建設業で外国人を雇用するには?会社側・外国人側の要件と注意点を徹底解説
「人手不足を外国人材で補いたいが、何から始めればいいかわからない」「特定技能と育成就労の違いがよくわからない」――建設業の事業主様から、こうしたご相談を毎月のように頂戴します。
建設業における外国人雇用は、在留資格の種類選び・会社側の要件整備・外国人側の要件確認という三つの軸で考える必要があります。さらに2026年4月から技能実習制度が育成就労制度に移行したことで、制度の全体像を改めて整理する必要が出てきました。
この記事では、特定行政書士として建設業許可と入管業務の両分野を扱う立場から、建設業で外国人を雇用するための在留資格・会社側の要件・外国人側の要件・実務上の注意点を、最新の制度を踏まえて徹底的に解説します。
- 建設業で外国人を雇用できる在留資格の種類
- 会社側に求められる要件(受入企業の準備)
- 外国人側に求められる要件(在留資格ごとの基準)
- 建設業ならではの独自ルールと2026年最新動向
- 外国人雇用の手続きの流れ
- よくあるトラブル事例と注意点
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:建設業の外国人雇用は専門家との連携が成功の鍵
1. 建設業で外国人を雇用できる在留資格の種類
建設業で外国人を雇用するには、まず就労が認められた在留資格を持つ外国人を採用しなければなりません。観光ビザや短期滞在では建設現場で働かせることはできず、違反すれば不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2)に問われます。
建設業で実務上よく利用される在留資格は、次の四つです。
| 在留資格 | 主な対象者 | 在留期間 | 家族帯同 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 一定の技能・日本語力を持つ即戦力人材 | 通算5年まで | 不可 |
| 特定技能2号 | 班長・職長レベルの熟練技能者 | 更新上限なし | 可 |
| 育成就労 | 未経験から技能を習得する人材 | 原則3年 | 不可 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 施工管理・設計・CADなどの専門職 | 5年/3年/1年/3月 | 可 |
1-1. 特定技能1号(即戦力人材の中心的な選択肢)
特定技能1号は、2019年4月に創設された就労系の在留資格で、現在の建設業における外国人雇用の中心となっています。建設分野特定技能1号評価試験と日本語能力試験N4(または国際交流基金日本語基礎テスト)の両方に合格した方、もしくは技能実習2号を良好に修了した方が対象です。
業務区分は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分で、認定を受けた区分の工事であれば現場の種類を問わず従事できます。
1-2. 特定技能2号(長期定着が可能な熟練人材)
特定技能2号は、班長・職長としての一定の実務経験と、特定技能2号評価試験または技能検定1級の合格が要件です。在留期間の更新に上限がなく、配偶者・子の帯同も可能なため、企業にとっては長期的な戦力として育成できる魅力的な制度です。
1-3. 育成就労(旧・技能実習に代わる新制度)
2026年4月に技能実習制度が廃止され、育成就労制度が新たに施行されました。育成就労は「実習」ではなく「就労を通じた人材育成」を目的とし、原則3年間で特定技能1号の水準まで育成することが前提とされています。
育成就労制度では、技能実習で問題視されてきた「転籍制限」が一定の条件下で緩和されます。受入企業は、定着のために労働環境や処遇面での競争力を高める必要があります。
1-4. 技術・人文知識・国際業務(施工管理・設計などの専門職)
「技術・人文知識・国際業務」(通称・技人国)は、大学・専門学校で関連分野を専攻した外国人が、その専門性を活かして就労する在留資格です。建設業では、施工管理・建築設計・CADオペレーター・国際営業などが該当します。現場の単純労働には従事できない点に注意が必要です。
2. 会社側に求められる要件(受入企業の準備)
外国人を雇用したいと思っても、会社側が一定の要件を満たさなければ、在留資格の許可は下りません。建設業は他業種に比べて要件が多く、準備に数か月を要するケースも珍しくありません。
2-1. 建設業許可の取得
特定技能・育成就労で外国人を受け入れる場合、建設業法第3条の建設業許可を受けていることが、建設特定技能受入計画の認定要件とされています。500万円未満の軽微な工事のみを請け負う事業者であっても、外国人材の受入を予定するなら、建設業許可の取得が事実上のスタートラインとなります。
建設業許可をまだ取得していない事業者様は、外国人雇用の検討と並行して、建設業許可の準備を進めることを強くおすすめします。新規取得には通常2〜3か月、要件整備を含めると半年程度かかることもあります。
2-2. JAC(建設技能人材機構)への加入
特定技能1号・育成就労で建設分野の外国人を受け入れる企業は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入が義務付けられています。JACに直接加盟する「正会員」と、JAC会員団体を通じて加盟する「賛助会員」の2形態があり、年会費や受入負担金が発生します。
2-3. CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録
受入企業と外国人本人の双方が、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録することが必須です。CCUSは、技能者の就業履歴・保有資格をデジタルで蓄積する公的システムで、外国人の処遇改善とキャリア形成を可視化する役割を担います。
2-4. 建設特定技能受入計画の認定
建設分野では「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通大臣(実際には地方整備局)の認定を受ける必要があります。これは他の分野にはない建設業独自の要件で、報酬額・職務内容・教育体制・キャリアパスなどを記載します。
建設特定技能受入計画の審査には、地域によって3〜4か月かかることがあります。外国人の入国予定日から逆算して、余裕をもったスケジュールで申請することが重要です。
2-5. 報酬・労働条件の整備
外国人材の報酬は「同等の技能を有する日本人と同等額以上」でなければなりません。これは基本給だけでなく、毎月固定的に支払われる手当を含めて審査されます。地域別最低賃金ではなく、建設業の平均賃金水準が事実上の判断基準となる点に注意が必要です。
2-6. 受入人数の上限
建設分野では、1号特定技能外国人と外国人建設就労者(特定活動)の合計が、常勤職員数を超えてはならないという制限があります。常勤職員5名の会社であれば、外国人受入は最大5名までです。小規模事業者ほど慎重な人員計画が必要です。
3. 外国人側に求められる要件(在留資格ごとの基準)
会社側の準備が整っても、雇用しようとする外国人本人が在留資格の基準を満たしていなければ、申請は許可されません。
3-1. 特定技能1号の本人要件
- 建設分野特定技能1号評価試験(土木・建築・ライフライン設備のいずれかの区分)に合格していること
- 日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格していること
- 18歳以上であること
- 健康状態が良好であること
- 退職強要・違約金の取り決めなど、不当な約束をしていないこと
※技能実習2号を良好に修了した方は、両試験が免除されます。
3-2. 特定技能2号の本人要件
- 建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級に合格していること
- 班長または職長として一定期間(おおむね3年以上)の実務経験があること
- 建設業務に従事できる健康状態であること
3-3. 育成就労の本人要件
育成就労は、未経験者を受け入れて段階的に育成する制度のため、本人要件は特定技能ほど厳しくありません。ただし、一定の日本語力(A1相当以上)と、対象職種に関する基本的な資質が求められます。
3-4. 技術・人文知識・国際業務の本人要件
- 大学(短大含む)または日本の専門学校を卒業していること
- 専攻と業務内容に関連性があること(例:土木工学卒→施工管理)
- 10年以上の実務経験で代替できる場合もある
4. 建設業ならではの独自ルールと2026年最新動向
4-1. 育成就労制度への完全移行(2026年4月施行)
2026年4月、技能実習制度に代わって育成就労制度が本格的に始動しました。技能実習との大きな違いは次のとおりです。
| 項目 | 技能実習(旧) | 育成就労(新) |
|---|---|---|
| 制度目的 | 母国への技能移転 | 特定技能への育成 |
| 転籍 | 原則不可 | 条件付きで可能 |
| 在留期間 | 最長5年(1〜3号) | 原則3年 |
| 監理団体 | 監理団体 | 監理支援機関(要件強化) |
施行時点で在籍している技能実習生には経過措置があり、条件付きで引き続き就労可能です。新規の受入は原則として育成就労制度を利用することになります。
4-2. 受入計画認定と巡回確認の強化
建設特定技能受入計画は、認定後も国土交通省または適正就労監理機関による巡回訪問で実施状況の確認を受けます。報酬の支払状況、労働環境、キャリアアップ状況などが対象で、不適切と判断されれば計画の取消しもあり得ます。
4-3. 24時間オンライン医療受診支援窓口の開設
2026年1月、JACは特定技能1号外国人向けに、24時間対応のオンライン医療受診支援窓口を開設しました。32言語の通訳が無料で利用でき、外国人の生活支援の質が大きく向上しています。受入企業は、こうした支援リソースを積極的に活用することが望まれます。
5. 外国人雇用の手続きの流れ
特定技能1号で建設業の外国人を雇用する場合の、標準的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 受入準備:建設業許可、JAC加入、CCUS登録の整備
- 採用活動:技能実習修了者からの移行・海外採用・国内在住者の採用など
- 雇用契約締結:報酬・職務・支援体制を明記
- 1号特定技能外国人支援計画の作成:登録支援機関への委託も可能
- 建設特定技能受入計画の作成・申請:地方整備局へ提出(審査3〜4か月)
- 在留資格認定証明書交付申請(または変更許可申請)
- 入国・受入:事前ガイダンス・生活オリエンテーション・住居確保
- 就労開始後の継続支援:定期面談、相談対応、巡回確認への対応
在留資格認定証明書交付申請は入国予定日の3か月前から可能です。建設特定技能受入計画の審査と並行して進めるため、全体で6か月〜1年程度のスケジュールを見込むのが現実的です。
6. よくあるトラブル事例と注意点
6-1. 報酬の設定ミスによる不許可
「日本人と同等以上」の報酬要件を、最低賃金ベースで設定してしまい、不許可となるケースが頻発しています。同職種の日本人技能者の賃金台帳を準備し、客観的な根拠とともに報酬を設定することが重要です。
6-2. 業務区分外の作業従事
特定技能の業務区分(土木・建築・ライフライン設備)は厳格に運用されます。認定を受けた区分外の作業に従事させると、不法就労助長罪のリスクがあります。配置転換時は必ず区分を確認しましょう。
6-3. CCUS登録漏れ・更新遅延
CCUSの登録が完了していない、または就業履歴の蓄積が滞っていることで、巡回確認時に指摘を受けるケースがあります。登録は受入前に完了させ、就業履歴は日次で蓄積する運用が望まれます。
6-4. 受入人数上限の超過
「日本人常勤職員数を超えない」というルールを失念し、計画変更時に超過が発覚するケースがあります。退職や採用で常勤職員数が変動した場合は、受入人数の見直しが必要です。
7. よくある質問(FAQ)
- 建設業で外国人を雇用するのに建設業許可は必須ですか?
- 特定技能や育成就労で外国人を受け入れる場合、建設業許可(500万円未満の軽微な工事のみを請け負う場合は建築工事業の登録または相応の事業実績)が事実上必須となります。建設特定技能受入計画の認定要件として、建設業法第3条の許可を受けていることが求められるためです。
- 技能実習制度はもう使えないのですか?
- 技能実習制度は2026年4月から育成就労制度に移行しました。ただし、施行時点で在籍している技能実習生については経過措置があり、条件付きで引き続き就労可能です。新規受入は原則として育成就労制度を利用することになります。
- 特定技能と育成就労の違いは何ですか?
- 特定技能は即戦力人材を対象とし、技能試験と日本語試験の合格が必要です。育成就労は未経験者を3年間で特定技能1号水準まで育成する制度で、原則として最終的に特定技能への移行を前提としています。受入企業の要件や監理体制も異なります。
- 外国人の給与は日本人より低くてもいいですか?
- 認められません。在留資格申請時に「同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬」であることが要件とされ、基本給と毎月固定的に支払われる手当を含めて審査されます。地域別最低賃金ではなく、建設業の平均賃金水準が判断基準となります。
- 受け入れ可能な人数に上限はありますか?
- 建設分野では、特定技能1号外国人と外国人建設就労者(特定活動)の合計が、受入企業の常勤職員数を超えてはならないという制限があります。小規模企業ほど受入人数が限られる点に注意が必要です。
- 建設業許可がない事業者でも外国人を雇える方法はありますか?
- 「技術・人文知識・国際業務」など、建設特定技能受入計画の認定を要しない在留資格であれば、建設業許可がなくても雇用可能なケースがあります。ただし、現場の技能職には基本的に就けないため、業務内容との整合性を慎重に検討する必要があります。
8. まとめ:建設業の外国人雇用は専門家との連携が成功の鍵
建設業における外国人雇用は、建設業法・出入国管理及び難民認定法・労働関係法令の三領域が交差する複雑な分野です。在留資格選びを誤れば不法就労助長罪のリスクがあり、受入計画の不備は計画認定の取消しに直結します。
また、2026年4月の育成就労制度施行により、制度の全体像が大きく変わりました。最新の運用ルールを正確に把握し、自社の状況に合った受入スキームを選択することが、外国人材雇用を成功させる第一歩です。
当事務所は、建設業許可と入管業務(在留資格)の両分野を取り扱う特定行政書士事務所として、外国人雇用を検討される建設業者様を一貫してサポートしています。建設業許可の新規取得から、JAC加入支援、建設特定技能受入計画の作成、在留資格申請までワンストップで対応可能です。
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