

建設業許可の申請で、いま最も差し戻しが起きているのがここです。令和8年7月1日から、東京都の「常勤性の確認書類」の取り扱いが変わりました。健康保険証の写しが使えなくなっただけではありません。その代わりとされていたマイナンバーカード(マイナ保険証)も、確認資料の列挙から外れました。
しかも厄介なことに、東京都が公開している「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」のP57・P64には、まだ変更前の内容が載ったままです。手引だけを見て準備すると、そろえた書類が窓口で通りません。
このページは、東京都都市整備局市街地建築部建設業課が出した「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日)と、その前の「健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類について」(令和6年12月20日)、および令和7年度の手引を突き合わせて、いま実際に何を用意すればよいのかだけを並べたものです。
先に完成形を示します。東京都都市整備局市街地建築部建設業課「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日)による、現在の取り扱いです。
| 区分 | 提出するもの |
|---|---|
| ①(必須) 申請者への所属を証明する資料 |
後掲のa〜lの12種類のいずれか1つ(標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書、被保険者記録照会回答票、事業所名入りの資格確認書、法人用確定申告書 ほか) |
| ②(条件付き) 本人の生年月日を確認できる資料 |
①に生年月日の記載がない場合に併せて提出。次のいずれか1つ ・健康保険の資格確認書の写し(有効期限以内のもの) ・運転免許証の写し(有効期限以内のもの・両面) ・発行後3か月以内の住民票(個人番号および住民票コードを省略したもの・原本提出) |
| 区分 | 提出するもの |
|---|---|
| ①(必須) 他の事業者の社会保険へ加入していないことを証明する資料 |
直近決算の個人所得税確定申告書の写し(第一表、第二表、受信通知(メール詳細)) ※令和7年1月以降に紙で提出した確定申告書の写しを使う場合は、都税事務所発行の個人事業税の納税証明書(原本)、または税務署発行の納税証明書(その2)で事業所得金額の証明があるもの(原本)を併せて提出 ※個人番号の記載がある場合は非表示(マスキング等)にしてから提出 |
| ②(必須) 本人の生年月日を確認できる資料 |
次のいずれか1つ ・健康保険の資格確認書の写し(有効期限以内のもの) ・運転免許証の写し(有効期限以内のもの・両面) ・発行後3か月以内の住民票(個人番号および住民票コードを省略したもの・原本提出) |
法人で②が要るかどうかは、①として選んだ書類に本人の生年月日が印字されているかだけで決まります。実物を見て判断してください。
迷ったら②を付けてください。不要な②を付けて差し戻された例はありませんが、必要な②が無くて差し戻された例は多数あります。
常勤性の確認書類は、健康保険証の廃止に合わせて2回変わりました。いま何年何月の話をしているのかを取り違えると、古い情報にたどり着きます。
| 時期 | 根拠 | 取り扱い |
|---|---|---|
| 〜令和6年12月19日 | 従来の手引 | 健康保険被保険者証の写し(事業所名の印字があるもの)で常勤性を確認 |
| 令和6年12月20日〜令和8年6月30日 | 建設業課「健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類について」(令和6年12月20日) | ア「健康保険証等の写し(マイナ保険証(表面)/資格確認書/有効期限内の既存の健康保険証のいずれか)」を起点に、事業所名が印字されていない場合は追加資料 |
| 令和8年7月1日〜(現在) | 建設業課「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日) | ①所属を証明する資料+②生年月日を確認できる資料の2階建て。マイナンバーカード(マイナ保険証)は列挙から消えた |
| 論点 | 旧(令和6年12月20日〜) | 新(令和8年7月1日〜) |
|---|---|---|
| 証明の組み立て | 健康保険証等が起点。事業所名が無ければ追加資料 | 所属証明が起点。生年月日は別建てで確認 |
| マイナンバーカード(マイナ保険証) | 使えた(表面の写し) | 列挙から外れた |
| 健康保険の資格確認書 | 使えた | 使える。ただし法人の所属証明(h)に使うには事業所名の記載が必要。生年月日確認(②)としては事業所名は問われない |
| 運転免許証 | 列挙になし | 生年月日確認資料として新たに明記(両面) |
| 住民票 | 列挙になし | 生年月日確認資料として新たに明記(発行後3か月以内・番号省略・原本提出) |
| 法人の所属証明 | 7〜10種類程度を例示 | a〜lの12種類に整理・拡充(資格取得届・70歳以上被用者関係を明記) |
| 個人事業主 | 健康保険証等+確定申告書 | 確定申告書+生年月日確認資料。紙提出のときの納税証明書の扱いを明記 |
| マスキング | 保険者番号・被保険者記号番号・マイナンバー | 同左(住民票を出す場合は住民票コードも省略) |
令和6年12月の変更は「健康保険証がなくなるから、代わりにマイナ保険証で」という発想でした。ところがマイナ保険証の券面には事業所名が印字されません。これでは「どの会社に所属しているか」を示せず、結局は追加資料が必要になります。
令和8年7月1日の変更は、この構造を整理したものです。所属の証明は社会保険・住民税・申告書の書類で行い、生年月日の確認は身分証明書で行う。役割を分けたことで、マイナンバーカードを提出する必要そのものが無くなりました。
実務上の意味は小さくありません。マイナンバーカードは裏面に個人番号があるため、写しの取り方や保管に神経を使う書類でした。列挙から外れたことで、許可申請の添付書類の中で個人番号を扱う場面が減っています。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
東京都都市整備局のウェブサイトで配布されている「建設業許可(申請・変更)の手引(令和7年度)」には、常勤性の確認資料が次の2か所に載っています。
この2ページには、いまも「ア 氏名、生年月日のわかる(申請・届出提出時に)有効期限以内のもので、以下のいずれかの写し/・健康保険証(令和7年12月1日以前の提出時に限る)/・マイナンバーカード(マイナ保険証)の表面/・資格確認書」という、令和6年12月20日時点の内容が印刷されています。
手引を信じてマイナンバーカードの写しを用意しても、いまは所属の証明になりません。東京都のお知らせページも「変更内容は建設業許可手引のP57及びP64に記載されています」として、当該ページの記載を令和8年7月1日のお知らせで読み替える形をとっています。手引よりお知らせが新しく、お知らせが優先します。
法人用確定申告書で証明する場合、手引P57には「表紙(別紙一)」と書かれていますが、令和8年7月1日のお知らせでは「表紙(別表一)」に直っています。法人税の確定申告書の表紙は別表一が正しい名称です。窓口で求められるのはこの別表一の写しです。
常勤性の確認書類が必要なのは、次の4者です。1人でも欠けると受理されません。
| 対象者 | 根拠 | 備考 |
|---|---|---|
| 常勤役員等(経管) | 建設業法第7条第1号、同法施行規則第7条第1号 | いわゆる経営業務の管理責任者 |
| 直接補佐者 | 同法施行規則第7条第1号ロ | 財務管理・労務管理・業務運営の各担当。同一人が3業務を兼ねてもよい |
| 営業所技術者等(専技) | 建設業法第7条第2号、第15条第2号 | 令和6年12月13日施行の改正建設業法で「専任技術者」から改称。営業所技術者と特定営業所技術者の総称 |
| 令3条の使用人 | 建設業法施行令第3条 | 従たる営業所の代表者。手引P74は「常勤役員等(経管)の確認資料の①と同じ資料が必要」とし、置かれている従たる営業所における常勤性を確認するとしている |
常勤性の確認資料は、申請日現在での常勤性を確認するためのものです。したがって申請・届出のたびに必要になります。
| 手続 | 常勤性の確認資料 |
|---|---|
| 新規許可申請(許可換え新規を含む) | 必要 |
| 般・特新規 | 必要 |
| 業種追加 | 必要 |
| 更新申請 | 必要 |
| 経管・専技・直接補佐者・令3条の使用人の変更届 | 必要(新たに就任する人について) |
| 営業所技術者等の有資格区分のみの変更(例:2級建築士→1級建築士) | 不要(手引P108 例④)。ただし新たな資格が実務経験の証明を要するものである場合は、その期間の常勤証明が必要 |
令和8年7月1日のお知らせは、法人の所属証明としてa〜lの12種類を挙げています。どれか1つで足ります。しかし「どれでもいい」わけではなく、会社の状況によって使えるものが決まります。
| 記号 | 書類名(お知らせの表記) | どこにあるか | 使える場面・注意 |
|---|---|---|---|
| a | 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書の写し | 年金事務所または健康保険組合から会社へ(定時決定の通知。毎年9月ごろ) | まずこれを探してください。在籍していれば必ず対象になる、いちばん素直な資料 |
| b | (70歳以上の場合)厚生年金保険70歳以上被用者標準報酬月額相当額のお知らせの写し | 同上 | 70歳到達で厚生年金の被保険者資格を喪失し、70歳以上被用者となっている人 |
| c | 健康保険・厚生年金保険資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し | 年金事務所(資格取得届の処理後に会社へ) | 入社・就任時の通知が残っている人。a が見当たらないときの次善 |
| d | (70歳以上の場合)厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせの写し | 同上 | c の70歳以上版 |
| e | (新規に認定する者に限り)健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届(受付印のあるもの) | 会社が保管している届出の控え | これから経管・営技等に就任する人。通知が届く前でも申請できる。受付印が無いものは不可 |
| f | (70歳以上の新規に認定する者に限り)厚生年金保険70歳以上被用者該当届(年金事務所の受付印のあるもの) | 会社が保管している届出の控え | e の70歳以上版 |
| g | 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票の写し | 年金事務所の窓口で照会して取得 | 通知書を紛失した会社の切り札。手元に何も残っていないときはこれ |
| h | 健康保険の資格確認書の写し(事業所名の記載があり有効期限内のものに限る) | 保険者(協会けんぽ・健康保険組合)から本人へ | 事業所名が印字されていなければ所属証明には使えません。マイナ保険証を使っている人はそもそも交付されていない |
| i | 健康保険組合等による資格証明書(申請法人への在籍を証明するもの)(原本提出) | 加入している健康保険組合に発行を依頼 | 組合健保の会社向け。写しではなく原本。発行に日数がかかる |
| j | 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写し | 市区町村から会社へ(毎年5月ごろ) | 「納税義務者用」ではなく「徴収義務者用」です。生年月日の記載がないため②が必要 |
| k | (新規に認定する者に限り)特別徴収切替届出(受付印のあるもの)の写し | 会社が保管している届出の控え | 中途入社で普通徴収から特別徴収に切り替えた人 |
| l | 直近決算の法人用確定申告書の写し(表紙(別表一)、役員報酬明細、受信通知(メール詳細)) | 会社の申告控え/e-Taxのメッセージボックス | 役員に限る。一定額の役員報酬を得ていることを示す必要あり。紙提出のときは納税証明書を併せて提出。生年月日の記載がないため②が必要 |
実務では、この順で探すのがいちばん早く終わります。
「経管や営業所技術者を新たに置きたいが、社会保険の手続をしたばかりで通知がまだ届かない」という場面は頻繁に起きます。このためにe(資格取得届)、f(70歳以上被用者該当届)、k(特別徴収切替届出)が用意されています。
いずれも「受付印のあるもの」が条件です。電子申請(e-Gov)で届出をした場合は受付印が押されません。この場合は、行政機関からの受付完了通知など、受理されたことがわかる書類について、事前に建設業課へ確認してください。受付印のない控えのコピーを出しても受理されません。
lを使う場合、お知らせは「申請法人において役員として一定額の役員報酬を得ていることを証する必要がある」としています。ここが新設法人でつまずく点です。
そもそも社会保険への加入は許可要件です。適用事業所であるにもかかわらず健康保険・厚生年金保険に未加入の場合、常勤性以前に許可要件(建設業法第7条第1号ほか、適切な社会保険への加入)で止まります。a〜gが1つも出せない会社は、まず社会保険の加入状況を確認してください。建設業許可の条件と要件|6つの許可要件と東京都の申請手続で整理しています。
個人事業主の場合、証明したいことは「よその会社に雇われていないこと」です。使う書類は1つだけです。
所得税の確定申告書AとBは令和4年分(2022年分)から一本化されました。現在の様式は「確定申告書(第一表・第二表)」です。東京都の手引もお知らせも一貫して「第一表、第二表、受信通知(メール詳細)」と表記しています。古い解説記事の「確定申告書B」という表記を見て探しても見つかりません。
e-Taxで申告していれば、受信通知(メール詳細)が「税務署に受理された」ことの証明になります。紙で提出した控えには、この証明力がありません。そのため令和8年7月1日のお知らせは、次のように定めています。
| 申告の方法 | 提出するもの |
|---|---|
| e-Taxで申告 | 第一表・第二表・受信通知(メール詳細) |
| 令和7年1月以降に紙で提出 | 第一表・第二表 + 次のいずれか(いずれも原本) ・都税事務所発行の個人事業税の納税証明書 ・税務署発行の納税証明書(その2)で事業所得金額の証明があるもの |
確定申告書の第一表には個人番号(マイナンバー)の記載欄があります。お知らせは「個人番号の記載がある場合は、非表示(マスキング等)にしてから提出してください」と明記しています。コピーを取ってから黒く塗るのではなく、原本に付箋を貼ってコピーする方法が確実です。
ここが、今回の変更でいちばん現場が混乱している部分です。3択とされていますが、実際には多くの人が1つしか選べません。
| 選択肢 | 条件 | 実際に用意できる人 |
|---|---|---|
| 健康保険の資格確認書の写し | 有効期限以内のもの | マイナ保険証を使っていない人だけ。マイナンバーカードを健康保険証として利用登録している人には、原則として交付されていません |
| 運転免許証の写し | 有効期限以内のもの・両面 | 運転免許証(カード)を持っている人。マイナ免許証だけにした人は出せません |
| 発行後3か月以内の住民票 | 個人番号および住民票コードを省略したもの・原本提出 | 誰でも用意できる。最後の受け皿 |
資格確認書は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できない人に対して保険者から交付される書類です。したがって、マイナ保険証を登録して使っている人の手元には、通常ありません。
「資格確認書を出せばいい」と考えていると、当日になって存在しないことに気づきます。経管や営業所技術者になる方がマイナ保険証を使っているなら、最初から運転免許証か住民票で組み立ててください。
マイナ保険証を利用している人には、保険者から「資格情報のお知らせ」というA4の紙が届きます。これは資格確認書とは別の書類です。東京都の手引もわざわざ「資格確認書(『資格情報のお知らせ』とは異なることに注意)」と注記しています。
| 資格確認書 | 資格情報のお知らせ | |
|---|---|---|
| 交付される人 | マイナ保険証を利用できない人 | マイナ保険証を利用している人 |
| 性格 | 保険証に代わり、単独で受診に使える | 単独では受診に使えない(マイナ保険証と併用) |
| 常勤性の確認資料 | 使える | 使えない |
令和7年3月24日から、マイナンバーカードに運転免許の情報を記録する「マイナ免許証」の運用が始まりました。保有の形は3通りあります。
このうち「マイナ免許証のみ」を選んだ人は、従来の運転免許証カードを返納しているため、「運転免許証の写し(両面)」を提出できません。この場合は資格確認書か住民票を使うことになります。
住民票は3択のなかで唯一「誰でも用意できる」書類ですが、取り方を間違えると受理されません。窓口・コンビニ交付のいずれでも、次を必ず指定してください。
窓口で何も言わないと、自治体によっては個人番号入りで発行されることがあります。また、申請書の準備に時間がかかって3か月を超えてしまう例が実際にあります。住民票は「申請直前」に取ってください。先に取って書類作成に着手すると、提出時点で期限切れになります。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 1. マスキング | 健康保険法の改正により、令和2年10月1日から保険者番号・被保険者記号および番号は消去(マスキング等)して提出します。加えてマイナンバー、住民票を出す場合は住民票コードも消去または省略します |
| 2. 原本提出のもの | 住民票/健康保険組合等による資格証明書(i)/納税証明書(個人事業税・法人事業税・その2)。これらは写しでは受理されません |
| 3. 有効期限 | 資格確認書・運転免許証は申請・届出の提出時点で有効期限内であること |
| 4. 3か月以内 | 住民票は発行後3か月以内。官公庁で取得する各種証明書は発行後3か月以内が原則です |
| 5. 両面 | 運転免許証は両面の写し。裏面の記載事項変更欄まで必要です |
常勤性の確認資料は、思い立ってその日にそろうものばかりではありません。申請日から逆算して着手してください。
| 書類 | 入手先 | 目安 |
|---|---|---|
| 標準報酬決定通知書(a)/資格取得確認及び標準報酬決定通知書(c) | 会社の保管書類 | 即日(探すだけ) |
| 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票(g) | 年金事務所の窓口 | 原則その日のうち。事業所の担当者が本人確認書類等を持参 |
| 資格取得届・特別徴収切替届出の控え(e・k) | 会社の保管書類 | 即日。ただし受付印の有無を要確認 |
| 健康保険組合等による資格証明書(i) | 加入している健康保険組合 | 数日〜2週間程度。組合により異なるため早めに依頼 |
| 住民税特別徴収税額通知書(j) | 市区町村から会社へ(毎年5月ごろ) | 即日(保管書類) |
| 法人用確定申告書・受信通知(l) | 会社の申告控え/e-Taxメッセージボックス | 即日(顧問税理士に依頼する場合は数日) |
| 住民票(②) | 市区町村窓口・コンビニ交付 | 即日。ただし申請直前に取得 |
| 資格確認書(②) | 保険者(協会けんぽ・健保組合) | 手元にある人のみ。新たな取得はできないと考えてください |
| 個人事業税・法人事業税の納税証明書 | 都税事務所 | 即日〜数日 |
| 納税証明書(その2) | 税務署/e-Tax | 窓口は即日、e-Tax請求+郵送受取は1週間程度 |
常勤性の確認資料は、あくまで「常勤であること」を裏づける材料です。書類がそろっていても、常勤と認められない事情があれば認定されません。東京都の手引が明示している論点を整理します。
手引P7は、常勤役員等(経管)の常勤性について次のように定義しています。
「常勤」とは原則として主たる営業所において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。
営業所技術者等(専技)の「専任」は、手引P8で「その営業所に常勤して、専らその職務に従事する者」と定義されています。常勤性は専任性の前提です。
| 事情 | 東京都の取り扱い |
|---|---|
| 他社から報酬を得ている | 申請事業者以外からの報酬がある場合、原則として常勤とみなしません |
| 誰かの被扶養者になっている | 被扶養者となっている者は常勤性が推定できないため、常勤役員等(経管)にも営業所技術者等(専技)にもなれません |
| 営業所から著しく遠い | 居所が営業所から著しく遠距離(通勤時間がおおむね片道2時間以上)で常識上通勤不可能な場合、通勤定期券やETC記録等の通勤確認資料を求められることがあります |
| 出向者である | ①の資料に加えて、出向契約書・発令通知書等(該当者、出向元・出向先・出向期間が確認できるもの)、または該当者の氏名が記載された、申請時点における3か月分の出向負担料に関する出向元・出向先間の請求書・入金資料が必要です |
| 他社の代表取締役等を兼ねている | 下表のとおり、経管と専技で例外の条件が異なります |
ここは見落とされがちですが、東京都の手引は経管と専技で違う書きぶりをしています。
| 原則 | 例外として認められる場合 | |
|---|---|---|
| 常勤役員等(経管) | 他社を代表する代表取締役等を兼ねることはできない | ①他社が休眠していることに関する証明書、または②その会社において事務一般を掌理する常勤の取締役がいる旨の証明書 + 登記事項証明書の提出がある場合 |
| 営業所技術者等(専技) | 他社を代表する代表取締役等を兼ねることはできない | ①他社が休眠していることに関する証明書、または②複数代表取締役であり、他社では非常勤の代表取締役であることに関する証明書 + 登記事項証明書の提出がある場合 |
経管の要件そのもの(イ(1)5年・イ(2)5年・イ(3)6年、ロの体制、直接補佐者)については経営業務の管理責任者の要件|常勤役員等の経験年数と常勤性の証明で、営業所技術者の資格・実務経験については一般建設業の営業所技術者|10年実務経験の証明方法で詳しく整理しています。
令和8年7月1日の変更後、実際に手戻りが起きているのは次のような場面です。
東京都の窓口は事前予約制ではありません。不足があればその場で受理されず、書類を持ち帰って再訪することになります。常勤性の確認資料は、申請書一式のなかで最も「その場で足りないことが判明する」書類です。提出前に、対象者全員分をこの記事のチェック順で確認してください。
建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を使う場合も、常勤性の確認資料の中身は同じです。ただし住民票、健康保険組合等による資格証明書、納税証明書のように「原本提出」とされている書類の扱いは、電子申請では窓口・郵送とは異なる取り回しになります。提出方法は事前に建設業課へご確認ください。JCIPの利用手順は建設業許可の電子申請(JCIP)|GビズIDの取得から申請までの手順と東京都の落とし穴にまとめています。
令和8年7月1日からです。東京都都市整備局市街地建築部建設業課「常勤性の確認書類の取り扱い変更お知らせ」(令和8年7月1日)によります。それ以前は、令和6年12月20日付の「健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類について」による取り扱いでした。対象は常勤役員等(経管)、営業所技術者等(専技)、直接補佐者、令3条の使用人です。
使えません。健康保険証は令和6年12月2日に新規発行が終了し、それまでに交付されていたものも最長1年で有効期限が切れました。東京都の手引にも「健康保険証(令和7年12月1日以前の提出時に限る。令和7年12月2日以降提出時は不可)」と明記されています。
令和8年7月1日以降、確認資料の列挙から外れました。所属の証明には使えません。健康保険関係で残っているのは「資格確認書」で、法人の所属証明に使う場合は事業所名の記載があり有効期限内のものに限られます。生年月日の確認資料としては、資格確認書、運転免許証(両面)、発行後3か月以内の住民票のいずれかを使います。
令和8年7月1日のお知らせが優先します。令和7年度の手引P57・P64には令和6年12月20日時点の内容が残っており、マイナンバーカード(マイナ保険証)の表面が列挙されたままです。東京都のお知らせページも、変更内容が手引のP57及びP64に関するものであることを示しています。手引だけを見て準備すると、窓口で通りません。
健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書(毎年9月ごろに会社に届く定時決定の通知)です。これが見つからなければ、その人の入社時の「資格取得確認及び標準報酬決定通知書」を探してください。どちらも見当たらない場合は、年金事務所の窓口で「厚生年金保険の被保険者記録照会回答票」を取得すれば足ります。
新規に認定する者に限り、受付印のある「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」、70歳以上の場合は年金事務所の受付印のある「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」、または受付印のある「特別徴収切替届出」の写しが使えます。いずれも受付印があることが条件です。
個人事業主は必ず必要です。法人は、①として選んだ書類に本人の生年月日の記載がない場合に併せて提出します。住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)や法人用確定申告書の役員報酬明細には生年月日の記載がないため、これらを選んだ場合は②が必要になります。
違います。資格確認書はマイナ保険証を利用できない人に保険者から交付されるもので、単独で受診に使えます。資格情報のお知らせはマイナ保険証を利用している人に届くもので、単独では受診に使えません。常勤性の確認資料として使えるのは資格確認書だけです。東京都の手引も「資格確認書(『資格情報のお知らせ』とは異なることに注意)」と注記しています。
令和7年3月24日から始まったマイナ免許証で「マイナ免許証のみ」を選んだ場合、従来の運転免許証カードは手元にありません。この場合は、健康保険の資格確認書の写し、または発行後3か月以内の住民票(個人番号および住民票コードを省略したもの・原本提出)で生年月日を確認します。
いけません。原本提出です。加えて、発行後3か月以内であること、個人番号および住民票コードを省略したものであることが条件です。申請書の作成に時間がかかると3か月を超えることがあるため、申請の直前に取得してください。
必要です。常勤性の確認資料は申請日現在での常勤性を確認するものなので、新規、般・特新規、業種追加、更新、変更届のいずれでも提出します。般・特新規、業種追加、更新で省略できるのは経営経験を証明する資料であって、常勤性の確認資料ではありません。なお、営業所技術者等の有資格区分のみの変更届では常勤性の確認資料は不要です。
あります。申請事業者以外から報酬を得ている場合は原則として常勤とみなされません。誰かの被扶養者になっている人は常勤性が推定できないため経管にも営業所技術者にもなれません。居所が営業所からおおむね片道2時間以上の遠距離で常識上通勤不可能な場合は、通勤定期券やETC記録等の提出を求められることがあります。出向者は出向契約書・発令通知書等、または3か月分の出向負担料に関する請求書・入金資料が追加で必要です。
令和8年7月1日以降の常勤性の確認書類は、次の3行に集約されます。
そして、この記事でいちばんお伝えしたいのは「手引を見ても最新の取り扱いは分からない」ということです。令和7年度の手引P57・P64には、いまも変更前の内容が残っています。東京都の建設業許可は、手引とお知らせの両方を見て初めて全体が分かる構造になっています。
常勤性の確認資料は、申請書のなかで最も差し戻しの多い箇所です。書類をそろえてから窓口に行くのではなく、誰について、どの書類で、②が要るかどうかを先に決めてから取得に動いてください。それだけで、往復の回数が確実に減ります。
「この人の常勤性は、どの書類で示せばいいのか」という段階でのご相談で構いません。窓口で足りないと分かってから取り直すより、先に組み立てたほうが確実に早く終わります。
03-6783-6727(平日 9:00〜18:00)
お問い合わせフォーム(24時間受付/初回相談無料)
行政書士萩本昌史事務所 〒157-0061 東京都世田谷区北烏山7丁目25番8-401