施工中心) 東京都知事の一般建設業許可(内装仕上工事業)
東京都内のみで建築工事の元請(大規模下請発注あり) 東京都知事の特定建設業許可(建築工事業)
東京・神奈川に営業所を持つゼネコン 国土交通大臣の特定建設業許可(建築工事業ほか複数業種)
埼玉県内のみで下請専門の鉄筋工事 埼玉県知事の一般建設業許可(鉄筋工事業)


同一事業者で大臣許可と知事許可は併存できない


同一の事業者が、一部の業種は大臣許可、他の業種は知事許可で取得することはできません。営業所の所在地で大臣・知事のいずれかが決まり、その事業者のすべての業種について同じ区分が適用されます。


区分選択の判断ポイント


許可区分の選択にあたっては、次のポイントを総合的に判断します。


  • 営業所の展開計画:将来的に他県に営業所を出す予定があるか
  • 下請発注の規模:元請として受注した工事の下請発注額がどの程度になるか
  • 業種の選択:どの業種で500万円以上の工事を受注する可能性があるか
  • 技術者の配置:営業所技術者・特定営業所技術者をどう確保するか
  • 財産的基礎:特定建設業の財産要件(資本金2,000万円以上等)を満たせるか


許可区分の選択を誤ると、後から区分変更や業種追加に時間と費用がかかります。事業計画と許可要件を照らし合わせ、5年程度先を見据えた区分選択を行うことが望まれます。


区分変更が必要になるケースと手続き


事業の成長や事業形態の変化により、当初の許可区分のままでは対応できなくなるケースがあります。代表的な変更パターンと手続きを整理します。


知事許可から大臣許可への切替え(許可換え新規)


他の都道府県に営業所を新設し、複数県にまたがる営業体制となった場合は、大臣許可への切替えが必要です。これは「許可換え新規申請」という手続きで、新規許可申請に該当します。従前の知事許可は、新たな大臣許可の取得とともに失効します。


一般建設業から特定建設業への切替え(般・特新規)


下請発注額の増加に伴い特定建設業許可が必要となった場合は、「般・特新規申請」を行います。同一業種について一般から特定への変更ですので、新規許可申請として手続きします。特定建設業の財産的基礎要件と特定営業所技術者要件を満たす必要があります。


特定建設業許可の取得後も、5年ごとの更新時に財産的基礎要件(自己資本4,000万円以上等)を満たし続けている必要があります。決算状況により要件を満たさなくなった場合は更新ができず、特定建設業の効力を失います。決算変更届の提出時には、財務指標の動向を毎年確認することが重要です。


業種追加申請


すでに保有している許可に新たな業種を追加する場合は「業種追加申請」を行います。経営業務管理責任者は既存業種の要件をそのまま使えますが、追加業種ごとに営業所技術者の配置と一定の財産的基礎が必要です。


区分変更には十分な準備期間を確保する


許可換え新規・般特新規・業種追加のいずれも、申請から許可までに知事許可で約30〜45日、大臣許可で約4か月程度の標準処理期間がかかります。受注予定の工事に間に合わせるためには、契約締結予定日から逆算した余裕のあるスケジュール設計が不可欠です。


建設業許可の制度改正・業種区分の運用は、近年でも令和3年の経営業務管理責任者要件の見直し、令和5年の特定建設業の金額要件改正、令和6年の専任技術者から営業所技術者への呼称変更、令和7年の金額要件再引上げと、断続的に行われています。最新の改正動向を踏まえた区分判定と申請が、許可取得・維持の鍵となります。


よくある質問


知事許可と大臣許可で営業できる地域は変わりますか?
営業所の所在地で区分されるだけで、施工できる地域に制限はありません。東京都知事許可の業者でも、北海道や沖縄での工事を請け負うことが可能です。大臣許可と知事許可の違いは、営業所が複数の都道府県にまたがるかどうかという点に尽きます。資材置き場・作業所・工事現場事務所は営業所に該当しませんので、これらが他県にあっても知事許可で問題ありません。


一般建設業と特定建設業はどう違いますか?
元請として受注した1件の工事につき、下請に発注する金額の合計が令和7年2月1日以降は5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる場合に、特定建設業の許可が必要です。それ未満であれば一般建設業の許可で足ります。下請として受注する場合は、孫請への発注金額に関わらず特定建設業許可は不要です。また自社の請負金額(受注金額)自体には上限がありませんので、大規模工事の自社施工であれば一般建設業許可で対応可能です。


同じ業種で一般と特定の両方を取得できますか?
1つの業種について一般と特定の両方の許可を同時に保有することはできません。ただし、業種ごとに区分は選択できますので、たとえば建築工事業は特定、内装仕上工事業は一般というように、業種ごとに異なる区分を取得することは可能です。事業の実態に合わせた区分選択を行いましょう。


業種は後から追加できますか?
可能です。すでに取得している許可業種に加えて、別の業種を追加で取得する「業種追加申請」という手続きがあります。経営業務管理責任者の要件はそのまま使えますが、追加する業種ごとに営業所技術者の配置と財産的基礎の要件は別途満たす必要があります。標準処理期間は知事許可で約30〜45日です。


知事許可から大臣許可への切替えはどうすればよいですか?
他の都道府県に営業所を新設して大臣許可の対象となる場合は「許可換え新規」という手続きが必要です。これは新規許可申請に該当し、従前の知事許可は新たな大臣許可の取得とともに失効します。逆に大臣許可業者が他県の営業所を閉鎖して1つの都道府県内のみとなった場合も、知事許可への許可換え新規申請が必要となります。


同じ事業者で大臣許可と知事許可を併用できますか?
できません。同一の事業者が、一部の業種を大臣許可、他の業種を知事許可で取得することはできません。営業所の所在地によって大臣・知事のいずれかが決まり、その事業者のすべての業種について同じ区分が適用されます。営業所の展開計画を踏まえた区分選択が必要です。


解体工事業の許可と解体工事業登録は別ものですか?
異なる制度ですが、解体工事業(建設業許可)を取得すれば、解体工事業登録は不要となります。建設業許可で「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」のいずれかを保有していれば、解体工事業登録は要りません。逆に、500万円未満の解体工事のみを行う事業者は、建設業許可ではなく解体工事業登録の取得で足ります。


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萩本 昌史(はぎもと まさし)

特定行政書士 / 行政書士萩本昌史事務所

東京都を拠点に、建設業許可・経営事項審査・決算変更届などの建設業関連手続きを専門とする特定行政書士。消防法・防火管理分野にも精通し、建設業者様の許可取得から事業継続支援まで一貫してサポート。令和6年・令和7年の建設業法改正にも実務対応中。



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