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一方で、令和6年改正建設業法によって、この配置ルールは大きく緩みました。要件を満たせば1人の主任技術者が2つの現場を兼任でき、営業所技術者(旧・専任技術者)が現場の主任技術者を兼ねることもできるようになっています。ところが、この改正を反映していない解説が今も大量に流通しています。
このページでは、主任技術者になるための3つのルート、東京都での実務経験の証明方法、そして専任・兼任・兼務の現行ルールを、条文・政令・省令・国土交通省の運用マニュアル・東京都の手引という一次資料だけを根拠に整理します。
建設業法第26条第1項は、次のように定めています。
建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
読むべきポイントは3つです。
「軽微な建設工事」は、工事1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅)の工事です(令第1条の2)。これは許可が要るかどうかの基準であって、主任技術者を置くかどうかの基準ではありません。ここを混同した解説が非常に多いので注意してください。
軽微な工事の線引きそのものについては、建設業許可の500万円に抜け道はある?分割発注の危険と正しい対応で詳しく扱っています。
現場で混同されがちな4つの立場を整理します。
| 立場 | 根拠 | 置く場所 | 誰が置くか | 資格要件 |
|---|---|---|---|---|
| 主任技術者 | 法第26条第1項 | 工事現場 | 許可業者すべて(元請・下請) | 法第7条第2号イ・ロ・ハ |
| 監理技術者 | 法第26条第2項 | 工事現場 | 発注者から直接請け負い、下請代金総額5,000万円(建築一式8,000万円)以上の特定建設業者 | 法第15条第2号イ・ロ・ハ(指定建設業はイまたはハのみ) |
| 営業所技術者・特定営業所技術者 | 法第7条第2号、法第15条第2号 | 営業所 | 許可業者すべて | 同上 |
| 現場代理人 | 法第19条の2(契約上の地位) | 工事現場 | 請負人 | 建設業法上の資格要件なし |
営業所技術者(令和6年改正前の「専任技術者」)については、建設業許可の資格者とは|営業所技術者になれる国家資格と一般建設業の営業所技術者|10年実務経験の証明方法で解説しています。
主任技術者が現場で何をする人なのかも、条文が定めています。
主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。(法第26条の4第1項)
工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。(同条第2項)
国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルは、この職務を「施工内容、工程、技術的事項、契約書及び設計図書の内容を把握したうえで、その施工計画を作成し、工事全体の工程の把握、工程変更への適切な対応等具体的な工事の工程管理、品質確保の体制整備、検査及び試験の実施等及び工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行う」ことと具体化しています。名前を借りるだけの「名義上の主任技術者」は、この時点で条文違反です。
名義貸しのリスクについては建設業許可の名義貸し・名義借り|罰則とバレる仕組みをご覧ください。
見落とされやすいのが法第26条の2です。土木一式工事・建築一式工事を施工する際に、一式工事以外の建設工事(軽微な工事を除く)を自ら施工するときは、その業種の主任技術者の資格を持つ者を置いて自ら施工するか、その業種の許可を持つ建設業者に施工させるかのどちらかでなければなりません(同条第1項)。附帯工事も同じ扱いです(同条第2項)。
「一式工事の許可があれば何でもできる」という誤解は、この条文で否定されています。しかも法第52条第2号により、第26条の2違反にも100万円以下の罰金が用意されています。
主任技術者の資格要件は、条文上、営業所技術者の要件(法第7条第2号イ・ロ・ハ)を借りる形で定められています。一般建設業の営業所技術者になれる人は、そのまま主任技術者になれると考えて差し支えありません。
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法による高等学校(中略)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学若しくは高等専門学校(中略)を卒業した(専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの(法第7条第2号イ)
| 最終学歴 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校(専門職大学の前期課程修了を含む)で指定学科を修めて卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校・中等教育学校・専修学校の専門課程で指定学科を修めて卒業 | 卒業後5年以上 |
| 許可を受けようとする建設業 | 指定学科 |
|---|---|
| 土木工事業・舗装工事業 | 土木工学(農業土木・鉱山土木・森林土木・砂防・治山・緑地・造園を含む)、都市工学、衛生工学、交通工学 |
| 建築工事業・大工工事業・ガラス工事業・内装仕上工事業 | 建築学、都市工学 |
| 左官・とび土工・石・屋根・タイルれんがブロック・塗装・解体 | 土木工学、建築学 |
| 電気工事業・電気通信工事業 | 電気工学、電気通信工学 |
| 管工事業・水道施設工事業・清掃施設工事業 | 土木工学、建築学、機械工学、都市工学、衛生工学 |
| 造園工事業 | 土木工学、建築学、都市工学、林学 |
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者(法第7条第2号ロ)
資格も指定学科もない場合の王道ルートです。学歴・資格を一切問わない代わりに、10年分を書類で証明する必要があります。証明の実務は後述します。
法第7条第2号ハは「国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者」と定め、その具体的な中身を建設業法施行規則第7条の3が列挙しています。実務上、いちばん現実的なルートです。
第7条の3が認めているのは、大きく次の4類型です。
代表的な業種の主な資格を、施行規則第7条の3の規定にそって挙げます。
| 業種 | 主任技術者になれる主な資格(施行規則第7条の3) |
|---|---|
| 土木工事業 | 1級・2級土木施工管理技士(2級は種別「土木」)、1級・2級建設機械施工管理技士、技術士(建設部門ほか) |
| 建築工事業 | 1級・2級建築施工管理技士(2級は種別「建築」)、1級建築士、2級建築士 |
| 大工工事業 | 1級・2級建築施工管理技士(2級は種別「躯体」「仕上げ」)、1級・2級・木造建築士、技能検定(建築大工・型枠施工)、1級第一次検定+3年、2級第一次検定等+5年 |
| 電気工事業 | 1級・2級電気工事施工管理技士、技術士(電気電子・建設部門ほか)、第一種電気工事士、第二種電気工事士+3年、電気主任技術者(1〜3種)+5年、建築設備士+1年 |
| 管工事業 | 1級・2級管工事施工管理技士、技術士(機械・上下水道・衛生工学部門ほか)、技能検定(建築板金〈ダクト板金作業〉・冷凍空気調和機器施工・配管〈建築配管作業〉)、建築設備士+1年、給水装置工事主任技術者+1年 |
| 内装仕上工事業 | 1級・2級建築施工管理技士(2級は種別「仕上げ」)、1級・2級建築士、技能検定(畳製作・内装仕上げ施工・表装)、1級第一次検定+3年、2級第一次検定等+5年 |
| 塗装工事業 | 1級・2級土木/建築施工管理技士(種別の限定あり)、技能検定(塗装・路面標示施工)、1級第一次検定+3年、2級第一次検定等+5年 |
| 解体工事業 | 1級・2級土木/建築施工管理技士(種別の限定あり)、技術士(建設部門ほか)、技能検定(とび)、登録解体工事試験合格者、1級第一次検定+3年、2級第一次検定等+5年 |
| 電気通信工事業 | 1級・2級電気通信工事施工管理技士、技術士(電気電子部門ほか)、電気通信主任技術者+5年、工事担任者(第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信)+3年 |
見落とされがちですが、登録基幹技能者講習の修了者は主任技術者の要件を満たします(平成30年4月1日以降)。東京都の手引は確認方法を次のように示しています。
登録基幹技能者が主任技術者要件を満たしているか否かについては、講習修了証において、「実務経験を有する建設業の種類について建設業法第26条第1項に定める主任技術者の要件を満たすと認められる」ことが記載されていることで、確認を行います。
平成30年4月1日より前に交付された旧様式の修了証でも要件を満たすと確認できる講習があります。ただし東京都の手引は、登録機械土工基幹技能者・登録PC基幹技能者・登録運動施設基幹技能者については、「土木工事業」は主任技術者の要件として認められない点に注意を促しています。
なお、登録基幹技能者は主任技術者の要件であって、監理技術者の要件ではありません。
実務経験ルートは「10年働いていました」と言えば通るものではありません。東京都の手引が求める水準は、次のとおり具体的です。
「実務経験」とは、許可を受けようとする建設工事の施工に関する技術上の経験をいいます。具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験をいいます。これには、現場監督技術者としての経験も含まれますが、工事現場の単なる雑務や事務の仕事は、実務経験に含まれません。(東京都の手引 令和7年度版)
| 含まれる | 含まれない |
|---|---|
| 施工の指揮・監督(現場監督技術者としての経験を含む) | 工事現場の単なる雑務 |
| 実際に施工に携わった経験 | 事務の仕事 |
| — | 附帯工事としての経験(主目的の業種に含まれる別業種の工事) |
東京都の手引は、次の組合せに限って業種間の振替を認めています。要件は、対象業種と振替元業種を合わせて12年以上、かつ対象業種について8年を超える実務経験です。指定学科による短縮との併用はできません。
| 振替元 | 振替先(対象業種) |
|---|---|
| 土木一式 | とび・土工、しゅんせつ、水道施設 |
| 建築一式 | 大工、屋根、内装、ガラス、防水、熱絶縁 |
| 大工 ⇔ 内装 | 相互に振替可能 |
| とび・土工(平成28年5月31日以前の経験のみ) | 解体 |
東京都の手引は、実務経験の確認を2段構えで行うと明示しています。
(ア) 対象業種で実務経験を積んだことを証明する資料
| 証明期間の状況 | 必要な資料 |
|---|---|
| 証明期間に建設業許可を有していた | 建設業許可通知書、または受付印のある建設業許可申請書・変更届出書・廃業届等の写し(対象業種の許可期間が分かるものを全て)。東京都知事許可なら、様式第九号の備考欄に許可番号・許可業種・許可期間を記入して省略可 |
| 証明期間に建設業許可を有していなかった | 業種が明確に分かる、期間通年分の工事請負契約書・注文書・請求書等の写し。請求書や押印のない注文書は入金確認資料(通帳・取引明細等)による補足が必要 |
(イ) 証明期間に証明者へ常勤していたことを示す資料
東京都はここで運用を変更しています。手引は次のように述べています。
令和7年8月現在は健康保険証の写しにより期間の確認を行っていますが、令和7年12月2日以降の申請・届出については期間通年分のP64①イの確認資料が必要です。確認する期間が令和7年12月1日以前の期間であったとしても提出が令和7年12月2日以降の場合は必要となりますので御注意ください。
つまり、提出日が令和7年12月2日以降であれば、過去の期間についても新しい確認資料が必要になります。10年分の常勤資料を遡って集める作業は、想像以上に時間がかかります。
| 業種 | 追加で必要な資料 |
|---|---|
| 電気工事 | 登録電気工事業者登録証、電気工事業者通知受理通知書、届出受理通知書、開始通知受理証明書のいずれかの写し(全期間分) |
| 解体工事 | 解体工事業者の登録通知書、または建設業許可通知書(土木・建築・とび土工)の写し(全期間分)。とび・土工は令和元年5月までの経験に限る |
| 機械器具設置工事 | 内訳書・図面・写真等、工事内容が分かる資料と、機械の組立・設置期間が確認できる工程表等 |
営業所技術者を実務経験で証明する場合は様式第九号を使います。主任技術者は現場配置の技術者なので許可申請時に様式第九号を出すわけではありませんが、実務経験で主任技術者の資格を裏づけるときの考え方は同じです。
証明資料の全体像は建設業許可の証明資料|経験・常勤性・営業所にまとめています。
法第26条第3項本文は、公共性のある施設・工作物、または多数の者が利用する施設・工作物に関する重要な建設工事について、主任技術者・監理技術者を工事現場ごとに専任とすることを求めています。その「重要な建設工事」を定めるのが令第27条第1項です。
法第二十六条第三項の政令で定める重要な建設工事は、次の各号のいずれかに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が四千五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、九千万円)以上のものとする。
| 区分 | 専任が必要になる請負代金の額 |
|---|---|
| 建築一式工事以外 | 4,500万円以上 |
| 建築一式工事 | 9,000万円以上 |
対象となる施設・工作物は令第27条第1項各号が列挙しており、国・地方公共団体が注文者である工事のほか、鉄道・道路・橋・ダム・上下水道、電気・ガス事業用施設、学校、病院・診療所、事務所、ホテル・旅館、共同住宅、工場・倉庫、百貨店など、民間工事でも相当広い範囲が含まれます。「公共工事だけの話」ではありません。
現場でいちばん誤解されている点です。監理技術者制度運用マニュアルは明確に区別しています。
専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、勤務中は常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることを意味する(中略)一方で、専任の趣旨を踏まえると、必ずしも当該工事現場への常駐(中略)を必要とするものではない。
そのうえで、次のように運用されます。
体制確保の例としてマニュアルが挙げるのは、必要な資格を持つ代理の技術者の配置、連絡が取れる体制と現場に戻れる体制の確保、リアルタイムの映像・音声による通信手段の確保などです。
契約工期の全期間で専任が必要なわけでもありません。マニュアルは、元請について次の4つの期間を挙げています(発注者と建設業者の間で、設計図書または打合せ記録等の書面で明確になっていることが条件です)。
下請の主任技術者については、施工が断続的になることを考慮し、専任が必要な期間は下請工事が実際に施工されている期間とされています。
事務所や診療所と戸建て住宅を兼ねた併用住宅は、請負代金の総額が9,000万円以上(建築一式の場合)でも、次の2つを共に満たせば専任配置を求められません。
併用住宅かどうかは建築確認済証で判別し、面積比は確認済証と添付設計図書から求めます。
令第27条第2項は、密接な関係のある2以上の工事を同一の建設業者が同一または近接した場所で施工する場合、同一の専任の主任技術者がこれらを管理できると定めています。マニュアルの当面の取扱いは次のとおりです。
専任の細かい運用は現場専任とは|主任技術者・監理技術者の専任義務と令和7年改正で個別に解説しています。
令和6年改正建設業法(令和6年法律第49号)は、技術者不足を踏まえて、専任配置に2つの大きな例外を持ち込みました。この2つは制度が別物で、併用できません。
法第26条第3項ただし書第1号は、次の3要件(イ・ロ・ハ)を満たす工事について専任を求めないと定めています。
政令・省令が定める具体的な要件は、次の8点です(令第28条・第30条、規則第17条の2・第17条の3、監理技術者制度運用マニュアル)。
| # | 要件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 各工事の請負代金の額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)であること。工事途中で1億円以上になったら、それ以降は特例を使えない | 令第28条 |
| 2 | 工事現場間の距離が1日の勤務時間内に巡回可能で、災害・事故発生時の移動時間がおおむね2時間以内(片道)であること | 規則第17条の2第1項第1号 |
| 3 | 下請次数が3を超えないこと(当該建設業者が注文者となった下請契約から数える) | 規則第17条の2第1項第2号 |
| 4 | 連絡員を各工事に置くこと。土木一式・建築一式工事の場合は、同業種の実務経験1年以上の者を現場に置く | 規則第17条の2第1項第3号 |
| 5 | 施工体制を情報通信技術で確認する措置を講じていること(現場作業員の入退場を遠隔から確認できるもの。CCUSまたはCCUS連携システムが望ましい) | 規則第17条の2第1項第4号 |
| 6 | 人員の配置を示す計画書を作成し、工事現場に備え置き、帳簿と同じ期間営業所で保存すること | 規則第17条の2第1項第5号 |
| 7 | 現場外から現場状況を確認できる映像・音声の送受信が可能な情報通信機器と通信環境が確保されていること(一般的なスマートフォン・タブレット・WEB会議システムでも可) | 規則第17条の3 |
| 8 | 兼務する工事現場の数が2を超えないこと | 令第30条 |
連絡員については、マニュアルが実務的な整理を示しています。連絡員に専任や常駐は求められず、雇用形態も直接的・恒常的雇用関係である必要はありません。同一の連絡員が複数工事を兼務することも、1つの工事に複数の連絡員を置くことも可能です。ただし施工管理の最終責任は請負会社が負います。
計画書に記載すべき事項は、建設業者の名称・所在地、主任技術者等の氏名、時間外労働時間の見込みと実績、各工事の名称・所在地・内容・請負代金の額・移動時間・下請次数・連絡員の氏名等・情報通信技術・情報通信機器です(規則第17条の2第1項第5号)。電磁的方法での作成・保存も認められます。
法第26条第3項ただし書第2号は、工事現場に監理技術者補佐を専任で置く場合、監理技術者の専任を要しないと定めています。補佐となれるのは、主任技術者の資格を持つ者のうち国土交通大臣が定める要件に該当する者(実務上は1級第一次検定合格者=技士補など)です(令第29条)。
この特例は監理技術者に関するもので、主任技術者は対象外です。 兼務できる現場数は2です(法第26条第4項、令第30条)。また、同一の技術者が専任特例1号の現場と専任特例2号の現場を兼務することはできません。
令和6年改正の目玉がこちらです。従来、営業所技術者(旧・専任技術者)は営業所に専任で常勤する必要があり、現場配置技術者との兼務は原則として不可でした。改正後は、次の要件をすべて満たせば、営業所技術者が主任技術者の職務を、特定営業所技術者が主任技術者・監理技術者の職務を兼ねられます。
| # | 要件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | その営業所技術者等が置かれている営業所で締結した請負契約に係る工事であること | 法第26条の5第1項第1号 |
| 2 | 請負代金の額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)であること | 法第26条の5第1項第2号、令第33条 |
| 3 | 営業所と工事現場の距離が1日の勤務時間内に巡回可能で、災害等発生時の移動時間がおおむね2時間以内であること。下請次数3以内、連絡員の配置(営業所と現場の双方)、施工体制の情報通信技術による確認、計画書の作成・保存 | 法第26条の5第1項第3号、規則第17条の5 |
| 4 | 営業所から現場状況を確認できる映像・音声の情報通信機器と通信環境が確保されていること | 法第26条の5第1項第4号、規則第17条の6 |
| 5 | 兼ねられる工事現場の数は1であること | 法第26条の5第2項、令第34条 |
| 6 | 営業所技術者等が所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること | 監理技術者制度運用マニュアル |
| 項目 | 専任特例1号(兼任) | 法第26条の5(営業所技術者の兼務) |
|---|---|---|
| 誰が | 主任技術者・監理技術者 | 営業所技術者・特定営業所技術者 |
| 現場数の上限 | 2 | 1 |
| 金額上限 | 1億円未満(建築一式2億円未満) | 1億円未満(建築一式2億円未満) |
| 契約の場所の限定 | なし | その営業所で締結した契約に限る |
| 下請の技術者に使えるか | 使える | ― |
| 併用 | 専任特例2号・法第26条の5との併用不可 | 専任特例との併用不可 |
営業所技術者が退職した場合の対応は営業所技術者(専技)が退職したらどうする?をご覧ください。
型枠工事と鉄筋工事に限って、下請の主任技術者を置かなくてよい仕組みがあります。
合意書面には、工事の内容、下請契約の請負代金の額、元請等が置く主任技術者の氏名と資格を記載し、要件充足を証する書面と専任の誓約書を添付します(規則第17条の8)。
マニュアルは重要な注意も添えています。元請等の主任技術者が下請の作業員に直接作業を指示すると、労働者派遣(いわゆる偽装請負)とみなされる場合があるため、指示は下請の事業主や現場代理人など現場責任者に対して行わなければなりません。
監理技術者制度運用マニュアルは、監理技術者等(主任技術者を含む)について直接的かつ恒常的な雇用関係を求めています。
直接的な雇用関係とは、技術者と所属建設業者との間に第三者の介入する余地のない雇用に関する権利義務関係(賃金・労働時間・雇用・権利構成)が存在することをいい、在籍出向者や派遣社員は直接的な雇用関係にあるとはいえません。確認資料は、資格者証の写し、住民税特別徴収税額通知書の写し、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し、雇用証明書の写し等です。
恒常的な雇用関係とは、一定期間にわたり当該建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されていることをいいます。ここで、しばしば誤って一般化される「3か月」の要件が登場します。
特に国、地方公共団体及び公共法人等(中略)が発注する建設工事(以下「公共工事」という。)において、元請の専任の主任技術者、専任の監理技術者、専任特例の場合の監理技術者及び監理技術者補佐については、所属建設業者から入札の申込のあった日(中略)以前に三ヶ月以上の雇用関係にあることが必要である。
つまり「入札申込日以前に3か月以上」は、公共工事の元請の専任技術者等に限った要件です。すべての主任技術者に一律で3か月ルールが適用されるわけではありません。この点を正確に書いている解説は多くありません。
なお、合併・営業譲渡・会社分割等の組織変更で所属建設業者が変わった場合、変更前の会社と3か月以上の雇用関係にある者は、変更後の会社との間にも恒常的な雇用関係にあるものとみなされます。また、雇用期間が限定されている継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の適用者は、雇用期間にかかわらず常時雇用されているものとみなされます。
主任技術者の不設置には、行政処分と刑事罰の両方が用意されています。
| 内容 | 根拠 | 効果 |
|---|---|---|
| 主任技術者・監理技術者を置かなかった(法第26条第1項〜第3項、法第26条の3第7項違反) | 法第52条第1号 | 100万円以下の罰金 |
| 一式工事に伴う他業種工事・附帯工事で技術者を置かず、許可業者にも施工させなかった(法第26条の2違反) | 法第52条第2号 | 100万円以下の罰金 |
| 上記を法人の従業者等が行った | 法第53条第2号 | 行為者を罰するほか、法人にも同額の罰金 |
| 主任技術者・監理技術者が施工の管理について著しく不適当で、変更が公益上必要 | 法第28条第1項第5号 | 許可行政庁による指示処分 |
| 指示に従わない場合 | 法第28条第3項 | 1年以内の営業停止 |
| 営業停止処分に違反して営業した | 法第47条第1項第3号 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金) |
無許可営業や監督処分の全体像は建設業許可がないとどうなる?無許可営業の罰則と取得判断で解説しています。
最後に、実務で確認すべき順序をまとめます。
技術者の配置全体は建設業の技術者・現場配置|営業所技術者・主任・監理のハブページに整理しています。自社の要件充足が不安な場合は許可要件チェックもご利用ください。
主任技術者とは、建設業許可を受けた建設業者が、請け負った建設工事を施工する際に、その工事現場における施工の技術上の管理をつかさどる者として置かなければならない技術者です(建設業法第26条第1項)。施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理と、施工に従事する者の技術上の指導監督を職務とします(法第26条の4第1項)。元請・下請を問わず、また請負代金の額にかかわらず、許可業者が施工するすべての工事現場に置く必要があります。
建設業法第7条第2号のイ・ロ・ハのいずれかに該当することが必要です。イは指定学科を修めて大学・高等専門学校を卒業後3年以上、または高等学校・中等教育学校を卒業後5年以上の実務経験、ロは実務経験10年以上、ハは国土交通大臣が同等以上と認定した者です。ハの具体的な中身は建設業法施行規則第7条の3が定めており、業種ごとの国家資格(施工管理技士、建築士、技術士、技能検定等)のほか、1級第一次検定合格後3年以上・2級第一次検定合格後5年以上の実務経験、登録基幹技能者講習の修了が含まれます。
必要です。建設業法第26条第1項は「建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは」と定めており、請負代金の下限がありません。500万円未満の軽微な建設工事という区分は、建設業許可が必要かどうかの基準(建設業法施行令第1条の2)であって、主任技術者を置くかどうかの基準ではありません。ただし、そもそも建設業許可を受けていない事業者には配置義務がありません。「建設業者」とは許可を受けて建設業を営む者を指すからです(法第2条第3項)。
配置する場面と資格要件が違います。主任技術者は許可業者がすべての工事現場に置く技術者で、資格要件は法第7条第2号(一般建設業の営業所技術者と同じ)です。監理技術者は、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、その工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる場合に、主任技術者に代えて置く技術者で、資格要件は法第15条第2号とより厳格です。指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)の監理技術者は、1級の国家資格者または大臣認定者に限られます。
同一の会社である必要はありません。複数の勤務先や個人事業主としての期間を合算できます。ただし、勤務先ごとに実務経験証明書を作成し、その期間に対象業種の工事を行っていたことを示す資料(建設業許可通知書、または工事請負契約書・注文書・請求書等と入金確認資料)と、その期間その勤務先に常勤していたことを示す資料を、期間通年分そろえる必要があります。前の勤務先の協力が得られないと証明が困難になるため、在職中に証明を受けておくことが確実です。
東京都の運用では、業種ごとに原則10年以上が必要で、実務経験期間の重複は認められません。したがって2業種を実務経験だけで証明する場合は合計20年以上が必要です。指定学科による期間短縮を使う場合も重複はできません。例外として、土木一式からとび・土工、しゅんせつ、水道施設へ、建築一式から大工、屋根、内装、ガラス、防水、熱絶縁へ、大工と内装の相互間などの振替が認められており、この場合は合計12年以上(対象業種について8年を超える経験)で足ります。ただし指定学科による短縮との併用はできません。
第一次検定に合格しただけでは主任技術者にはなれませんが、実務経験と組み合わせれば要件を満たします。令和5年7月1日の建設業法施行規則改正により、1級の第一次検定合格後3年以上、2級の第一次検定合格後5年以上の実務経験があれば、主任技術者の要件を満たすこととされました。ただしこの緩和は、指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)と電気通信工事業には適用されません。これらの業種は従来どおり第二次検定の合格などが必要です。
公共性のある施設・工作物、または多数の者が利用する施設・工作物に関する重要な建設工事で、工事1件の請負代金の額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)の場合です(建設業法第26条第3項、建設業法施行令第27条第1項)。この金額は令和7年2月1日に4,000万円・8,000万円から引き上げられました。対象施設には、国・地方公共団体が注文者の工事のほか、学校、病院、事務所、ホテル、共同住宅、工場、倉庫、百貨店など民間施設も広く含まれます。
令和6年改正建設業法により可能になりました。各工事の請負代金が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)であること、現場間の移動時間がおおむね2時間以内で1日の勤務時間内に巡回可能であること、下請次数が3を超えないこと、各現場に連絡員を置くこと、入退場を遠隔確認できる仕組みと映像・音声の通信機器を備えること、人員配置計画書を作成・保存することを満たせば、2現場まで兼任できます(法第26条第3項ただし書第1号、令第28条・第30条、規則第17条の2・第17条の3)。この特例は下請の主任技術者にも使えます。
令和6年改正で新設された建設業法第26条の5により、専任配置が必要な工事でも兼務できるようになりました。要件は、その営業所で締結した請負契約に係る工事であること、請負代金が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)であること、営業所と現場の移動時間がおおむね2時間以内であること、連絡員の配置や情報通信機器の設置などの措置を講じていること、そして直接的かつ恒常的な雇用関係にあることです。ただし兼ねられる工事現場は1つだけで(令第34条)、主任技術者の2現場兼任(専任特例1号)との併用はできません。
専任=常駐ではありません。監理技術者制度運用マニュアルは、専任を「他の工事現場に係る職務を兼務せず、勤務中は常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していること」と定義しつつ、必ずしも常駐を必要とするものではないとしています。打合せ、書類作成、研修・講習・試験への参加、休暇の取得などの合理的な理由で1〜2日程度現場を離れることは、適切な施工ができる体制を確保できれば差し支えありません。それを超える場合や、終日離れる日が週の稼働日の半数以上になる場合は、体制を確保したうえで元請なら発注者、下請なら元請等の了解が必要です。
認められません。監理技術者制度運用マニュアルは、監理技術者等(主任技術者を含む)は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要であり、在籍出向者や派遣社員は直接的な雇用関係にあるとはいえないとしています。雇用関係は、住民税特別徴収税額通知書の写し、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し、雇用証明書の写し等で確認します。なお「入札申込日以前に3か月以上の雇用関係」という要件は、公共工事における元請の専任の主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐に限って課されるものです。
建設業法第52条第1号により100万円以下の罰金が科されます。法人の従業者等が違反した場合は、行為者を罰するほか法人にも同額の罰金が科されます(法第53条第2号)。また、主任技術者・監理技術者が施工の管理について著しく不適当で、その変更が公益上必要と認められるときは、許可行政庁が指示処分を行うことができ(法第28条第1項第5号)、指示に従わない場合は1年以内の営業停止を命じられます(同条第3項)。監督処分は公告され、経営事項審査の評点や入札参加資格にも影響します。
特定専門工事に限って認められています。特定専門工事とは、型枠の組立てに関する工事(大工工事またはとび・土工・コンクリート工事)と鉄筋工事のうち、元請等が施工のために締結した下請契約の請負代金の総額が4,500万円未満のものです(法第26条の3第2項、令第31条)。元請等と下請が書面で合意し、事前に注文者の書面による承諾を得たうえで、元請等が置く主任技術者が同種工事に関し1年以上の指導監督的な実務経験を有し、その現場に専任で置かれることが条件です。この場合、下請は請け負った工事を他人に請け負わせることができません。
主任技術者の話は、突き詰めると「誰を、どの現場に、どう証明して置くか」に尽きます。
とくに実務経験の証明は、前職の協力、通年分の契約書や請求書、常勤資料の収集と、着手から完了まで数か月かかることも珍しくありません。東京都は令和7年12月2日以降の申請について常勤の確認資料を厳格化しており、以前より準備の負担は増しています。
行政書士萩本昌史事務所では、東京都知事許可を前提に、技術者要件の判定から実務経験証明書の作成、確認資料の収集支援までを一貫してお引き受けしています。「この人で主任技術者になれるか」の段階からご相談ください。初回相談は無料です。