特定建設業の「特定営業所技術者」になるための要件|令和6年法改正対応

特定建設業の「特定営業所技術者」になるための要件|令和6年法改正対応

特定建設業の特定営業所技術者になるための要件|建設業許可の知識
ホーム > 建設業許可の知識 > 特定営業所技術者の要件


特定建設業の「特定営業所技術者」になるための要件|令和6年法改正対応




/ 著者: 萩本 昌史(特定行政書士)
特定建設業許可を取得する上で、「特定営業所技術者」(旧:専任技術者)を確保できるかどうかは最大の関門です。令和6年12月13日施行の建設業法改正により名称が変更され、さらに令和7年2月施行の改正で金額要件も見直されました。本ページでは、東京都の建設業許可を数多く扱ってきた行政書士の視点から、特定営業所技術者になるための要件を正確かつ実務的に解説します。指定建設業7業種の特別な取扱い、1級国家資格の一覧、指導監督的実務経験の内容、監理技術者資格者証による効率的な証明方法、常勤性の証明方法まで、この1ページで全体像を把握できる内容にまとめました。

目次



  1. 1. 特定営業所技術者とは|令和6年改正で名称が変更されました
  2. 2. 一般建設業の営業所技術者との違い
  3. 3. 特定営業所技術者になるための3つのルート
  4. 4. ルート1:1級国家資格等を保有する(監理技術者資格者証の活用含む)
  5. 5. ルート2:一般要件+指導監督的実務経験2年
  6. 6. ルート3:国土交通大臣の個別認定
  7. 7. 【重要】指定建設業7業種の特別ルール
  8. 8. 常勤性・専任性の要件と証明方法
  9. 9. よくある失敗パターンと対策
  10. 10. よくある質問(FAQ)

1. 特定営業所技術者とは|令和6年改正で名称が変更されました


特定営業所技術者とは、特定建設業の許可を受けた建設業者が、営業所ごとに専任で配置しなければならない技術上の責任者をいいます。建設業法第15条第2号に規定されています。

1-1. 令和6年12月13日施行の名称変更

令和6年12月13日施行の建設業法改正により、長く使われてきた「専任技術者」の呼称が改められました


改正前(~令和6年12月12日) 改正後(令和6年12月13日~)
専任技術者(一般・特定の区別なし)

・一般建設業 → 営業所技術者(法第7条第2号)
・特定建設業 → 特定営業所技術者(法第15条第2号)
・両者の総称 → 営業所技術者等



名称は変わりましたが、法律上求められる要件そのものに変更はありませんただし許可申請書類の様式表記は新名称に統一されており、実務上は新しい呼び方に慣れておく必要があります。

1-2. 改正で明確化された「役割」

改正後の条文では、営業所技術者等の職務として「建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者」と明記されました。改正前は「請負契約の締結の責任者」という位置付けが中心でしたが、改正により履行段階における技術上の管理も明文上の職責に加わっています。


2. 一般建設業の営業所技術者との違い

特定建設業は、発注者から直接請け負った1件の工事について、下請に出す金額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)となる場合に必要な許可です(令和7年2月1日施行の改正後の金額)。下請業者の保護という重要な役割を担うため、営業所技術者の要件も一般建設業より一段厳しくなっています。




項目 一般建設業(営業所技術者) 特定建設業(特定営業所技術者)
根拠条文 建設業法第7条第2号 建設業法第15条第2号
国家資格の水準

2級以上でも可
(例:2級建築施工管理技士)

原則1級
(例:1級建築施工管理技士)

実務経験での対応 10年以上の実務経験で可 10年実務経験+指導監督的実務経験2年
指定建設業7業種 実務経験でも可 実務経験不可(1級資格必須)
更新時の確認 新規時のみ 更新時も確認


3. 特定営業所技術者になるための3つのルート


建設業法第15条第2号は、特定営業所技術者になるための要件として次の3つのルートを定めています。いずれか1つを満たせば要件クリアとなります。


建設業法第15条第2号(要旨)

その営業所ごとに、特定営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であって、次のイ・ロ・ハのいずれかに該当する者)を専任の者として置くこと。




ルート 要件の柱 内容
1級国家資格等の保有

許可業種に対応する1級の施工管理技士、1級建築士、技術士 等
※指導監督的実務経験は不要

一般要件+指導監督的実務経験 一般建設業の営業所技術者の要件を満たした上で、元請4,500万円以上の工事で指導監督的実務経験2年以上
国土交通大臣の認定 イと同等以上の能力を有するものと個別に認定された者


イ・ロ・ハは「又は」の関係にあります。つまり、1級資格保有者(イ)を配置する場合、指導監督的実務経験(ロ)は不要です。実務上は、可能な限りイのルート(資格ルート)で特定営業所技術者を確保するのが最も確実かつ書類準備の負担も軽い方法です。ロの指導監督的実務経験ルートは、資格取得が間に合わない場合の代替策と位置付けるのが実務的です。

ただし、後述する指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)では、ロの指導監督的実務経験ルートが使えません。必ずイの1級国家資格または個別認定が必要です。


4. ルート1:1級国家資格等を保有する(イ)


最も明快で、実務上もっとも多いルートです。許可を受けようとする建設業の業種に対応する1級の国家資格を保有していれば、特定営業所技術者の要件を直ちに満たすことができます。


資格要件を満たす方がいれば、指導監督的実務経験は一切不要です。建設業法第15条第2号のイ・ロ・ハはいずれか1つを満たせばよい選択肢関係(「又は」の関係)にあります。したがって、1級国家資格等を保有している方(イに該当する方)を特定営業所技術者として配置する場合、ロの指導監督的実務経験2年以上は求められません。資格さえあれば、元請工事の経験がまったくない方でも、新設法人の技術者でも、特定営業所技術者になることが可能です。

実務上、ここを混同して「1級資格があっても2年の指導監督的実務経験も必要なのでは?」と誤解されるケースが散見されます。1級資格保有者については、指導監督的実務経験の証明資料(元請契約書・施工体系図等)の提出は不要です。ただし、常勤性の証明(健康保険証・標準報酬決定通知書等)は資格ルートでも必ず必要ですので、この点は混同しないようご注意ください。


4-1. 代表的な1級国家資格


資格名 対応する主な建設業種
1級土木施工管理技士 土木一式、とび・土工、石、鋼構造物、舗装、しゅんせつ、水道施設、解体 等
1級建築施工管理技士 建築一式、大工、左官、屋根、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具、解体 等
1級電気工事施工管理技士 電気工事業
1級管工事施工管理技士 管工事業
1級電気通信工事施工管理技士 電気通信工事業
1級造園施工管理技士 造園工事業
1級建築士 建築一式、大工、屋根、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、内装仕上 等
技術士(建設部門 等) 選択科目に応じて土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園、水道施設、清掃施設 等


資格取得後に実務経験年数が別途必要な資格もあります(例:1級建築施工管理技士補は合格後3年の実務経験が必要)。また、許可業種と選択科目の組み合わせに制約があるため、「資格があるから全業種でOK」とは限らない点にご注意ください。

4-2. 資格確認の実務ポイント

申請時には合格証明書または免状の原本提示(コピーの添付)が求められます。紛失している場合は、試験実施機関(一般財団法人建設業振興基金、公益財団法人建築技術教育普及センター等)に再発行を依頼する必要があり、発行まで2〜4週間かかることもあります。許可申請を急ぐ場合は早めの確認が肝要です。

4-3. 【実務の要点】監理技術者資格者証による証明


特定建設業許可の実務で最も効率的な証明方法が、監理技術者資格者証(監理技術者証)による証明す。東京都の「建設業許可申請・変更の手引」(令和7年度版)でも正式な証明方法として認められています。ただし、この制度の法的構造を正確に理解しておく必要があります。



(1) 法的論理の正確な整理|よくある誤解


「1級国家資格を有する=指導監督的実務経験があるといえる」という理解は誤りです両者はそもそも別個の要件であり、1級資格保有者について法は指導監督的実務経験の有無を問いません。混同しやすい論点なので、制度の仕組みを丁寧に整理します。

建設業法第15条第2号は、特定営業所技術者になるための要件としてイ・ロ・ハのいずれか1つを満たせばよいと定めています。これは「1級資格があれば実務経験もあるとみなす」という関係ではなく、3つの独立した選択肢を並列で用意しているという構造です。
選択肢 法律上の要件 求められる内容
1級国家資格等の保有 資格さえあれば実務経験は一切問われない
一般要件+指導監督的実務経験2年

2級等の資格または10年経験に加えて、
元請4,500万円以上の工事での指導監督的経験
2年が必要

国土交通大臣の個別認定 個別審査により認定


つまり、1級資格保有者(イに該当)は、指導監督的実務経験を「持っている」のではなく、「そもそも問われていない」のです。法律が、1級という高度な試験合格をもって技術者としての能力を担保しているため、元請4,500万円以上の工事経験を別途求めなくても足りる、という立法判断です。



(2) 監理技術者資格者証の交付要件と特定営業所技術者要件の対応関係


監理技術者資格者証を交付する一般財団法人建設業技術者センターは、次の2つのルートのいずれかで資格者証を交付します。



交付ルート 監理技術者資格者証の交付要件 対応する特定営業所技術者の要件
1級国家資格等

1級施工管理技士、1級建築士、関連技術士など1級国家資格等の保有のみ
※指導監督的実務経験は不要

建設業法第15条第2号を満たす
実務経験

2級国家資格等+指導監督的実務経験2年以上
(22業種のみ。指定建設業7業種では取得不可)

建設業法第15条第2号を満たす


このように、監理技術者資格者証は2種類の取得ルートを持っています。実は資格者証を見ただけでは、その方が1級ルート(イ相当)で取得したのか、実務経験ルート(ロ相当)で取得したのかは区別されません。しかしどちらのルートであっても、結果的に特定営業所技術者の資格要件(イまたはロ)を満たしていることになる——これが資格者証が証明書類として機能する理由です。



(3) 「結果的に指導監督的実務経験の証明が不要になる」の正確な意味


ここで、論点を法的に正確に整理します。


監理技術者資格者証を提示すれば、指導監督的実務経験の証明書類は実務上不要になります。ただしその理由は交付ルートによって異なります。

  • 1級国家資格で資格者証を取得した方の場合:そもそも法第15条第2号イの要件を満たすため、指導監督的実務経験自体が要件ではなく、証明の必要もありません
  • 実務経験で資格者証を取得した方の場合:法第15条第2号ロの要件(指導監督的実務経験2年)は必要ですが、その確認を建設業技術者センターが既に済ませているため、許可行政庁は資格者証の確認で足りるとしています。

いずれにせよ、許可申請窓口での書類準備としては「資格者証の写し1枚」で完結する点は変わりません。

(4) 東京都の手引きでの取扱い


東京都都市整備局の「建設業許可申請・変更の手引」では、特定営業所技術者の技術者要件の証明書類について、次のように整理されています。


証明方法 必要書類
1級国家資格等で証明 合格証明書・免状の写し(原本提示)
監理技術者資格者証で証明

監理技術者資格者証の写し(原本提示)のみ
※卒業証明書・実務経験証明書・指導監督的実務経験証明書・技術検定合格証明書の提出は不要

指導監督的実務経験で証明(資格者証なし)

実務経験証明書+指導監督的実務経験証明書
+元請工事の契約書の写し+施工体系図 等


提出書類の量を比較すると、監理技術者資格者証による証明がいかに効率的かが一目瞭然です。特に22業種で実務経験ルートを取る場合、資格者証を事前に取得しておくことで許可申請の書類負担が劇的に軽減されます。



(5) 有効期限切れの資格者証でも資格証明は可能


国土交通省関東地方整備局および東京都の手引きでは、監理技術者資格者証の有効期限が切れていても、「資格」や「実務経験」は認められる旨が明記されています。これは、資格者証は有効期限ごとに講習受講・更新が必要ですが、その元となる技術者資格そのものが失効するわけではないためです。


ただし、現場に監理技術者として配置するためには有効期限内の資格者証+監理技術者講習修了証が必要です。許可申請の資格証明としては期限切れでも使えますが、実際の工事現場での配置には有効な資格者証が必要という区別を誤らないようご注意ください。



(6) 実務上の活用シーン


監理技術者資格者証による証明が特に威力を発揮するのは、次のような場面です。


  • 22業種で実務経験ルートで特定営業所技術者を立てたい場合 → 資格者証を先に取得しておけば書類準備が劇的に簡素化
  • 過去に取得した国家資格の合格証明書を紛失ている場合 → 資格者証を代替証明として利用可能
  • 一般から特定への切替え申請で、既に現場配置のため資格者証を取得済みの技術者がいる場合 → 追加書類なしで申請可能
  • 監理技術者資格者証の交付を受けた後に合格証明書を紛失した場合 → 再発行を待たずに申請可能

特定建設業許可の実務では、新規申請・業種追加・更新のいずれにおいても、まず「監理技術者資格者証を保有している技術者がいないか」を確認するのが王道のアプローチとなります。

5. ルート2:一般要件+指導監督的実務経験2年(ロ)


1級資格を持っていない方でも、「一般建設業の営業所技術者要件」+「指導監督的実務経験2年以上」を満たせば特定営業所技術者になれるルートです。ただし指定建設業7業種では使えません(詳細は次章)。

5-1. 前提となる一般要件

まず、次のいずれかの方法で一般建設業の営業所技術者要件を満たしている必要があります。

  • 許可業種に対応する指定学科を卒業し、高卒後5年以上・大卒/高専卒後3年以上の実務経験
  • 許可業種に関する10年以上の実務経験
  • 許可業種に対応する2級国家資格等の保有

5-2. 「指導監督的実務経験」とは

指導監督的実務経験とは、元請として請け負った請負金額4,500万円以上の建設工事について、主任技術者または監理技術者として、工事の技術上の管理を総合的に指導監督した実務経験をいいます。この経験が通算2年以上必要です。


「下請として従事した経験」「現場の一作業員としての経験」は指導監督的実務経験に該当しません。また、金額基準に満たない小規模工事の経験を積み上げてもカウントされません。証明資料として、当時の元請工事請負契約書・注文書・注文請書・施工体系図等を保存しておく必要があります。

5-3. 証明資料の準備

指導監督的実務経験の証明は、一般建設業の実務経験証明以上に書類が厳格に求められます。東京都の場合、次のような資料を2年分以上、工事ごとに用意するのが一般的です。

  • 元請としての工事請負契約書の写し(契約金額がわかるもの)
  • 当該工事の施工体系図または監理技術者届出書
  • 厚生年金被保険者記録照会回答票等の在籍証明
  • 在籍当時の雇用先からの実務経験証明書(代表者印付)

6. ルート3:国土交通大臣の個別認定(ハ)


イと同等以上の能力を有するものとして国土交通大臣から個別認定を受けた方も、特定営業所技術者になれます。海外で取得した資格・学歴の評価、旧制度の資格保有者等が対象となる実務上やや特殊なルートです。
申請には国土交通省への個別認定申請が必要で、審査期間も数か月単位を要するため、実務的には限定的な選択肢となります。


7. 【重要】指定建設業7業種の特別ルール


特定営業所技術者制度で最も注意すべきなのが指定建設業7業種の取扱いです。ここを誤解すると許可申請が通らないだけでなく、無資格者を配置してしまう建設業法違反のリスクにつながります。

7-1. 指定建設業7業種とは

建設業法施行令第5条の2により、次の7業種が指定建設業として定められています。


  1. 土木工事業
  2. 建築工事業
  3. 電気工事業
  4. 管工事業
  5. 鋼構造物工事業
  6. 舗装工事業
  7. 造園工事業


7-2. 特別ルールの内容

指定建設業7業種で特定建設業許可を取る場合、特定営業所技術者になれるのはルート1(イ:1級国家資格等)またはルート3(ハ:国土交通大臣認定)のみです。ルート2の指導監督的実務経験による方法は認められません。


どれほど長い指導監督的実務経験があっても、1級資格または大臣認定がなければ指定建設業7業種の特定営業所技術者にはなれません。これは現場に配置する監理技術者も同様です。会社として指定建設業の特定許可を目指すなら、1級技術者の確保(可能であれば2名以上)が絶対条件となります。

7-3. 指定建設業7業種で求められる主な1級資格


業種 主な1級国家資格・技術士部門
土木工事業 1級土木施工管理技士/技術士(建設部門 等)
建築工事業 1級建築施工管理技士/1級建築士
電気工事業 1級電気工事施工管理技士/技術士(電気電子部門)/第一種電気工事士+実務経験等
管工事業 1級管工事施工管理技士/技術士(機械部門〈流体・熱〉、上下水道部門、衛生工学部門 等)
鋼構造物工事業 1級土木施工管理技士/1級建築施工管理技士/技術士(建設部門〈鋼構造及びコンクリート〉)
舗装工事業 1級土木施工管理技士/技術士(建設部門 等)
造園工事業 1級造園施工管理技士/技術士(建設部門〈都市及び地方計画〉、森林部門〈森林土木〉 等)


8. 常勤性・専任性の要件と証明方法


資格要件を満たしていても、その方が当該営業所に常勤し、かつ専任でなければ特定営業所技術者として認められません。

8-1. 「常勤」とは

休日等を除き、毎日所定の時間中、職務に従事している状態を指します。次のような方は原則として常勤と認められません。

  • 他社の代表取締役・役員を兼務している
  • 他社の従業員(出向元との雇用関係が継続している出向者を含む場合があります)
  • 他社で社会保険に加入している方
  • 住所から通勤圏外に居住する方(原則)

8-2. 「専任」とは

その営業所に常勤し、もっぱら建設工事の請負契約の締結及び履行業務に関する技術上の管理に従事することをいいます。原則として工事現場の監理技術者や主任技術者を兼ねることはできません。


8-3. 令和6年改正による兼務特例(法第26条の5)

令和6年12月13日施行の法改正で建設業法第26条の5が新設され、一定の要件を満たす場合に限り、営業所技術者等が1現場に限って主任技術者等を兼務できるようになりました。主な要件は次のとおりです。


  • 当該営業所で締結した工事であるこ
  • 請負金額1億円(建築一式は2億円)未満
  • 営業所から概ね移動時間2時間以内・1日で巡回可能な距離
  • 連絡員の配置(土木一式・建築一式の場合は該当業種の実務経験1年以上の者)
  • 施工体制確認のためのICT機器の設置、人員配置計画書の作成・保存 等

ただし、この兼務特例は最大2現場の配置が限界(「営業所近接工事との兼務特例」との併用不可)で、運用にはかなりの制約があります。


8-4. 常勤性の証明資料

東京都の建設業許可申請では、次のいずれかで常勤性を証明します。


  • 事業所名が記載された健康保険証の写し
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  • 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)
  • 資格取得確認及び標準報酬決定通知書
  • (70歳以上)厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ


9. よくある失敗パターンと対策

9-1. 失敗例①:指定建設業で実務経験のみで申請しようとする

「30年のベテランだから大丈夫」と考えて、指定建設業7業種の特定許可申請を準備したが、1級資格がなく申請できなかった、というケースは珍しくありません。指定建設業7業種では資格取得が不可避です。会社として中長期的な資格取得計画を立てる必要があります。



9-2. 失敗例②:指導監督的実務経験の金額基準を誤解する

指導監督的実務経験は「元請として請け負った4,500万円以上の工事」が対象です。下請工事の経験や、小規模工事の積み重ねではカウントされません。また、契約書や注文書等の客観的資料を保存していないと、経験があっても証明できない事態に陥ります。



9-3. 失敗例③:特定営業所技術者の退職で許可が取消しに

特定営業所技術者は許可要件そのものであるため、退職等で不在となった場合、速やかに後任を配置できなければ建設業法第29条第1項第1号により許可取消しの対象となります。1名体制で運用している会社はリスクが大きく、特に指定建設業7業種では1級技術者の複数体制を強く推奨します。



9-4. 失敗例④:更新時の財産要件失念と合わせた許可失効

特定建設業は新規時だけでなく更新時にも技術者要件・財産要件の両方を満たしている必要があります。特定営業所技術者の後任確保と、決算期の財務状態の両方を意識した経営管理が求められます。


特定営業所技術者の配置問題は、採用・育成・定年・引継ぎといった人事マターと直結します。経営事項審査の評点にも影響するため、計画的な人材確保戦略が建設会社の経営そのものを左右します。


10. よくある質問(FAQ)

1級国家資格を有することは指導監督的実務経験があることを意味しますか?
意味しません。両者は別個の要件です。建設業法第15条第2号は、イ(1級国家資格等)・ロ(一般要件+指導監督的実務経験2年)・ハ(大臣認定)を並列の選択肢として定めています。1級資格保有者は指導監督的実務経験を「持っている」のではなく、法律上「問われていない」のです。法律が1級という高度な試験合格をもって技術者としての能力を担保しているため、元請4,500万円以上の工事経験を別途求めなくても足りるという立法判断がなされています。


Q.監理技術者資格者証を提示すれば指導監督的実務経験の証明書類は不要になりますか?
実務上不要になります。ただしその理由は資格者証の取得ルートによって異なります。①1級国家資格で資格者証を取得した方の場合、そもそも法第15条第2号イの要件を満たすため指導監督的実務経験自体が要件ではなく、証明の必要もありません。②実務経験で資格者証を取得した方の場合(22業種のみ)、法第15条第2号ロの要件として指導監督的実務経験2年は必要ですが、その確認を建設業技術者センターが既に済ませているため、許可行政庁は資格者証の確認で足りるとしています。いずれのルートでも、許可申請窓口での書類準備としては資格者証の写し1枚で完結します。


Q.有効期限が切れた監理技術者資格者証でも特定営業所技術者の証明に使えますか?
使えます。東京都および国土交通省の手引きでは、監理技術者資格者証や登録基幹技能者講習修了証は有効期限が切れているものであっても「資格」や「実務経験」は認められる旨が明記されています。ただし、現場に監理技術者として配置する際には有効期限内の資格者証と監理技術者講習修了証が必要となる点は区別が必要です。


Q.専任技術者と特定営業所技術者はどう違うのですか?
令和6年12月13日施行の建設業法改正により、「専任技術者」の呼称が「営業所技術者等」に変更されました。一般建設業は「営業所技術者」、特定建設業は「特定営業所技術者」と呼ばれます。呼称変更であり、法律上求められる要件そのものに変更はありません。


Q.指導監督的実務経験とは具体的にどのような経験ですか?
元請として請け負った請負金額4,500万円以上の建設工事について、主任技術者または監理技術者として、工事の技術上の管理を総合的に指導監督した実務経験を指します。この経験が通算2年以上必要です。下請従事や現場作業員としての経験は対象になりません。


Q.指定建設業7業種では実務経験だけで特定営業所技術者になれますか?
なれません。指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)では、必ず1級国家資格等または国土交通大臣の個別認定が必要です。どれほど長い実務経験があっても、これらの業種では資格なしで特定営業所技術者になることはできません。


Q.特定営業所技術者は現場の監理技術者を兼務できますか?
原則として営業所に専任していることが必要なため、兼務は認められません。ただし令和6年12月13日施行の法改正により建設業法第26条の5が新設され、請負金額1億円(建築一式は2億円)未満、営業所から移動時間概ね2時間以内、連絡員配置、ICT機器設置等の要件を満たす場合に限り、1現場に限って主任技術者等との兼務が可能になりました。


Q.特定営業所技術者の常勤性はどのように証明しますか?
事業所名が記載された健康保険証、健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)などで証明します。出向者や非常勤役員、他社の代表者を兼ねる方は原則として常勤と認められない点に注意が必要です。


Q.1級施工管理技士補では特定営業所技術者になれますか?
1級技士補単独では特定営業所技術者になれません。1級技士本試験合格が原則要件です。なお一般建設業の営業所技術者については、1級1次検定合格(技士補)+3年以上の実務経験で要件を満たす経過措置が令和5年7月に導入されていますが、特定建設業には適用されません。


Q.特定営業所技術者が退職した場合どうすればよいですか?
後任が不在の状態が続くと許可取消事由に該当します。退職の可能性が見えた段階で、速やかに後任候補の選任・要件確認を行う必要があります。空白期間が生じないよう、許可変更届(技術者の変更)を遅滞なく提出することが不可欠です。

特定建設業許可の取得でお悩みの方へ

東京都の特定行政書士が、特定営業所技術者の要件確認から申請書類の作成、
決算変更届・経営事項審査まで一貫サポートいたします。

指定建設業7業種の技術者確保戦略、
1級資格者の実務経験証明、
令和6年・令和7年改正への対応など、
複雑化する建設業許可実務を専門家にお任せください。

 

📞 03-6783-6727

受付時間:平日 9:00〜18:00 / お問い合わせフォームはこちら

萩本 昌史(はぎもと まさし)

特定行政書士 / 行政書士萩本昌史事務所

東京都を拠点に、建設業許可・経営事項審査・消防法関連手続き・在留資格申請を中心に業務を展開。建設業許可については、新規取得から業種追加、決算変更届、一般から特定への切り替え、指定建設業7業種の技術者要件整備まで幅広く対応。複雑な法改正情報をわかりやすく解説することを心がけています